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日本の路上で試した中国製EV 性能以上に大事なポイントは面識の有無かも? BYDアット3

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日本の路上で試した中国製EV 性能以上に大事なポイントは面識の有無かも? BYDアット3

はじめましてのBYD、はじめまして中国車

さてどうやって書きはじめたらよいものか? 

【画像】BYDアット3試乗の様子をみる 全42枚

そんなことで時間を使ってしまった理由を、あれこれ考えて出た結論は「BYDという中国メーカーと面識がない」というか歴史がないということかもしれないと思った。

例えばメルセデスの最新モデルを試乗する場合、先代というか歴代モデルの記憶があり、さらにはメーカーのスタンス、使い勝手などなどをある程度わかっているので、その続きとして書きはじめられるようなところがある。

読者の方たちに対しても同様で「基礎的な知識は省いても問題なかろう」という前提で書いてしまっているはずだ。ところがBYDは、まず社名のアルファベットの意味がわからない。と思ったら今回の試乗車、アット3(スリー)のリアにエンブレムとして掲げられていた。

曰くビルド・ユア・ドリームス(Build Your Dreams)社是をそのまま社名にしたような感じだろうか。ともあれ、AUTOCARの場合は先に英国編集部が残したアーカイブがあるので、まずは昨年6月に公開されているアット3の詳細データテストをいま一度お読みいただけると幸い。

アット3は見ての通りのクロスオーバーSUVである。全長は4455mmなので、トヨタC-HR以上、RAV4未満といったところ。床下に搭載されているバッテリーはBYD車の特徴である自社開発のブレードバッテリーと呼ばれるもの。58.56kWhの容量を持ち、一充電走行距離のカタログ値は470kmとなっている。さあ実車に触れてみよう。

いきなり完成度高し。骨太、タフな印象。

スタイリングの完成度、まとまり感は相当なもの。さすが元アウディのデザイナーが手掛けたというだけある。

一方フィットネスジムをモチーフにした(!)という内装はユニークだ。写真を大きくして見ていただきたいのだが、一言でいえばアソビ心溢れる=好き嫌いが分かれる造形である。

特にドアインナーが特徴的で、丸いスピーカーと一体になったドアハンドルを持ち、下部のマップポケットはギターの弦のような構造になっている。

デザインは凝っているが、走らせることは直感的にできる。さて初BYD、初中国車はどんな感じか? 予想していた通り? いや想像以上にフツーだった。

言い方を変えれば良くできている。BEVなので走行音が静かなことはもちろんだが、駆動系以外も静寂を保っているし、乗り心地もこのクラスとしてはしっとりとして良い方だ。そしてこの日同時に試乗できたBYDのニューモデル、ドルフィンと比べた印象として、かなり骨太な、タフな質感をもったクルマだと感じられた。

ちなみに駆動方式はフロントに204psのモーターを置くFFだが、BEVによくある急加速をひけらかす感じもなく、実用車として必要にして充分な動力性能だと感じた。

「いきなりこの仕上がり?」と最初は驚かされた。だが今は前例の宝庫であり、いきなりでもこれくらい仕上がっていないと勝負にならないという思いもある。本国でのデビューから約2年が経過していることによるブラッシュアップも当然含まれているはずだ。

BYDアット3、実際に食指は動くのか?

BYDの日本進出1作目となるアット3は価格面でも魅力的だ。車両価格は税込み440万円だが、約90万円の補助金や減税措置を受けられるからである。

アット3の直接的なライバルはBEVに限ればフォルクスワーゲンのID.4/メルセデスのEQB/トヨタbZ4X/ヒョンデ・アイオニック5といったところだろうか。だが前記の3台は160~300万円ほどお高いので、現実的には479万円~というアイオニック5が妥当だろう。

半日ほどの試乗ではあったが、普段使いできるBEVであることが確認できたBYDアット3。では個人的に食指が動くか、と考えてみるとすんなりと答えは出ない。

なぜか? 

話が振り出しに戻ってしまうのだけれど、たぶんそれは「BYDという中国メーカーと面識がない」からなのだと思う。面識という言葉を信用と置き換えてもいいだろう。それは経年変化を含めた物理的な信頼性もあるし、クラッシュテストの結果などではなく肌感覚としての衝突安全など全方位的な信用である。

BYDの日本法人は2025年までに100店舗の販売拠点をオープンさせると公言しており、その点はデジタルショールームを主とするヒョンデとはスタンスが異なる。信用を築くという点ではBYDに分があると思うが、それでも成熟した日本の自動車市場における信用はそう簡単に築けるものではない。

BEVブランドとして世界第2位の規模まで急成長した中国メーカーの今後の動向を見守りたい。

試乗車のスペック

価格:440万円(税込 オプションなし/補助金を除く)
全長×全幅×全高:4455×1875×1615mm
駆動方式:FF
車両重量:1750kg
電動機:交流同期電動機
定格出力(kW):65
パワーバッテリー:リチウムイオン電池
総電圧:390.4V
総電力量:58.56kWh
最高出力:204ps/5000~8000rpm
最大トルク:31.6kg-m/0~4433rpm
ギアボックス:1段固定式
タイヤサイズ:235/50R18(フロント)235/50R18(リア)

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みんなのコメント

18件
  • hit********
    何故、国内実績が全く無い外国メーカーの車に補助金を出すのか不明。
    いくら安くても私は買わない。
  • slw********
    中国のクサBEVを日本で売る為に我々の税金投入して補助金支給しないで下さい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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