2022年8月26日、スズキは新型軽商用バン「スペーシアBASE(ベース)」を発表、同日より発売を開始した。
スズキの最量販モデルであるスーパーハイト軽ワゴン「スペーシア」を元に、キャンプや車中泊などのアウトドアに適したカスタムアイテムの数々が施された商用車に仕上がっている。
軽商用バン「スペーシアBASE」が爆誕! 価格は139万4800円~ 車中泊に適したメーカー純正カスタムカーの魅力を徹底チェック!
なかでも、荷室エリアには、おもわず「なるほど!」と、唸ってしまうこだわりが詰まっていた。スズキの開発担当者から伺った開発秘話とともに、「スペーシアBASE」の詳細をご紹介しよう。
文/吉川賢一
写真/ベストカーweb編集部、スズキ
■クルマを自分専用に使いたいユーザーに向けて開発
スペーシアカスタム顔の軽商用バン。あえて商用にしたのはリアスペースが広いからだ
コロナ禍の影響もあり、パーソナルスペースが確保しやすい車中泊が、いま大人気だという。ソロキャンプやリモートワーク、密を避けた移動空間が欲しい、そうした顧客からの需要を受け、多くの自動車メーカーから、車中泊が可能なカスタムカーが登場している。
スズキも2022年4月にマイナーチェンジした「エブリィ」で、車中泊対応をしたアフターアイテムを揃えた仕様を用意していたが、遊びにも仕事にも日常使いにも適したモデルを狙い、スペーシアに特別アイテムを追加した「スペーシアBASE」を開発したそうだ。
「スペーシアBASE」という車名には、「お客様の工夫で使い方を膨らませてほしい、そのためのベース(素材)を提供したい」という意味も込められているという(スズキ株式会社 四輪商品第一部チーフエンジニア 伊藤二三男 氏)。
ターゲットは、1~2人の利用がメインで、バンやハイトワゴンを自分専用に使いたいユーザーだ。ファミリー向けのスペーシアや、アウトドア向けとしているスペーシアギアでは、移動先でのアトラクションには適していても、車中泊となると「空間」がなかった。
スペーシアBASEでは、後席シートをエマージェンシー用と割り切って小型化し、広い荷室空間を確保した。第3の選択肢として、いいアイディアだと思う。
■アウトドアに似合う、おしゃれなエクステリアカラーを設定
ブラックパール塗装のフロントグリル
道具感をイメージして作られたリアクオーターに注目。内側には収納スペースがあり使い勝手がいい
エクステリアはスペーシアを基本としているが、ブラックパール塗装のフロントグリル(カスタム顔)やサイドドアミラーやアウタードアハンドル、アクティブな雰囲気があるブラック塗装のアルミホイールやルーフレール、そしてリアに輝く金属調の「BASE」チェッカープレートなどが特徴。
街中でも映える、なかなかカッコいいデザインだ。クオーターウィンドウはつぶされており、代わりに車室内側にリアクオーターポケットが仕込まれている。
ボディカラーは全5色(モスグレーメタリック、アクティブイエロー、デニムブルーメタリック、ピュアホワイトパール、ブルーイッシュブラックパール3)。お薦めカラーのモスグレーメタリックは、アウトドアカスタムカーらしく、自然に馴染むおしゃれなカラーリングだ。
インテリアも、スペーシアを基本としているが、エクステリアに寄せたカラーリングによって、落ち着いた印象がある。いたるところに収納エリアが設けてあるので、多様なアイテムがたくさん積みこめるのは、非常にありがたい。ちなみに運転席シートにはリフト調節機能もあり、ハンドルのチルト調節と合わせれば、ドラポジ調節も自由度があった。
■マルチボードで「モバイルオフィス化」も
スペーシアBASEの最大のウリが、写真右側にあるマルチボード
最大の特徴は、後席エリアを有効活用した、自由自在にアレンジができるレイアウトだ。小型化された後席シートは、格納することができ、付属のフロアボードを敷くことで、広大でフラットで隙間がない、快適なフルフラットフロアが生まれる。
荷室の最大長さは1205mm、最大幅は1245mm、荷室高は1220mm(2名乗車時)、助手席のシートバックも前方へ倒せば、大人が足をまっすぐに延ばして眠れるだけのスペースができる。
付属のマルチボードが非常に役立つ。表面はハードプラスチックなので、汚れがついても、さっとふき取ればOKだ。設置は3段階の高さ調節ができ、パソコンの作業デスクとして、移動販売時のディスプレイテーブルとして、食事のテーブルとしてなどの活用が可能。走行中の揺れやガタつき音を抑制する固定ゴムも装備されている。
リアシートの後ろに設置されているマルチボード
マルチボードは上段(430mm)、中段(290mm)、下段モードに設置できる。写真は中段モードでテレワークをしているイメージ
実際に、折りたたんだ後席シートを椅子代わりにして、パソコンを構えてみたが、窓も大きく車内は十分に明るいため、モバイルオフィスとして十分に活用できそうだ。また、マルチボードは垂直に設置することで、荷室を2つに分けるパーティションとしても活用できる。ペットとの旅行や、スーツケース積載など、マルチに使うことができる。
マルチボードは金属製フレームで補強されており、ボードを取り付ける車体側へも補強がなされているので、ボードの上にちょっと座ったり、重たい荷物を積んでも十分に耐えられる仕様となっている。そのため、既存のスペーシアにこのデッキボードのみをポン付けすることはできないそうだ。
簡単にリアシートを畳める
カバーを付けると隙間がなくなりフルフラットになる
マルチボードで仕切る前後分割モード
■若手エンジニアが中心となって開発
キーレスプッシュスタートシステムをはじめ、運転席&助手席シートヒーター、チルトステアリング/運転席シートリフター(XF)、後席脱着式シートベルト、フルオートエアコン、ロールサンシェード、ルーフレール(XF)、リアクォーターポケット(左右)、プレミアムUV&IRカットガラス(XF)、後席右側パワースライドドア(XF)などスズキの軽商用初の装備類が盛りだくさん
他にも、オーバーヘッドシェルフやリアクオーターポケット、ユーティリティナット、助手席シートバックテーブルなど、収納エリアや便利アイテムが豊富にある。どうしても荷物が増えてしまう車中泊には、こうした収納ポケットはいくらあっても困らないだろう。
さらには、USB電源ソケット(Type-A&C)、運転席&助手席シートヒーター、ロールサンシェード(軽商用初)など、使い勝手の良さも十分だ。隅々まで、気が利いた設計が織り込まれている。
その点について、前出の伊藤二三男チーフエンジニア(BASEの他、エブリイやキャリィの責任者も兼任されている)にお話を伺うと、スペーシアBASEの企画は、若手エンジニアたちを中心に動いてもらったとのこと。
商用軽バンはフルモデルチェンジをする機会がめったになく、開発部隊にいる若手エンジニアたちが入り込む機会がなかなかなかったそう。また、「軽商用車はこうあるべき」という固定観念が強く、新しいアイディアを取り入れる場がなかったため、BASEの設計は思い切って若手を中心に考えてもらったという。
すると、ルーフ収納、クオーターガラスをつぶして内側を収納にするなど、このあたりのアイディアがポンポンと出てきた。「チーフエンジニアとしては、スズキの未来を背負っていく若手エンジニアたちの成果が織り込まれたことは、非常に嬉しいことでした」、と嬉しそうに話してくれた。
頭上にはオーバーヘッドシェルフが設置されている(XF)
リアクオーターパネルの室内側は収納ポケットになっている
■価格は139万4800~166万7600円
ボディカラーは新色のモスグレーメタリックをはじめ、デニムブルーメタリックやピュアホワイトパールなど、使い方やスタイルに合わせて選べる全5色のラインナップ
スペーシアギアのアクセサリー装着車。専用のランタンや工具箱などアクセサリーの種類も豊富なのでホームページを見ていただきたい
スペーシアBASEの車両価格は、139万4800円から166万7600円。エントリー価格はスペーシアの基本グレード「HYBRID G」とまったく同じ価格だ。
ただし、スペーシアBASEのパワートレインはNAエンジンのみで、ターボやマイルドハイブリッドの設定はない。なお燃費(WLTCモード)は、2WDが21.2km/L、4WDは19.9km/Lと、平均的な成績といえる。
先日登場した、軽BEVの日産「サクラ」が絶好調であることから、「BASEをバッテリーEVで作ってみてはどうか」と聞いたところ、うまくスルーされてしまったが、スズキ・ダイハツ・トヨタで商用車系の電動化の話も進めており、近い将来、何らかの発表ができる日がくるかもしれません、とのことだった。スペーシアBASEの売れ行きとともに、今後の動向も楽しみだ。
■スペーシアBASE価格
GF=139万4800円(FF)/151万8000円(4WD)
XF=154万7700円(FF)/166万7600円(4WD)
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みんなのコメント
平地ならいいけど峠道とかパワー無いとキツイ
旅仕様としては物足りないな