今回紹介するのは、サスペンションメーカーとして知られるJICがかつてD1マシンとして製作したRX-8。偉大な先代モデルFD3Sを上回るスペックを目指した各部のメイキングは注目だ。(OPTION誌2004年10月号より抜粋)
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「D1GP黎明期に話題をさらったRX-8ドリフトスペック」JIC渾身のロータリーチューンド【OPTION back number】
ワイドトレッド化と13B-REW化でレシプロ勢と真っ向勝負!
RX-8チューングの可能性を追求したチームJICの傑作
D1グランプリ2004シリーズの第3戦(エビス)に、突如として現れたRX-8。デビューからまだ1年しか経過していない新型車というだけあって、会場での注目度は凄まじいものがあった。
マシンメイクを担当したのは、前戦までS15シルビアを走らせていたチームJIC。車両製作にあたって意識したのは「500psのパワー」と「軽量&高剛性なボディ」の2つだという。
まずエンジンは、13B-MSPのままでは厳しいという結論にいたり、FD3Sの13B-REWを換装。サイドポート拡大加工やローターのバランス取り、ERCオリジナルの3mmアペックスシールの投入を行なった上で、TO4Zタービンを組み合わせて530ps/51kgmというスペックを誇る。
エンジンマウント類やバルクヘッドに加工を行い、エンジン搭載位置を後方に50mmオフセット。このフロントミッドシップ化による運動性能の向上も見逃せないポイントだ。
トランクルームにはATL製の安全タンク、ボッシュ製燃料ポンプ4基、コレクタータンク、そして燃料のパーコレーションを防止するためのフューエルクーラーが収まっている。
排気系はEXマニ、フロントパイプ、マフラー全てワンオフ製作というスペシャル仕様。なお、マフラーはリヤオーバーハング部の軽量化を考えてフルチタン製としている。
続いてボディメイキング。観音開きドアの採用によりセンターピラーが存在しないRX-8は、開口面積が大きい分ボディ剛性が低い。
それを解消するために、前後のストラットタワーに直結するロールケージを組み込んだ上でフルスポット増しを敢行。レーシングカー並みのボディ剛性を獲得しているのだ。
ボディ剛性を高める一方で軽量化も推進。カーボンドアパネルやアクリルウインドウなど軽量マテリアルの導入によって、車重は1310kgから1185kgまで絞り込んでいる。ボンネットやトランクフード類がストック状態でこの重量なので、まだまだ軽量化の余地は残されている。
足回りはJICのFLT-RS試作品を軸にセットアップ。バネレートはフロントが9kg/mm、リヤが12kg/mmという組み合わせだ。フロントには純正+5度の切れ角アップを実現するパフォーマンスT-RODを装備。リヤのアーム類はフルピロ化されている。
エクステリアはT&EフルエアロにAMCのGTウイングを合わせる。さらにフロントはブリスターフェンダー化を行い、リヤにはオーバーフェンダーを装備して片側50mmずつワイドトレッド化。絵に描いたようなロー&ワイドフォルムを演出している。
ホイールは、ウェッズスポーツのSA90で前後とも18インチ×10.5Jを通しで履く。
こうしてD1グランプリ仕様へと生まれ変わったRX-8。専属ドライバーの山下広一選手は「ホイールベースが長い分、S15シルビアよりも安定感のあるドリフトができるよ。煮詰めていけば十分戦えると思う」と評価。
まだまだ手探り状態とのことだが、秘めたポテンシャルは一線級であることは間違いない。マシンの熟成を期待したいところだ。
●取材協力:JIC 広島県東広島市西条町御薗宇3387 TEL:082-423-2280
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