■美しきセダン。レクサス新型「LS」の魅力とは
2017年に登場したレクサスの4代目「LS」はフォーマルセダンながらも4ドアクーペのような流麗なフォルムや歴代LSがもっとも苦手としていたハンドリングのレベルアップなど、次世代レクサスとしての新たな「挑戦」に挑んだモデルです。
しかし、その一方でレクサスとして期待されていた静粛性/乗り心地とのギャップがあったのも事実です。
【画像】美しきセダン「LS」。その豪華さをその目で見る!(27枚)
実はそのような傾向はLSのみならず、同じTNGAプラットフォーム(GA-L)を使う「LC」や「クラウン」でも感じていました。
同じTNGAプラットフォームでもコンパクトカー用のGA-B/GA-C、ミドルクラス用のGA-Kと比べると従来プラットフォームからの伸び代が今ひとつで、個人的には「GA-Lは失敗作?」と心配したこともありました。
そんなこともあり、年次改良で改善が続けられてきましたが、今回は初の大幅改良です。
筆者(山本シンヤ)はひと足お先に一般道を模したクローズドコースで試乗、その進化は実感しているものの、やはり「リアルワールドでどうか?」は気になるところです。
今回試乗したのは、ガソリン車(3.5リッターV型6気筒直噴ツインターボ+10速AT)がノーマル系の最上級グレード「エグゼクティブ」、ハイブリッド(3.5リッターV型6気筒+モーターのマルチステージハイブリッド)がスポーティな「Fスポーツ」です。
今回の大幅改良のテーマは「レクサスの原点に戻ること」、つまり初代LSが世界のプレミアムブランドに引き上げた要素、つまり静粛性と乗り心地のレベルアップです。
今回の試乗コースは富士スピードウェイ近郊の一般道で決して路面が優れているとはいえない環境ですが、スムーズな足さばき、路面凹凸の吸収性がアップ、大きめのギャップを乗り越える時「ドーン」から「トン」とカドが取れたアタリの良さ、アッパーマウント周りで共鳴していた衝撃音の減少などは、クローズドコースよりも実感できるレベルです。
これで少なくとも「乗り心地が硬い」といわれることはないと思います。ただ「完璧か?」といわれると、Fスポーツはいい塩梅になっていると思いましたが、ノーマル系は人によってはフォーマルセダンとしてはまだまだ硬めに感じることや細かい凹凸が続く路面状況ではヒョコヒョコと落ち着かない動きが気になったのも事実です。
この辺りはランフラットタイヤにまだまだ課題があるのでしょう。ただ、レクサスは「ランフラットタイヤで行く!!」といった以上は、安易に普通のタイヤに戻すのではなく究めていって欲しいと思っています。
さらにいえばLSにはドライブモードが用意されていますが、路面/速度域によってはノーマルやコンフォートよりもスポーツ+がもっともスッキリした乗り味に感じることがあったことを踏まえると、もしかしたら車体が硬すぎでしなやかさが足りないのも要因のひとつかもしれません。
ただ、快適性がアップされたからといってハンドリングが緩められたわけではなく、むしろ、バネ下重量の軽減やLCと同じく「綺麗に動かす/動きに連続性を持たせる」という考え方のセットアップとLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング)の黒子のような制御への変更で、一般道での一体感や操舵の気持ち良さも増しています。
パワートレインはどうでしょう。
3.5リッターV型6気筒ツインターボは制御系の変更のみならずエンジン内部にも手が入っており、発進時や巡航からの再加速時などにアクセル操作に対する僅かなタイムラグが消えたのとエンジントルクの立ち上がりが向上。
スペックの変更はないものの動力性能の余裕がより実感できるレベルなっています。
ATはシフトスケジュールの変更でドライバーの意志により忠実になっていますが、10速と段数が多いことで坂道をゆっくり(30km/から40km/h)と登るシーンでの頻繁なシフトダウンは気になります。
個人的には余裕のエンジントルクをもっと信じる制御でいいのではと感じました。
ハイブリッドは前回の改良(2019年)にアップデート済みでモーターアシスト量の増加やエンジン始動後も回転数が一気に上昇しない制御に変更。実用域では気にならないレベルに抑えられています。
ただ、発進時は電動化ならではの応答性の高さや力強さを実感するも、ガソリン車よりも絶対的なパフォーマンス不足と重い車両重量が災いし、一定速からの再加速や山坂道などではもう少し力が欲しいと感じます。個人的には3.5リッターV型6気筒ツインターボとモーターの組み合わせがあったらいいのにと思いました。
■内外装もレクサスのフラッグシップモデルに相応しい進化
もちろん、見た目のアップデートもおこなわれています。エクステリアはフロントマスク変更が中心で、ノーマル系はスッキリ&上品、Fスポーツは精悍さがアップ。
レクサスのスピンドルグリルもより馴染んだように感じます。新たに設定されたボディカラー「銀影ラスター」は、是非とも選択して欲しい色のひとつです。
パッと見は普通のシルバーに見えますが、粒子感を感じさせない滑らかさと光の角度によってさまざまな表情を見せ、「LSのデザインってこんなにこだわっていたのね」と改めて実感したほど。
個人的にはノーマル系だと艶やかさアップ、光モノが抑えられたFスポーツだとドライに感じました。
インテリアはワイドディスプレイ採用がメインです。タッチパネル対応のためにモニターが手前に移動されていますが、機能的には理解できるも流れるようなインパネデザインのバランスを崩しているのが残念なところ。
LSはレクサスのフラッグシップをけん引するモデルだからこそ、潔くインパネ変更をおこなったほうが良かったと思っています。
ちなみに最上級のエグゼクティブは「和」のテイストを活かしたインテリアコーディネイトが特徴ですが、新型では「切子調カットガラス+ハンドプリーツ」に加えて「プラチナ箔+西陣」を追加。
好き嫌いは大きく分かれると思いますが、大胆なのにさりげない和のテイストは「ニッポンのレクサス」らしさが出ており、個人的には大歓迎です。
今回の進化で「LSらしさ」が戻ってきたと思いますが、「最初からやってよ」というのが本音です。
そういう意味では、ここがLSにとって“本当”のスタートラインだと思っています。
さらに2021年にはAI技術を取り入れた最先端の運転支援システム「Lexus Teammate」の「Advanced Drive」の導入も予定されているようなので、そちらも楽しみです。
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みんなのコメント
このライターはナウなヤングとか、チョベリグとか平気で使ってるのかな?
仮面ライダーV3のVロゴみたいになったなぁ