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「唯一の橋」突如通行止め、なぜ? トラブルから約3年半の現状や神戸市の対応はいかに

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「唯一の橋」突如通行止め、なぜ? トラブルから約3年半の現状や神戸市の対応はいかに

■橋の封鎖トラブルはなぜ起きたのか

 2019年12月、神戸市北区にある住宅団地において幹線道路につながる唯一の橋が突如として封鎖されたことが話題になりました。
 
 では、現在この問題に進展はあったのでしょうか。

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 これは長年住民が使用していた橋が、実は神戸市のものではないと判明し、所有者である団地住民が安全性を理由に橋を封鎖したことで他の住民とのトラブルが発生したものです。

 橋の入口には鉄パイプのバリケードや土のう、水が入ったポリタンクなどが置かれたほか、「住民のみなさまへ…車両等の通行は、耐久性などの診断が必要な為、当面通行禁止となります(一部抜粋)」などと記載された張り紙も掲示されていました。

 それまでこの橋は50年近くにわたり、「神戸市が管理する公共の橋」という認識で団地住民が使用していました。

 実は遡ること2019年4月、橋に付属している上水道管の修理をしようとした際に神戸市のものではないことが判明します。

 そして、修理の許可を得るために所有者を探したところ、団地に住む橋の所有者が名乗りをあげたのです。

 この所有者は2017年に団地内の住宅を購入する際、前の住人から住宅とともに橋を購入したと主張しており、橋の購入費用については1200万円と説明しました。

 さらに2019年12月、所有者は団地住民に対し、団地の30戸が40万円ずつ支払って橋を所有者から買い取り、神戸市に橋を移管することを提案しています。

 またそれが出来ない場合には、普通自動車が2万円、原付が3000円など橋の月額使用料を支払うように求めました。

 団地住民はこれまで長らく生活道路として使用してきたことや、1200万円という金額の根拠などに疑問を持ち所有者の提案を拒否します。

 一方で所有者は「橋が壊れるなどして事故が起きたときに責任は取れない」として安全性を理由に橋を封鎖し、住民が警察に通報する事態にまで発展しました。

 警察は所有者に対して、個人の橋であっても住民の生活に使われている橋を完全に封鎖することは刑法第124条の「往来妨害罪」に当たる可能性があると説明しており、その結果、所有者がクルマ1台分のスペースのみを空けることとなりました。

 団地住民は橋を無償で神戸市に移管することを希望、所有者は1200万円で購入した橋を無償で移管することに納得できないとして双方の議論は平行線をたどっていました。

 では、現在この橋の問題に進展はあったのでしょうか。

■2023年5月現在の状況は? 神戸市に聞いてみた結果…

 現在の橋の状況について神戸市建設局道路管理課の担当者は以下のように話します。

「現在のところ橋は神戸市のものではありません。また、住民同士のトラブルについても今現在は特段聞いておりません。

 2022年5月に当課職員が所有者の了解のもと橋の点検をおこなった際には、橋の上にあったバリケードなどは撤去されていました。

 また橋の状況に関しては、目視や叩いての点検をおこなったところ現段階で安全面の問題はないと思われます」

 また、神戸市の対応については以下のように説明しています。

「橋は所有者の私有財産ですので、神戸市としては団地住民と所有者の双方の意見や意向を聞きながら、法律相談の紹介などできる支援をおこなっているところです」

※ ※ ※

 この神戸市の事例のように、住民が普段利用していた橋や道路などが実は公共のものではなく個人の所有と判明し、通行料などをめぐってトラブルとなるケースは各地で発生しています。

 自治体では他の地域との公平性や費用の観点から私有地などを買い取るのは困難であるケースも多いといいます。

 問題を解決するためには住民と所有者の双方が納得できるまで協議するか、裁判によって権利関係を確定させるといった方法をとる必要があるといえるでしょう。

 神戸市北区で発生した「唯一の橋」問題について、橋の封鎖は解かれたものの、いまだ解決には至っていないものとみられます。

 私有地の通行をめぐる問題は全国でも多く発生しており、決まった解決策のない難しい問題のひとつといえます。

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みんなのコメント

34件
  • 団地住民があまりにも自己中という印象しか受けない
  • 住民がわがままなのではないか?
    自分の土地、財産を他人に無償で提供しろと言われてはいそうですかとはならないでしょう。
    使用料を払うとか、行政に働きかけて予算を取ってもらうとか、そうでなければどのような土地であろうと権利・権限が意味をなさないでしょ。
    所有者の方は権利書や取得した証明をする事で主張すれば良いのではないか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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