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スポーツカー・ワールドカップ 準々決勝 8カ国一本勝負

掲載 更新
スポーツカー・ワールドカップ 準々決勝 8カ国一本勝負

第2ラウンド 準々決勝

第1試合:ドイツ vs オーストリア

ホンダ・シビック・タイプR 2017年型、サーキット試乗 FFでもいい?

メルセデス-AMG GT R vs KTM XボウR


ここからは、ドイツが数にものを言わせて攻め始める。

オーストリアはKTMが続投せざるを得ないが、ドイツは候補が多すぎて困るほどだ。残念ながら廃業してしまったヴィーズマンを選んでもいい勝負になっただろうが、今回は究極のメルセデスを登板させることにした。

GT Rは価格上限に限りなく近いが、純粋なドライビングプレジャーの徹底した追求ぶりは、より広い顧客層に向けたAMG GTの下位モデルをはるかに上回る。

強力なコンテンダーであるKTMを退けるにも十分なほどだ。次戦でもドイツは、戦いを優位に進めるだろう。まかり間違って、フォルクスワーゲン・ビートル・デューンなどを連れてこなければ、の話だが。

判定まるでダビデとゴリアテのような対戦だが、今回はダビデの負け。伝説が覆った瞬間だ。

第2試合:アメリカ vs フランス

コルベット・スティングレイ vs アルピーヌA110


これはなかなか興味深い顔合わせだ。アルピーヌの試乗車が用意されたら、実際に対戦させてみたい。注目したいのは、それぞれのアプローチの違いだ。

コルベットは保守的で、巨大な排気量の自然吸気多気筒エンジンをフロントに積み、古典的なMTを介して後輪を駆動する。一方のアルピーヌはミッドシップで、ターボエンジンにパドルシフトを組み合わせる。

コンセプト的には、われわれの好みはアメリカ代表の方だ。さらに現行コルベットの、極めて高い完成度も熟知している。現存するスポーツカーの名跡としては最古の部類だが、最新モデルも素晴らしい。

しかし同時に、新生アルピーヌに大きな期待を寄せているのもまた事実。最新技術を投入し、軽量ボディに優れた運動性能を備えるスポーツカーになることは、スペックから十分に予想できる。とはいえ、まだ実際に試乗できる段階にはないのが残念でならない。

判定アメリカン・マッスルの王者が勝利。少なくともフランスの選手が不在の今は。

第3試合:イングランド vs イタリア

ロータス・エリーゼ・スプリント vs アルファロメオ4C


もしもロータスが4Cの開発に関与していたら、この2台はもっと似通ったものになっていただろう。しかし現実には、アルファは独自のカーボンモノコックを採用。

20年選手のアルミシャシーを持つエリーゼは、さすがに敵わないだろうと、普通ならば予想するところだ。

しかし、純粋なドライビングプレジャーに焦点を当てれば、そこにはえてして魔物が潜んでいるものだ。

そういう話になると、ロータスは常に最高の仕事をする。エリーゼは決して最速マシンではないが、走りは滑らかで、そのドライビングはパワーやパフォーマンスの数値で勝る4Cでは望み得ないほどのポテンシャルを秘めている。

4Cのハンドリングにはあまりにも欠点が目立ち、パワートレインは超軽量で高剛性のシャシーを十分に生かし切れてはいない。ロータスは、構成部品からは想像しがたいほどハイレベルな走りを見せる。

アルファは、これくらいはできるだろうという域を超えることはない。それが根本的な違いだ。

判定データ上は接近していても、路上で対決すれば話は別。イングランドの楽勝だ。

第4試合:日本 vs オランダ

トヨタ86 vs ドンカーブートD8 GTO-S


野球の世界大会で予想以上の快進撃を見せたオランダだが、今回エントリーした国々の中で準々決勝に残ったというのも快挙だ。しかし、次の対戦相手はモダンなスポーツカーの代表格ともいえるモデルだ。

トヨタ86は、これより高価なスポーツカーでも得られないような、ドライビングへの熱中度と楽しさを与えてくれる。クルマの運動性の基本を理解し、挙動変化を感じ、ステアリングだけでなくペダル操作でもそれをアジャストしたくはないだろうか。しかもそれを、比較的低い速度域で、安全に。

それができるから、われわれは86に魅力を感じるのだ。速さと楽しさは、片方に目をつぶれば、もう片方を引き上げられる関係にある。86はそのことを教えてくれる。このラウンドの勝者となる理由は、それだけで十分だ。

判定果敢に挑むオランダ。しかし、世界的にも屈指のスポーツカーである侍の前では、無駄な努力だ。

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