今秋発表とされている新型クラウンスポーツに期待が集まっている。プロトタイプカーのプチ試乗会では、(開発途中だったことや、チョイノリ程度しかできなかったことなどで、すべての性能を味わうことができなかったのだが)そのポテンシャルの片鱗を感じることができたが、ここまでの実力をもつモデルが、「クラウン」というブランドを引っさげて登場するとなると、ライバルにあたるモデルたちは、戦々恐々としていることだろう。
ただ、それらライバルたちだって実力の程は非常に高い。はたして新型クラウンスポーツは国産ライバルSUVをぶち抜いて王座に君臨できるのか!?? 新型クラウンスポーツのライバルと考えられるモデルを4車種ピックアップし、新型クラウンスポーツとの差を考えてみよう。
今秋登場の新型クラウンスポーツは国産ライバルSUVをぶち抜いて王座に君臨できるのか?
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、LEXUS、MAZDA、MITSUBISHI、ベストカー編集部
リアデザインの秀逸ぶりにはうっとり 走りも十分に期待できる!!
新型クラウンスポーツのデザインで特に印象的なのは、テールランプを中心とした後ろ姿だ。クラウンクロスオーバーよりも40mmワイド化された全幅や、大きく盛り上がった筋肉質なリアフェンダー、横長のテールランプ、左右のエアアウトレット風の縦スリッド、そしてブラックアウトしたリアアンダーディフューザーなど、実物は写真よりも遥かにカッコいい。インテリアは、基本的にはクラウンクロスオーバーと同じだが、艶消しレッドのトリムパーツが施されており(おそらくオプション設定)、色気と艶やかさがクロスオーバーよりもはるかに増している。
走りの性能については、(冒頭でも触れたように)ショートサーキットをチョイ乗り程度しかしていないので、乗り心地やノイズといった質感などは把握できていないが、クラウンクロスオーバーよりもクイックに曲がる印象が強く、しかもしなやかな足の動きが好印象で、ポテンシャルの高さの片鱗は、しっかりと感じられた。
ただ、高額となるであろう車両価格は気になるところ。ハイブリッド車は435万~570万円、プラグインハイブリッド車が、ハリアーPHEV(620万円)とレクサスNX PHEV(725万円)の間となる670万円と予測しているが、やはり、上級グレードのほうがクラウンらしさを存分に味わえると思われるため、700万円超は覚悟する必要がある。
新型クラウンスポーツの予想価格は、ハイブリッド車が435万~570万円、プラグインハイブリッド車が、ハリアーPHEV(620万円)とレクサスNX PHEV(725万円)の間となる670万円か
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ライバルとなるのは、ハリアー、NX、CX-60、アウトランダーPHEVか!??
この新型クラウンスポーツとライバルとなる国産モデルは、ジャンルや価格帯、パワートレインなどを考慮すると、「トヨタ ハリアー」「レクサスNX」「三菱アウトランダーPHEV」「マツダCX-60」あたりだろう。
ハリアーの強みは、全てが「ちょうどよい上質感」となっていることだ。シンプルながらもエレガントさと逞しさが融合した流麗なクーペフォルムは、まさに日本人好みのデザイン。インテリアの質感も高く、乗り心地も絶妙で、重厚感としなやかさを併せもった乗り味が心地よい。また徹底したNVH対策が施されており、それがまたハリアーの上質感を底上げしている。
CX-60は、直4ガソリン、直6ディーゼル、直6ディーゼル+48Vマイルドハイブリッド、さらには直4ガソリンPHEVまで揃えているという、トヨタとガチンコ戦う姿勢を見せている点が非常に頼もしい。また、3.3L直6ディーゼルのWLTCモード燃費は19.8km/L(XD 2WD)、直6ディーゼル+48Vマイルドハイブリッドは21.0km/Lにもなるという驚異の燃費性能は、CX-60の最大の魅力。インテリアの質感も、上級グレードのプレミアムとなれば高く、タンカラーとスウェード素材を用いた内装は、特に「映える」仕様だ。
ハリアーのボディサイズは、4740×1855×1660(全長×全幅×全高)mm。ぎりぎり大きすぎない、ちょうどよいサイズ感に収まっていることが魅力のひとつ
CX-60の魅力のひとつが燃費だ。3.3L直6ディーゼルのWLTCモード燃費は19.8km/L(XD 2WD)、直6ディーゼル+48Vマイルドハイブリッドは21.0km/Lにもなる
レクサスNXは、すべてにおいて完成度が高く、インテリアについては「流石はレクサス!!」と唸りたくなるほど、清潔感に溢れた高品質なデザイン。もちろん走行性能の高さは折り紙付きで、最量販グレードの350hを中心に、多種あるパワートレインどれを取っても魅力的だ。アウトランダーPHEVは走行性能の高さが魅力だ。先代から踏襲するツインモーター4WDに加えて、4駆制御のS-AWCにブレーキ制御も追加されるなど、悪路走破性から一般道のコーナリングシーンも抜群の性能を誇り、「堅牢感」というフレーズが最も似合うモデルだ。
先代NXよりも、ボディサイズは若干大きくなったが、スタイリングはほぼキープコンセプトとなった、現行NX
お馴染みとなったダイナミックシールドのフロントフェイス。広く浸透してはいるが、好き嫌いが分かれるフェイスデザインだけに、マイチェンなどで変更となるのか注目だ
どのモデルも完成度が高く、欠点を探すのは難しいのだが、強いて挙げるならば、ハリアーは、後席のヘッドスペース周りの閉塞感があり、後席居住性が若干劣るし、NXは、国産ライバルよりもおよそ100万円は高い価格設定が難点。またCX-60は、硬さの目立つ乗り心地がすこし気になるし、アウトランダーPHEVは、国内で三菱ブランドの人気が低いのが弱点といえる。
価格については、ひときわ高価なNXが、455万円(2.5Lガソリン)~753万円(PHEV)で、その他は、ハリアーが318万円(ガソリン車)~620万円(PHEV)、CX-60が299万円(2.5Lガソリン)~626万円(PHEV)、アウトランダーPHEVが484万円~570万円となる。クラウンスポーツのPHEVは、おそらく670万円程になるはずで、PHEVの比較となれば、アウトランダーPHEVの安さが光る。
新型クラウンスポーツは、今後の国産高級SUV界隈のベンチマークになる!!
これらライバルたちと新型クラウンスポーツを比較したとき、ハリアーについては、ベーシックなガソリン仕様の出来がよく、400万円前後の予算で手に入れるには最適だ。ただし、上級のPHEVとなると、内装の上質感や走りの余裕といった面で、新型クラウンスポーツに分がある。デザインに関しては、好みで左右されることなので優劣がつけにくいが、「新鮮さ」という意味では、新型クラウンスポーツが勝るだろう。
CX-60については、国産車には珍しくデザインに威厳があり、加えて内装のしつらえも見事な出来だ。さらには直6+後輪駆動(ベースの4WD)という世界のラグジュアリーSUVの法則に則っている点は、新型クラウンスポーツは敵わない(クラウンスポーツはFFベースのフロント横置き、かつ直4エンジン+モーター)。動力性能や走りに関しては、公道での新型クラウンスポーツ試乗の上で決着をつけたいと思う。
NXは、レクサスブランドということもあり、外装のデザインや内装の上質さという面で、新型クラウンスポーツはまだ敵わないように見える。ただし、走行性能や動力性能は、両車、似通ったものがあるように思う。前述したようにNXのほうが100万円近く高くなる(PHEV仕様の場合)と考えられるが、近しい動的パフォーマンスであるのならば、新型クラウンスポーツのほうが「買い」といえるのではないだろうか。
アウトランダーPHEVについては、コスパという面では新型クラウンスポーツは敵わないが、新型クラウンスポーツには、アウトランダーPHEVにはない「歴史や伝統」といったクラウンブランドがある。500万円オーバーの上級PHEVを購入されるような方にとっては、パフォーマンスと同等以上に、こうしたバックボーンにも注目するはずで、新型クラウンスポーツの方を選ぶ方が多いと思われる。
◆ ◆ ◆
このように、ライバルとの性能比較では一長一短であり、販売台数合戦を予想するのは難しい。ただ新型クラウンスポーツは、走行性能の高さはもちろんのこと、デザインや伝統といった全ての面で、注目される存在となるのは間違いなく、今後の国産高級SUV界隈のベンチマークになっていくことだろう。新型クラウンシリーズ4バリエーションのなかで最量販になるのでは、との声も多い新型クラウンスポーツ。登場が待ちきれない!!
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