■実はめちゃ“手づくり”だったいすゞ「ビークロス」
衝撃のデビューから26年、いすゞ「ビークロス」がアメリカのオンラインオークション、カーズ・アンド・ビッズに登場。広範囲にわたってカスタマイズされたワイルド仕様で、2万1472ドル(約288万円)で落札されました。
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ビークロスは1997年に発売された個性派SUVです。当時の価格は295万円(税別)。SF映画から飛び出てきたようなスタイリングが、大きな話題を呼びました。
登場から2年後の1999年、日本での販売は終了しましたが、代わってアメリカ向けに販売が始まりました。カーズ・アンド・ビッズによると1999年から2001年の間でアメリカ向けに4153台が生産されたといい、そのうちの1台が今回の車両です。
タイヤや、ホイール、サスペンションなどをサードパーティー製に変更することで約7.6cmのリフトアップを図るとともに、1万ポンド(約4535kg)対応のウインチを装着し、悪路での機動性と見た目の迫力をより高めています。
再塗装された鮮やかなボディカラーは、ポルシェのガルフブルーと呼ばれるもので、それと同じカラーがインテリアのレザーステッチなどに使われています。
走行距離は14万8800マイル(約23万9500km)。走り込んでいますが、再塗装に加えて、シート表皮の張替え、ウェザーストリップ(ドア開口部などシール材)の交換など、手入れが隅々まで行き届いているので、経年劣化を感じさせません。
ビークロスが開発された背景には、乗用車の売れ行き不振に陥ったいすゞの「選択と集中」がありました。いすゞは今でこそトラック、バスを主体とする商用車メーカーですが、かつては乗用車の開発生産もしており、戦前はトヨタ、日産と並んで「自動車御三家」と呼ばれていました。
乗用車部門にメスが入ったのは1990年代前半。セダンとクーペの自主開発を休止し、SUVに注力します。当時、SUVのラインナップは「ビッグホーン」「ミュー」「ミューウイザード」でした。
そこに「新世代いすゞ」を象徴する、超未来志向のコンセプトカー「ヴィ―クロス」が1993年の東京モーターショーで披露され、脚光を浴びます。このコンセプトカーを、頑丈なラダーフレーム構造で市販化したのが“ビークロス”というわけです。
ボディタイプは2ドアのみで、駆動方式も4WDのみの設定。ボディパネルのすり合わせをはじめ、多くの工程で熟練者による手作業を要するため、1日に可能な生産台数はわずか10台程度。珍車にして名車です。
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