中古車ライター歴20年の萩原文博氏が、「中古車価格25万円のMINI」を本気で選んで自腹で買って、ちゃんと乗れるか、壊れないか、満足できるかをガチで試す本企画。しっかり選んで購入したものの、整備点検記録簿は真っ白。
そこで知り合いに頼んでいろいろチェックしてもらったところ、どうやらあちこちに不具合が…。やっぱり50万円で買うMINIは危ないのか? だとしたら気を付けるところは?? 身をもって学ぶから切実度がハンパない自腹購入企画、いよいよ佳境に入ってまいりました。
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文/萩原文博
写真/萩原文博
[gallink]
■クルマの信頼性に繋がる装備点検記録簿
今回の50万円MINIに限らず、「中古車を購入する際にはそのクルマの履歴書またはカルテといえる“整備点検記録簿”があるクルマを購入するべき」。と書いてきた。その理由は、新車と違って中古車は前オーナーの使い方やメンテンスの頻度によってコンディションが大きく異なってくる。
どれくらいの走行距離でオイルやブレーキといった消耗品を交換したこと。そして24カ月点検といったクルマの健康診断をキチンと受けているのかがわかるだけで、そのクルマの信頼性が上がる。
プロによる厳しい診断が下った
走行距離や年式が進んだ低価格車であれば、これまでの履歴によって今後どんなパーツを交換しなければならないか、どれくらい費用が掛かるかが予想できる。できるだけお金を掛けたくない!というのであれば、24カ月点検や車検を行ったばかりで、タイミングチェーンやベルトといった走行距離に応じて行うメンテナンスを行っているクルマを狙うのがベストだ。その手がかりとなるのが“整備点検記録簿”なのだ。
“整備点検記録簿”は法律で常時携行が義務づけられているが、罰則はない。
しかし、“整備点検記録簿”がないクルマというのは、まず何かあるのではないか?と疑ったほうがいいし、購入を避けたほうが良いだろう。
また、今回購入したMINIクーパーSのように“整備点検記録簿”はあるものの、キレイに真っ白!というのはこれまでの履歴がわからないので、ないのも同じだ。
実際、購入して1カ月も経たないうちにタイミングチェーンのガイドが破損していて、約25万円の出費を伴った。
■出費は痛いが廃車は免れた...
今回整備してもらったガレージカメイの成田氏によると、この世代のMINIはだいたい6万kmがタイミングチェーンの交換のタイミングで、オイル管理の悪いクルマは3万kmでもタイミングチェーンの交換した経験があるというのだ。
新品のタイミングチェーンキット
我がMINIの走行距離は約11万kmだが、ガイドの汚れを見るとこれまでタイミングチェーンを交換していないとのこと。今回ヘッドカバーを外して、タイミングチェーンのガイド破損を発見できなかったら、年内にもエンジンは壊れていただろうという。
装着されていたタイミングチェーン
MINIマイスターの竹岡氏の駆動系の振動が気になるという言葉とコンピューターを繋いだときにバルブタイミングにエラーがあったということを知らなければ、このタイミングチェーン破損を見逃して、あわや3カ月で50万円MINIはエンジンブローで終わりとなっていたかもしれないのだ。
しかし約25万円という痛い出費は伴ったが、MINIは廃車にならずに済んだ。これは不幸中の幸いと思うべきだろう。
■中古車購入の際には整備点検記録簿を重視しよう
今回、タイミングチェーンの交換に加えて、マフラーから出る白煙の原因となっているインテーク&エキゾーストに使われているバルブシールも同時に交換した。
外したバルブシール
成田氏いわく、狭いエンジンルームのMINIを整備するためには、様々なパーツを外して行わなければならないため、どうしても工賃が高くなってしまうそうだ。したがって今回のようにタイミングチェーンの交換を行うと同時に水回りやオイル系のメンテナンスを行ったほうが、一度の出費は多くなるが、結果的には費用を安く抑えられることになる。
どれだけメンテンスに費用を掛けるかはそのクルマにどれくらい乗るのかをしっかりと考えてプランを決めたい。
この50万円MINIも1年半先にくる次の車検まで安心して乗れることを目指して、今回整備を行った。購入して1カ月も経たないうちに、購入金額の半額をメンテナンスに使うなんてと思う人も多いだろう。実際、タイミングチェーン交換を言われた時、自分もそう思った。しかし直さなければ、このクルマのライフは終わってしまうし、約25万円で修理すれば、1年半もしくは2年は乗れるのであれば、治そうと思った。
今回交換したパーツ類
そもそも今回のようなトラブルに見舞われたのは、常々中古車を購入する際には“整備点検記録簿”が大切と言っているにも関わらず、真っ白の“整備点検記録簿”のクルマを購入した自分にあるからだ。しかし、これを読んでいる人たちには同じような経験をしないように、“整備点検記録簿”の重視を心がけてもらいたい。
■エンジンリフレッシュ完了
もともと乳白色の樹脂製のタイミングチェーンガイド、そしてそれを支えるアルミの支柱は、エンジン内部だけでなくオイルパンにまで散らばっていたとのこと。オイルパンに落ちてしまった破片を取り除くため、オイルポンプを外して作業してもらった。
オイルポンプ
見込んだとおり、ちぎれたアルミの支柱はオイルパンの中に落ちていたという。また、乳白色のガイドは高級なチョコレートのような焦げ茶色になっている。こんな状態で走行させていたと思うとゾッとした。またオイル滲みの目立ったカムカバーはサービスしてくれた。純正品ではないものの、エンジンルームで大きな割合を占めるのでエンジンルームがキレイになった。
今回のメンテンナンス費用はタイミングチェーンキットが5万5440円。交換費用が7万円。バルブステムシール交換、バルブタイミング調整が6万8000円。バルブシールの部品が1万2700円。フロントクランクシール交換2000円。クランクシール4680円、ボルト類が2760円となった。
整備してくれた成田さんと完成したMINI
気がかりだったタイミングチェーンを交換しエンジンをリフレッシュしたので、次はすでにレッドカードを提示されたタイヤ交換を行い、整備後のMINIをもう一度竹岡氏にテストドライブしてもらう。
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記者の文章作作成能力が低い。