■輸入車だけじゃない! 国産大型高級2ドアクーペ
贅沢なクルマというと、4ドアの大柄なセダンを思い浮かべる人も多いかも知れませんが、同じくらいの車格であれば4ドアセダンよりも実用性が低い2ドアクーペのほうが贅沢かもしれません。
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国産車ではクーペはだいぶ減ってしまいましたが、海外の高級車ブランドでは、スタイリッシュで美しいフォルムの大型2ドアクーペが数多く存在します。
近年ではダウンサイジングが進んでいますが、やはり排気量が大きくトルクの太いエンジンが搭載された大柄な2ドアクーペこそ至高の存在で、一度その雰囲気を味わってしまうとなかなか忘れられません。
そこで、これまで販売された国内ブランドのクーペのなかから5車種をピックアップして紹介します。
●2代目ホンダ「レジェンドクーペ」
ホンダがアメリカで展開する高級車ブランド、アキュラ用に開発されたフラッグシップセダン「レジェンド」ですが、初代が発売された1985年から遅れること2年後の1987年には、2.7リッターV型6気筒エンジンを搭載する3ナンバー専用ボディの2ドアクーペが追加でラインナップされました。
そしてセダンは1990年に、運動性能を高めるためにFFミッドシップという、特殊なエンジンレイアウトの2代目にモデルチェンジされ、1991年にはクーペにも2代目が登場しています。
全長4880mm×全幅1810mm×全高1370mmのボディは、ワイド&ローの個性際立つスタイリングで、伸びやかで美しいフォルムでした。
このボディに最高出力215馬力を発揮する3.2リッターV型6気筒自然吸気エンジンを搭載し、入念なチューニングによりスポーティな味つけがされた、新開発4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションの採用と相まって、上質な走りと高い運動性能を実現しています。
当時としては安全装備が充実しており、「A.L.B.」(アンチロックブレーキシステム)、「TCS」(トラクションコントロールシステム)、運転席助手席SRSエアバッグシステムなどが標準装備されていました。
内装もホールド性を際立たせたシートの採用などにより、スポーティでありながら高級感あふれるクルマとなっています。
●3代目トヨタ「ソアラ」
1981年にデビューしたトヨタの高級パーソナルクーペ「ソアラ」は、2.8リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、トヨタの先端技術を採用したイメージリーダーカーとして人気となりました。
1986年にモデルチェンジされた2代目では、多くの先進的な技術と当時の国産メーカーでは最高の230馬力を発揮する3リッター直列6気筒ターボエンジンや、5ナンバー枠に収まる2リッター直列6気筒ツインターボエンジンを搭載し、バブル経済絶頂期だった国内で大ヒットとなりました。
そして1991年に登場した3代目では北米でレクサス「SC」として販売するために開発された、全長4860mm×全幅1790mm×全高1340mmの、堂々とした3ナンバー専用ボディになりました。
エンジンは最高出力260馬力を発揮する4リッターV型8気筒と、最高出力280馬力を絞り出す、2.5リッター直列6気筒ツインターボが用意され、走行状況により車体の振動やロールなどの姿勢変化を抑える、世界初のハイドロニューマチック式「アクティブコントロールサスペンション」や、世界初の後輪自動操舵システム装着車が選べる4リッターモデルが、もっとも魅力的でした。
一方で2.5リッターモデルはAT車でも十分パワフルで、ラグジュアリーかつ、FR駆動ならではの運転する楽しさも合わせ持っていました。
●ユーノス(マツダ)「コスモ」
1967年に世界初の量産ロータリーエンジン搭載車として発売された2シータークーペ、マツダ「コスモスポーツ」は2ローターエンジンを搭載し、振動や機械騒音が少ないロータリーエンジンの異次元感覚と、低く伸びやかなボディで未来的なイメージの歴史的名車です。
1975年に発売された2代目の「コスモAP」は、一転してラグジュアリーなスペシャルティカーとなり、1981年に発売された3代目は世界トップクラスの空力特性を持ち、初のロータリーターボエンジンを搭載していました。
1990年に登場した4代目となるユーノス「コスモ」は、ロータリーエンジン専用車として開発された全長4815mm×全幅1795mm×全高1305mmの流麗なボディデザインで話題となりました。
なお、ユーノスは、かつて存在していたマツダの販売チャネルのひとつです。
トップグレードは最高出力280馬力を発揮する、世界初の3ローターシーケンシャルツインターボエンジンを搭載し、圧倒的なパフォーマンスを誇りました。
また3ローター車には高級本革シートやウッドパネル、イグニッションをONにすると浮かび上がるイルミネーションメーターや、「CCS」と呼ばれるGPSカーナビゲーションを世界初採用し、カーナビディスプレイでオートエアコンの操作ができるなど、当時としては先進的すぎるクルマでした。
■スバル史上もっとも贅沢なクルマ
●日産「スカイラインクーペ」
1957年にデビューした初代プリンス「スカイライン」に、日本初のスペシャルティクーペ「スカイライン スポーツ」が1962年に追加ラインナップされましたが、ほぼハンドメイドという特殊なモデルでした。
その後のスカイラインのレースでの輝かしい戦績は、主に2ドア車によるもので、4代目、8~10代目以降のスカイラインGT-Rも2ドアです。そして、最新世代のひとつ前までは4ドアと2ドアが用意されていたこともスカイラインの特徴でした。
2006年にモデルチェンジされた12代目スカイラインには、スカイラインクーペが翌2007年に追加されています。
全長4655mm×全幅1820mm×全高1390mmの起伏に富んだ迫力あるデザインのワイドなボディに、最高出力333馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒エンジンを搭載。トランスミッションは5速ATだけでなく6速MTも選択可能でした。
低中速域では思い通りに、高速域では安定した滑らかな走りを実現させる、日産独自の「4WAS」(4輪アクティブステア)も採用されています。
内装は手縫いの平行ステッチを施した本革巻ハンドルや、パドルシフトに軽量なマグネシウム製を採用するなど、高級感を高めながらも「走る楽しさ」を演出し、高級スポーツクーペとして仕上がりの高さを見せていました。
●スバル「アルシオーネSVX」
1985年にデビューしたスバル「アルシオーネ」は、スバルのイメージリーダーカーとして1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載していましたが、アメリカ市場での拡販のために、1987年には2.7リッター水平対向6気筒エンジン搭載車の「アルシオーネ2.7VX」をラインナップに追加しました。
1991年には、初代「アルシオーネ」の直線的なラインとは真逆ともいえる、丸みを帯びたシルエットの「アルシオーネSVX」が登場します。
先代同様、北米市場をターゲットとして長距離を快適に走ることを目的としたグランツーリスモで、ボディサイズは全長4625mm×全幅1770mm×全高1300mm。
前後にブリスターフェンダーを備えたボディは巨匠ジウジアーロのデザインによるもので、優れた空力特性とドアガラスがルーフ面まで回り込んだ、個性的な外観となっています。
最高出力240馬力を発揮する3.3リッター水平対向6気筒エンジンを搭載し、高速道路を利用した長距離移動を快適にこなすことができ、スバル独自の4WDシステムで、ハンドリングと安定性を両立させるなど、スバルとしてはもっとも贅沢で先進的な装備を持ったクルマでした。
※ ※ ※
大型のクーペは総じてデザインが美しいクルマが多い傾向にあります。それは、デザイナーがあまり制約にとらわれず、のびのびとデザインできるからかもしれません。
なお、かつてはトヨタ「クラウン」や日産「セドリック/グロリア」などのアッパークラスのモデルにも、クーペがラインナップされていた時代がありましたが、後に独立したモデルとなっています。
それほど、クーペにはニーズがあったということです。
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