現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【フェアレディZプロトの深層(2)】Z生誕50周年にかける日産とファンクラブの反応

ここから本文です

【フェアレディZプロトの深層(2)】Z生誕50周年にかける日産とファンクラブの反応

掲載 更新 25
【フェアレディZプロトの深層(2)】Z生誕50周年にかける日産とファンクラブの反応

2020年9月16日の公開オンラインミーティングによって、ライブ中継されたフェアレディZ プロトのアンベールセレモニー。YouTubeを使った内田社長兼CEOや開発陣のトークショーなど、テレビや一般誌も含めて、大きなニュースになったことはご存じと思う。あれからすでに2週間近く経ったが、今回は、Zプロトの発表の舞台裏、そして国内外でのZカーファンの反応を紹介しよう。

「9月16日」にZプロトが発表された理由とは?
今回、Zプロトが電撃的に発表されたのには、実はいろいろな伏線がある。初代フェアレディZ誕生は1969年10月に日本で発表・発売され、翌1970年春にアメリカで発売された。つまり「Z50周年」というのはアメリカにおける話で、「日本で企画・生産された初代240Zの上陸から50周年」というわけだ。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

初代Zは累計約54万台という販売台数を記録した伝説的モデル。なかでもアメリカ市場は巨大で、今でも多くのZカーファンが全米各地で歴代Zを持ち寄って、毎年ZCONと呼ばれるミーティングを行っている。そのZCONが2020年で第33回目を迎える中、開催された場所はナッシュビル(テネシー州)。しかも、その会場となったのはアメリカ日産本社だ。

そして、9月14日から19日まで約1週間を費やして様々なアクティビティが行われるこの全米Zカーミーティングを主催するのは、ZCCAというZカークラブの実行委員会。全米各地の50以上のZカークラブとカナダのクラブ、インターネットベースのクラブも加えて、会員数は10万人を超えているという。

これだけの規模を持つクラブイベントだけに、アメリカ日産本社もこのイベントに並み並みならぬ関心を寄せていたはずだ。もちろんZCCAの持ちかけもあったが、「Zプロトをお披露目するには最高の舞台である」と日産サイドが考えるに如くはない。

かくしてアメリカにおいてZ生誕50周年となるセレモニーイベントの目玉として、Zプロトはその姿をアンベールした。では、なぜ9月16日だったのか。例年は6月~7月に行われることが多いZCONなのだが…。

その理由は、「Zの父」として今でもZカーファンからアメリカで親しまれ、アメリカ自動車殿堂にも入っている故・片山 豊氏(2015年に105歳で逝去)の誕生日である9月15日に合わせて、この日が選ばれたのだ。

ちなみに、アメリカとの時差の関係で日本の16日はアメリカの中東部時間で15日に当たる。こうして15日19時から21時まで設けられたNNA(北米日産)によるスペシャルイベントの枠で、Zプロトは発表されたわけだ。

こうしたZCONを舞台としてZのティザー情報が出されることは過去にもあった。例えば、2000年6月にラスベガスで行われたZ生誕30周年記念のコンベンションでは、Z33のCピラーを切り取ったイメージイラストが紹介された。これはZ33プロトが翌2001年1月のデトロイトショーにてお披露目される半年以上も前のことであった。

Z復活への大きな原動力として、Z33を多くの全米ファンにアピールしたのだ。

Zプロトについて、日米のZカークラブの反応は?
さてこのZプロト、アメリカと日本のZカークラブでの反応はどうだったのか。16日のYouTubeでの動画公開とは別に日米のZカークラブに、ZOOM(オンラインミーティングアプリ)を使ったプレミアムセッションが設けられた。その終了後、各クラブのメンバーに取材して独自にコメントを頂いた。以下にその一部を紹介しよう。

ZCON主催 ZCCAディレクター クリストファー・V・カールさん
「私にとって新型Zプロトは、現行の370Zと次世代の日産スポーツカーとのギャップを埋めるために必要なものです。1990年代のスポーツカー市場を混乱させた300ZX(Z32)のスタイリングを取り入れながら、初期の240Zを呼び戻し、敬意を表しています。
個人的には、過去のモデルの要素やカタナソードのオマージュなど、Zプロトのデザインにとても満足しています。新しいZプロトの最新かつレトロなスタイリングは、マニアの記憶を呼び覚ましてくれます。それと同時に、スポーティな選択肢を探している新らたな購入者を惹きつけてくれると信じています。今回の発表会は、日産とZコミュニティにとっても成功を収めました。世界中から5万人以上の熱狂的なファンがライブイベントを観戦しました」

続けては日本のクラブから…

DSCC中部 会長 小寺 猛さん
「ひと目見てときめきました。モニター越しですがZプロトを目の当たりにして、クラブ員全員
『いいんじゃない』から『いいねぇ』に、そして『欲しい!』に想いが変わっていったのを覚えています。素晴らしい進化をしてくれました。新しいだけではなく、歴代のいいところを継承しつつそれでいて新しいという、絶妙なバランスですね」

「賛否ありますが、ライトまわりは先進的だと思います。つり目になると、悪人顔やイカツさが出てしまいます、ただの丸にしてしまうと、古さや可愛さが出てしまう。どこかで見たようで、見たことない良い形をしてますよ。シャープなノーズも、フロントからリアフェンダー近くまで伸びるプレスラインも、リアフェンダー前のくびれたサイドステップも、どこをとっても素晴らしい出来だと思います」

「日産開発陣の方々へ、賛否はあると思いますが屈することなくこのまま発売して欲しいです。車両価格も400万スタートで、できればエンジンはターボとNAの2種類、ボディカラーはソリッド系も含めて多く揃えて欲しいです。内装も文句なしでデザインも良いし特にデジタルメーターが良いですね。できれば、室内ドアノブがZ34と同じなので、開け方や取り付け位置を変えて欲しいかな…。歴代のZを振り返ると、内装色にグレーやブルーバーガンディなどもあったのでカラーバリエーションを増やしてもらいたいです。シートの色を変えるだけとかドアトリムの色を変えるだけの変化はして欲しくないかな」

「いろいろ言いましたが、素晴らしい新型フェアレディZには違いないですし、当クラブ員も数名買い替えの情報がすでに入っています。そして何より、日産自動車にはフェアレディZを継承して頂いて感謝いたします。ありがとうございました」

DSCC中部 事務局長 木村憲太郎さん
「オンラインで見た印象としては、『歴代Zのイイとこどり』っていう感じですかね。第一印象としてスピリットを感じる新しさは、正直なかった。実車を見るとまた違うと思うけれど、カタチ的には大人しいというか、無難にまとめた印象かな」

「今までの流れで見ると、2代目(S130)は初代(S30)からの『継承』。3代目(Z31)で大きく変えて、続く4代目(Z32)でスーパーカーみたいになって高くなっちゃったけれど、あれはそれまでのZとはまったく違う、ぶっ飛んだ存在だったと思います。ツインターボの280psもすごかったし。で、復活した5代目(Z33)でFMパッケージとV6自然吸気の組み合わせでまた変わって、現行型のZ34はその流れ。そして、かなり時間が空いての今回だから、『次世代Zはこうだ!』みたいなスピリットを期待したのですが…」

「ただ、共用できるところは共用して煮詰めていくというのもあるし、車両価格のこともある。でも、もしこれが400万円台で出たら、結構、売れると思うんですよね。V6ツインターボの6速MT仕様があるのも良い。スープラと比べると、車両価格も内容も昔ながらのスポーツカーの良さを大切にしてくれていると思います。実際、クラブの人間でオンラインで見て、さっそくディーラーに次期型Zのニスモを予約しにいった人間が複数名いました(笑)。なにより、苦境にある日産が次のZを出すと表明してくれたことは本当に嬉しかったですね」

Z31クラブ会長 宮田 啓さん
「まず、間違いなく『Z』だと思いますし、この時代に(10年以上ほったらかされていたことはさておき)Zを世の中に出そうという気迫・情熱を多分に感じ、感慨深く思います」

「プラットフォームの課題や年々厳しくなる各種法規要件のあるなか、もしかしたらガソリン車最後となるZのスタイリングを、初代および大きく飛躍したZ32のスタイリングをオマージュするコンセプトに共感します。それでいて新しさも感じるバランスは絶妙だと思います」

「で、この新型Zプロト『アリかナシか?』と聞かれれば、間違いなくアリ!…で良いと思います。Z31仲間にも、欲しいと言ってる人は複数名います。ただし、Z31単体の香りを感じるか?と言われると、ほぼ感じていません。間違いなく『Z』ではありますが(苦笑)」

「歴代Zは、それぞれの時代に日産が考えるスポーツカーであり、それぞれの世代に歴史があり、各世代の共通点を探すことはナンセンスだと思います。日産スポーツとしてのZが存続するだけで私は満足です」

…と、概ねファンには好評のZプロト。発表の翌日となる9月17日から、横浜の日産パビリオンに愛知県や石川県から訪れたという人もいる。その多くが呟いていたのは「実際に見るとすごく良い」、「オンラインでは過去のモデルの寄せ集めじゃないか…って思ったけれど、実物は立体感もあっていい感じですね」とこちらも好評。

気になる車両価格について「V6ツインターボが400万円台なら間違いなく売れる!」という声が多く聞かれた。この点について関係者に「もう少し、ファンに情報を出しては?」と聞いたところ、「先出ししすぎると、この先言うことがなくなってしまうので…」とのこと。今回はデザインのプレゼンテーションであり、車両価格や商品企画での情報は控えられたようだ。しかし、間を置いて新型Zの事前イベントが開かれる可能性は高い。なにより、関係者が漏らした「社運がかかっているんです」という言葉に、日産の本気を感じられた。(文:森田浩一郎)

[ アルバム : フェアレディZプロトの深層2 はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
くるまのニュース
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
レスポンス
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
VAGUE
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
バイクのニュース
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
レスポンス
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
motorsport.com 日本版
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
モーサイ
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
カー・アンド・ドライバー
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
くるまのニュース
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
くるまのニュース
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
くるまのニュース
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
ベストカーWeb
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
ベストカーWeb

みんなのコメント

25件
  • 程度の良いZ34は今のうちに・・Z史上最後の大排気量車NA3700ccになると思います。フラットに背中を力強く押して加速するあの味わいは男ではないまさしく「フェアレディ」ですね
  • ライトは丸目でいいと思うんだがなぁ‥
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索
フェアレディZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村