国産モデルだとイマひとつピンとこないステーションワゴンだが、ドイツのMBAなら選択肢が溢れている。しかも御三家のワゴンは、ある時はビジネスエクスプレス、またある時は遊びのアシとして大活躍してくれる。ここではアッパーミドルワゴンから本当に“使えるワゴン”を探ってみよう。
ドイツ車には魅力的なステーションワゴンが豊富
メルセデス・ベンツの主力、「Eクラス」のフェイスリフト版がテスト模様を公開!
どうしてもドイツ車を選びたくなる理由のひとつが、ドイツの各ブランドには魅力的なワゴンが多数ラインアップされていること。中でもアッパーミドルワゴンは、Eクラス・ステーションワゴン、5シリーズ・ツーリング、そして、A6アバントの3台以外にほとんど選択肢がないのが現実だ。
これら定番のアッパーミドルワゴンのなかで、現行モデルの登場が最も早いのがEクラスだ。S213と呼ばれる現行モデルは、Eクラスとしては5代目にあたり、日本では2016年11月に販売がスタートしている。セダンのW213とともに、メルセデスの最新デザイン手法“センシュアル ピュアラティ”を採り入れ、また、インテリアに、2つのワイドディスプレイを採用するコックピットディプレイを搭載するなど、新しい試みが随所に見られる。
2017年6月には、5シリーズ・ツーリングが日本でデビュー。5シリーズにステーションワゴンが用意されるようになったのは3代目からで、現在のG31型はその5世代目に当たる。ロングフードとショートオーバーハングという、BMWの伝統的なプロポーションを受け継ぎながら、“キドニーグリル”とヘッドライトをつないだフロントマスクや先端の継ぎ目をなくしたボンネットのデザインなどによって、新しさを演出する。
3台のうちで最も新しいのがA6アバント。現在のA6シリーズは、前身のアウディ100を含めると8世代目にあたるが、2世代目にはアバントと呼ばれるステーションワゴンが登場。2019年3月に日本上陸したC8型では、アウディのアイデンティティであるシングルフレームグリルをより幅広くし、さらに、エッジを効かせたボディやシャープなデザインのライトにより、精悍な印象を強めてきた。一方、インテリアは、上下2つのタッチパネルにより直感的な操作を可能とするMMIタッチレスポンスや、液晶メーターのアウディ バーチャルコックピットなどにより、デジタル化を進めた。
まずはステーションワゴンを特徴づけるラゲッジスペースからチェックしていくことにしよう。
長年のライバルであるこの3台は、全長がEクラスで4940mm、5シリーズが4950mm、A6が4950mmとほぼ同じで、いずれもエンジンを縦置きするレイアウトを採ることもあって、荷室の広さはほぼ互角。後席のシートバックを起こしている状態でも、広大なラゲッジスペースを誇る。
A6は、3台の中では最も長い奥行きを確保していることから、見た目にも広い印象を受ける一方、A6に比べて奥行きが約10cm短い5シリーズは荷室が狭く見える。ただ、A6は荷室の横幅が短いこともあって、荷室容量のカタログ値は565Lと3台中最小。5シリーズは570Lとわずかに広い。Eクラスは、奥行きはA6よりも5cmほど短いが、5シリーズと同等の横幅を確保することから、荷室容量のカタログ値は640Lとライバルを上回る。さらに開口部の高さが一番低く、使い勝手が良い。
後席を倒せばさらに荷室が広がり、3台ともその操作が荷室のスイッチひとつで行えるのがうれしいところだ。気になったのはA6の場合、倒した後席のシートバックの傾斜が3台のなかでは最も強く、フロアがあまりフラットにならないことだ。ボディサイズに余裕があるだけに、後席のスペースも十分な広さを確保。なかでもA6は広いニールームに加えて、足元も余裕十分。より自然な着座姿勢をとることができた。
一方、気になる走りについては、それぞれ搭載するパワートレインが異なり、どれも個性的だ。
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マイルドハイブリッドが燃費と走りに貢献
3台中、最も排気量が小さいのがEクラス。このE200は、最高出力184ps、最大トルク280Nmの1.5Lの直列4気筒ターボを搭載する。これにBSGと呼ばれるベルト駆動式スターター・ジェネレーターと48V電気システムを組み合わせた、いわゆるマイルドハイブリッドシステムを加えたことで、燃費と走りに貢献。たとえば、加速時にはBSGがエンジンをアシストするので走り出しから軽い動きを見せるし、アクセルペダルを踏み込んだときにも即座に加速してくれるのだ。絶対的な加速は他の2台に劣るものの、アッパーミドルワゴンにこの排気量で十分な性能を発揮できるのはある意味感慨深い。しかも、乗り心地はマイルドで、それでいて走行時のフラットさは確保されており、とてもバランスの良いクルマに仕上がっている。
5シリーズは、523dという車名からもわかるように、2Lの直列4気筒ディーゼルターボを採用。最高出力は190psと控えめだが、最大トルク400Nmの実力派は低回転から力強い加速を見せ、アクセルペダルを強く踏み込めば気持ち良くスピードを上げていく。ランフラットタイヤは路面とのコンタクトが硬めで、サスペンションもまた硬めに躾けられているため、路面によってはショックを拾うこともあるが、シャキっとした軽快な動きはBMWの面目躍如といったところだ。
3台中、唯一V6エンジンを搭載するA6は、別格の走りを示す。3LのV6ターボは最高出力340ps、最大トルク500Nmには、E200同様、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされて、動き出しから力強く、さらに、どの回転数でもアクセルペダルの動きに素早く、力強く、そしてスムーズに反応するのだ。オプションの電子制御ダンパーや4輪操舵が搭載される試乗車では、快適な乗り心地とフラットライドが見事に両立され、アッパーミドルワゴンにふさわしい洗練された走りっぷりを見せてくれた。
長年にわたり、ライバルとして鎬を削ってきた3台だけに、パッケージングも走りも高いレベルの戦いを続けているドイツ御三家のアッパーミドルワゴン。甲乙つけがたいというのが正直なところで、どの個性に共感できるかがクルマ選びのカギになるはずだ。
【Specification】MERCEDES-BEMZ E200 STATIONWAGON AVANTGARDE
■全長×全幅×全高=4940×1850×1465mm
■ホイールベース=2940mm
■車両重量=1510kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1496cc
■最高出力=184ps(135kW)/5800-6100rpm
■最大トルク=280Nm(28.6kg-m)/3000-4000rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション=前4リンク、後マルチリンク
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤサイズ=前後255/55R17
■車両本体価格(税込)=7,730,000円
【 Specification】BMW 523d xDrive TOURING M SPIRIT
■全長×全幅×全高=4950×1870×1500mm
■ホイールベース=2975mm
■車両重量=1849kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1995cc
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-2500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=前Wウイッシュボーン、後マルチリンク
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤサイズ=前245/45R18、後275/40R18
■車両本体価格(税込)=7,980,000円
【Specification】AUDI A6 AVANT 55 TFSI QUATTRO S LINE
■全長×全幅×全高=4950×1885×1465mm
■ホイールベース=2925mm
■車両重量=1930kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ターボ/2994cc
■最高出力=340ps(250kW)/5200-6400rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1370-4500rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション=前後Wウイッシュボーン
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤサイズ=前後245/45R19
■車両本体価格(税込)=10,710,000円
取材協力
メルセデス・ベンツ東京芝浦(ヤナセ東京支店)03-5440-4755
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みんなのコメント
Eクラスも5シリーズも1000万あればもっといいグレード買えるわ
この記事書いた人アウディ好きなのかな