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「伝承・ポップ吉村メモリアルコーナー」が埼玉県小鹿野町に開設!! ヨシムラ×モリワキ合作GSX1000R(1983年)のサウンドも轟く!!

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「伝承・ポップ吉村メモリアルコーナー」が埼玉県小鹿野町に開設!! ヨシムラ×モリワキ合作GSX1000R(1983年)のサウンドも轟く!!

2021年11月埼玉県「小鹿野 バイクの森」に「伝承・ポップ吉村メモリアルコーナー」が開設

2021年11月27日(土)、埼玉県秩父郡小鹿野町の「小鹿野 バイクの森」に「伝承・ポップ吉村メモリアルコーナー」が開設され、同日そのオープニングイベントが催されました。「バイクで町おこしを」と願い、チャレンジする小鹿野町ですが、これにヨシムラとモリワキが賛同して展示コーナーが設けられたのです。
会場では、超希少レーシングマシンと「バイク弁当」が来場者を出迎えました。

【画像32枚】超貴重!! この1台だけ「ヨシムラ&モリワキ合作レーサーGSX1000R」が走り出す!!

「伝承・ポップ吉村メモリアルコーナー」オープンセレモニーではヨシムラ・モリワキの両代表が登場

メモリアルコーナー開設のオープニングセレモニーでは、小鹿野町の森 真太郎町長、ヨシムラジャパン吉村不二雄社長(POPこと同社創業者、吉村秀雄氏の長男)、吉村直江さん(POP夫人)、モリワキエンジニアリングの森脇 護社長(POPの婿)、森脇南海子専務(POPの長女)がテープカットを行い、展示コーナーが公開されました。

このオープニングイベントの目玉は、2つ。
ひとつ目は、この日のためにレストアされ、組み上げられた1983年型ヨシムラ・モリワキGSX1000Rと2021年型GSX-R1000R耐久レーサーの「音出し=エンジン始動」です。

1983年型ヨシムラ・モリワキGSX1000Rは、モリワキ製のリブ付き角断面アルミ合金押し出し材を使ったダブルクレードルフレーム+2本サスに、ヨシムラチューンのDOHC4バルブ直径69.4×66mm、998ccのGSX1000Sカタナ(GSX1100SカタナのTT-F1/AMAスーパーバイク用ホモロゲーションモデル)エンジンを搭載したモデル。
残念ながらこれは鈴鹿8耐仕様ではなくスプリント仕様で、ヘッドライトはなく、カウルもモリワキモンスターのもの。また、耐久仕様の必需品であるセルスターターも非装備ですが、貴重なマシンであることに変わりはありません。

1970~80年代を駆け抜けたPOP吉村と長男・不二雄さん

1983年型GSX1000Rが生まれた背景を、少し紹介します。ヨシムラとスズキの関係は、1976年8月のPOP吉村とスズキの技師、横内悦夫氏(故人)とのロサンジェルスでの運命的な出会いから始まりましたが、1983年にスズキは大幅なレース活動縮小を行いました。

その結果、スズキからヨシムラへの支援も、なくなってしまいました。
それまでのヨシムラのレース参戦車は、大まかに言ってエンジンをヨシムラ、車体はスズキが提供という分担でまとめられていました(ただし、エンジンパーツでも、クランクシャフトなどファクトリーでなければ作れないような物はスズキ製でした)。

そこで状況が変わった1983年のヨシムラレーサーは、モリワキが車体を担当して供給しました。モリワキは1981年、国内ファクトリーよりも早くアルミ合金でフレームを製作しましたが、独特のしなりと剛性をバランスさせたアルミフレームで、各ファクトリーレーサーではリヤ1本サスがそろそろ出始める中、しっかりしたトラクションを得るために、あえて2本サスを採用しています。

一方ヨシムラ製のエンジンは最高出力152~153psと、当時の同クラス「最高」レベル。このエンジンは神奈川県愛甲郡愛川町に移転し、社名を「ヨシムラ・パーツショップ加藤」から「ヨシムラパーツ・オブ・ジャパン」に変更した日本側のヨシムラで、POP吉村自らが製作したもの。

それまでのヨシムラと言えば、アメリカ・ロサンジェルス郊外の「ヨシムラR&Dオブ・アメリカ」が本拠で、実質的に長男の不二雄氏が率いてアメリカで独自の路線を歩んでいました。片やPOPは日本戻り、独自にチューニングを始めてエンジンを手がけました。
このように、創業者のPOPは日本で、不二雄氏はアメリカで独自の路線を進みますが、その両氏の歩みの一例が、ヨシムラの代名詞マフラー=集合管です。

アメリカのAMAスーパーバイクに使われているのは、一般的な4into1マフラーです。一方、日本でPOPが作るのは、1980年にPOPが発明したサイクロンマフラーです。サイクロンの4into1は、集合部を前から見た場合、左下から反時計回りで#1-#2-#4-#3と並列4気筒の点火順番に配置しています。片や一般的な4into1の集合は、並べやすいように#2-#1-#4-#3と配置しています。また、US側の不二雄氏は、カム設計にコンピュータを導入しますが、日本側ではPOPの経験を優先していました。このように、父POPに対して、不二雄氏が対抗して独自路線を歩み出した、とも言えます。

ヨシムラ・モリワキ唯一の1983年型合作レーサー「ヨシムラ・モリワキGSX1000R」が生まれた背景

一方、森脇夫妻の立ち上げたモリワキエンジニアリングは、実はPOP吉村から夫妻が勘当されたのがきっかけで1973年に設立されたのです。
その後1975年にアメリカでのヨシムラが、アメリカ人共同経営者に乗っ取られた事件を機に和解。
そして先述したように、1983年のヨシムラのレース活動危機(AMAでは活動休止)に際し、モリワキがヨシムラに手を差し伸べたというわけです。ただし、両ファミリーの合体プロジェクトは、後にも先にもこの年だけ。それゆえに特別な1作でした。

なお1983年の鈴鹿8耐で、ヨシムラはグレーム・クロスビー/ロブ・フィリスがこのGSX1000Rで出走し、オイル漏れに悩まされながらも13位完走。
同じモリワキ製アルミフレームマシンでは、カワサキZ1000Jエンジンを搭載したモリワキモンスター(三上訓弘/八代俊二)がプライベーター最上位の6位に入っています。

ちなみに、同年の鈴鹿で優勝したのはスズキフランス(後のSERT=スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム)のGS1000R(XR41・エルブ・モアノー/リカルド・ウバン)ですが、これは日本側のヨシムラでチューンしたGS1000エンジン(2プラグ、サイクロンマフラー)を、スズキ本社製フレーム(リブ付き角断面アルミダブルクレードルフレーム+リンク付き1本サス)に搭載したものでした。

希少なレースマシン2台「1983年型ヨシムラ・モリワキGSX1000R」「2021年型GSX-R1000R耐久レーサー」のサウンド競演
そして、オープニングイベントで音出しを行なった2台目は、ヨシムラ最新の技術が投入された2021年型GSX-R1000R耐久レーサーです。
本番用車両ではなく開発車両ですが、仕様は本番車と同じ。2021年の世界耐久選手権チャンピオンマシンで、ルマンとボルドールの2大24時間レースを制しています。

イベント本番での音出しは、まず1983年型GSX1000Rからでしたが、最初はプラグがかぶって1気筒に火が入らず3気筒状態になってしまいました。2度のプラグ交換(プラグレンチはファンの方から借用)後、3度目の正直で無事4気筒の咆哮が蘇りました。

押しがけの担当は、当時のメカニック兼テストライダーでレストアを任された浅川邦夫氏(現・アサカワスピード代表)と加藤陽平チームディレクターで、3発になったトラブル時には、吉村不二雄氏や森脇 護氏も加わっての豪華な競演でした。

ちなみに浅川氏は、1980年型GS1000R(XR69・鈴鹿8耐優勝マシン)のレストアも担当していました。一方2021年型GSX-R1000Rのエンジン始動は、開発を担当し、ヨシムラSERT Motulのメンバー(主にリザーブライダー)でもある渡辺一樹選手が務めました(もちろんセル一発で始動)。

イベント当日の2つ目の目玉は、2回行われたトークショーです。
1回目は不二雄社長、森脇夫妻での歴史的なお話、2回目が不二雄社長、加藤 陽平チームディレクター、渡辺選手の3名で、2021年のヨシムラのシーズン活動報告などが行われました。そのほかプレゼント大会も実施され、充実したプログラム進行となりました。

なお「小鹿野バイクの森」には、2台のヨシムラレーサーのほかに、1978年型モリワキZも展示されています。そして、ヨシムラヒストリーが、わかりやすく見られるパネル展示「伝承・POP 吉村メモリアルコーナー」が設置されています。そのほか、埼玉県にゆかりのあるアライヘルメットとチェーンメーカーのRKも、常設展示を行なっています。

ライダー注目のランチグルメ「バイク弁当」も同敷地内に!!

そしてお昼の楽しみと言えば、最近話題の「バイク弁当」です。「小鹿野バイクの森」の敷地内には地元の大滝食堂が作る「バイク弁当」が販売されており、これはバイクのフューエルタンク型の容器(専用ステッカーも用意されます)に、中身はジューシーな豚唐揚げ弁当というもの。

ヨシムラとのコラボレーションメニューとして「1978年ヨシムラGS1000・8H・赤」や「1976年AMAスーパーバイクZ1・黒4本マフラー・W・クーリー」があり、それぞれ盛りのボリュームによってノーマル=1370円、フルチューン=1620円、テイクアウト=1350円があります。ちなみにSTDバージョン(ステッカーなし)は、ノーマル=1000円、ボアアップ(ごはん大盛り)=1100円、Rバージョン(肉増し)=1200円、フルチューン(肉&ごはん大盛り)=1300円となっています。

日本レース界の中でも貴重なマシンと写真、さらにはユニークなバイク弁当に出会える小鹿野の町。かつては2009年5月にバイクミュージアム(展示マシン約130台)として開館したものの、2010年9月に惜しまれつつ閉館。そして今回は2021年3月から「小鹿野バイクの森」として再開館したものです。秩父方面へツーリングの際には、ぜひ立ち寄ってみたいライダースポットとなっています。

小鹿野バイクの森 営業案内

住所:埼玉県秩父郡小鹿野町般若360-1
営業時間(バイク弁当):11:00~15:00 (ラストオーダー14:45)、18:00~21:30(ラストオーダー21:00)

レポート/写真●石橋知也 編集●八重洲出版モーサイ編集部・上野茂岐

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