コロナ禍は終息に向かっているが、日本における感染者の推移を見ると、下げ止まりの傾向も見られる。外出を控えたいニーズも、依然として根強い。
今のような時代に合っているサービスが、パソコンやスマートフォンによるオンラインの活用だ。会議ソフトの「Zoom」などを使えば、販売店でセールスマンと対面しているような感覚で商談を行える。
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そこで各メーカーとも、オンラインコンテンツの充実に乗り出した。ホンダはオンラインストアの「Honda ON」を開設して、サブスクリプション・サービス(定額制でホンダ車を利用できるカーリース)の契約をオンラインで行えるようにした。
そんななか、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボがオンラインで商談を行っているという。はたしてどんな商談なのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が実際に体験した。
文/渡辺陽一郎
写真/ボルボ
[gallink]
■「オンラインミーティング」で商談する時代が来た!
展示車を使った説明も受けられる。セールスマンがパソコンやタブレットを持ちながら後席の足元空間などを映してくれるので、メーカーホームページでは見られない部分も確認できる
ボルボでは、ウェブを使ったオンライン商品説明を全国的に展開している。そこで実際に利用してみた。
まずボルボのウェブサイトから希望の販売店を指定してオンライン商品説明の申し込みを行うと、メールや携帯電話に返答がある。今回はメールでやり取りを行った。
商談を希望する車種を挙げて、販売店とユーザーのスケジュールに基づき、互いに都合の良いオンライン商品説明の日時を決める。
予定の日時に近付くと、ボルボの販売店から「Zoomミーティング」の案内が届き、ウェブカメラを使って販売店のセールスマンと面会した。購入を希望する車種について、細かな説明を聞くことが可能だ。説明は写真も交えながら行われた。
そしてさらに詳しい解説を希望した時は、販売店に置かれている展示車を使った説明を受けられた。例えば後席の広さを知りたい時など、セールスマンが運転席に座って運転姿勢を調節して、次に後席の右側へ移動する。
セールスマンがパソコンやタブレットを持ちながら後席の足元空間などを映してくれるので、実際に自分が座っているような感覚で広さを確認できる。セールスマンの身長を教えてもらえば、自分と照合して、正確なスペースを知ることも可能だ。
オンラインだからシートの座り心地などの感触は分からないが、ユーザーの知りたいことが動画として表示されるから理解を深められる。
注意したいのは、指定する販売店に自分の欲しい車種が置かれているかという点だろう。人気車は大半がそろっているが、売れ筋ではない車種は、置いていないことも考えられる。
販売店に展示車や試乗車がなくてもオンライン商品説明は受けられる。が、実車があればさらに具体的に確認できる。車両について詳しく知りたい時は、展示車や試乗車の置かれている店舗を選ぶと便利だ。
■オンラインの強みは?
ボルボカージャパンのホームページには、ボルボのモデルについて動画を交えて紹介するムービーギャラリーも見ることができる
販売店に顧客の反応を尋ねると、以下のように返答された。
「オンライン商品設営は、当店の場合、週末に1~2件の予約が入る。車両の情報はホームページにも豊富に掲載されているが、分からないことも多い。
そこでオンライン商品説明を利用すると、店舗に来店することなくお客様のニーズに合った説明を行える。
説明を受けた上で、さらに興味を持たれた時に来店していただけば、お客様にとって合理的だ。試乗する時も、予めオンライン商品説明を受けていれば、運転中の細かな解説を省ける」。
商品説明という意味では具体的にどのようなメリットが挙がっているか、この点も販売店に尋ねた。
「例えばボルボの場合、給油キャップのない給油システムを採用している。給油ノズルを差し込むと、自動的にキャップが開く方式だが、口頭で説明しても理解されにくい。
そこがオンライン商品説明なら、実際に動画で見ていただけるから分かりやすい。カーナビの使い方も同様だ。
ボルボは縦長のモニター画面を採用して見やすいが、ほかの車種とは使い勝手が異なる部分もある。動画を交えたオンラオン商品説明なら、お客様にしっかりとお伝えできる。
お客様からも、オンライン商品説明を利用したことで、車両に対する理解が深まったという声が多く聞かれる。このほか販売店と同様、カタログを使ってセールスマンがページをめくりながら説明することも可能だ。お客様が店舗に来店された時に近い接客を行っている」。
このほか夫が長期間にわたって出張しており、自宅付近の販売店に出かけて商談できない時なども、オンライン商品説明は便利だとしている。愛車の車検期間の満了が迫っている時など、妻が中心に商談するが、夫も選ぶクルマについて知りたい。オンライン商品説明を使えば、遠隔地にいる夫もクルマ選びに参加できる。
■「web化」は最近の来客傾向に合わせた対策!?
ボルボカージャパンでは、クルマを買う時のユーザーの来店状況にも変化が生じていると指摘した。
「インターネットがなかった時代には、お客様はクルマを買う時に、販売店へ6~7回は訪れた。ところが今は平均2回以下というデータもある。インターネットでいろいろな情報が手に入るから、予め購入する車種、グレード、オプション装備などを決めて、来店されるお客様が増えた。
初めてのご来店でも、目的は情報収集ではなく契約にある。このようなお客様が増えると、必然的にオンラインのサービスも充実させねばならない。その一方でリアルな店舗も大切だ。オンラインとオフラインの両方を充実させる必要がある」。
今は情報を含めたさまざまな商品やサービスを、インターネットを通じて手に入れられる。クルマのメーカーは既にホームページを充実させており、販売店が対応するのも当然の成り行きだろう。
特にジェネレーションZと呼ばれる1990年代の中盤から2000年代の終盤までに生まれた人達は、物心が付いた時からパソコンやインターネットに親しみ、デジタルネイティブの最初の世代に当たる。
この世代はインターネットを完璧に使いこなし、ネットを通じて商品やサービスを入手するのが当然になっている。少々大げさにいえば、インターネットを使って手に入らない商品やサービスは、世の中に存在しないのと同じだ。
そのためにボルボのインターネットを使ったオンライン商品説明のようなサービスも重要になる。前述の通りクルマの機能は多彩で、ボルボの特徴も、給油システムからカーナビまで幅広い。
既存のウェブサイトだけでは説明できず、セールスマンと話をしながらユーザーの疑問に応えるオンライン商品説明が効果的だ。
■もう店舗には行く必要はなくなるのか?
オンライン商談をすれば、もう店舗に行かなくてもよくなるのか?
その一方でクルマの場合、店舗に出かける必要も生じる。購入時には登録制度があり、署名や捺印も必要だ。商品のサイズも大きいから、インターネットで注文して、宅急便で自宅まで届けてもらうわけにはいかない。
購入後には、パソコンのような家庭電化製品と違って、車検や定期点検を受けねばならない。場合によってはリコールや修理も発生する。クルマは交通事故の危険を伴った特殊なツールだから、購入後のメンテナンスは不可欠で、販売店に併設されたサービス工場に車両を持ち込む必要がある。
そのために冒頭で述べたオンラインでサブスクリプション・サービスを契約できる「Honda ON」、あるいはトヨタの「KINTO」は、契約までの作業をオンラインで進められるのに、最終的な納車はユーザーが販売店へ出向く方式を採用している。
オンラインを徹底させるなら、納車もスタッフがユーザーの自宅までクルマを届ければ良いだろう。そうすればユーザーは、一度も販売店へ出向かずにクルマを入手できる。
それをせずに、あえて販売店までクルマを取りに来てもらう理由は何か。「Honda ON」の運営母体であるホンダセールスオペレーションジャパンに尋ねると、「販売店の様子やスタッフについて、お客様に知っておいていただきたいから」と返答した。これはユーザーが安全にクルマを使い続けるためには、販売店のサービス体制が不可欠なことを意味している。
書類の捺印などを含めた契約は、セールスマンと面会して行うのが手っ取り早いが、郵送を使ってやり取りすることも不可能ではない。書類がユーザーの自宅に届いたら、ボルボのオンライン商品説明の要領で、会議ソフトの「Zoom」を使いながら捺印などの作業をセールスマンと一緒に行う。
これを販売店に返送すれば、セールスマンと面会したのと同じことだ。後日、セールスマンが自宅まで車両を運んで納車すれば、クルマのオンライン販売は、面倒は伴うが成立する。
■完全web化は例外対応が難しくなる
2021年11月18日に発表されたボルボC40リチャージ
しかし予想外のトラブルが生じた時の安全確保などを考えると、ユーザーが販売店やサービス体制について何も知らないのは困る。スタッフの手が足りず、販売店まで即座にクルマを運んでもらいたい事態が生じる可能性も皆無ではない。
オンラインの普及に際しては、こういった時の安全確保が課題になる。
ボルボも電気自動車のC40リチャージについて、100台限定のサブスクリプション・プログラムを導入した。これもオンライン方式を採用するが、販売店をどのように位置付けるのかが注目される。
■ボルボC40リチャージ 特別サブスクリプション価格(税込):月額11万円(最長36ヵ月)
頭金不要で月額費用には、各種税金、自賠責保険、リサイクル料金、登録諸費用、任意保険料、サービスプログラム、付帯補償料などが含まれている
私のような昭和の時代に運転免許を取得してクルマを使いこなした世代から見ると、
「クルマを買う時ぐらい、販売店に行けば良いでしょう。候補に挙げたいろいろなクルマを試乗して、セールスマンと直接話をする。
クルマに対する理解が深まり、高額商品を慎重に選ぶこともできますよ」
と言いたいが、そういう認識は、もはや通用しにくくなっているらしい。
そこでオンラインなのだが、クルマにとって安全性が最も大切なことは、今も昔も変わらない真実だ。
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みんなのコメント
試乗無しで買うことはしないから、ショールームにはいずれ行くけどね。