現在新車で購入できるクルマに付く自動ブレーキ&運転支援システムに代表される安全装備の進化は目覚ましい。
しかし、路上を走るクルマは新車から年数の経ったクルマのほうが圧倒的に多く、ペダルの踏み間違いによる暴走事故なども多いだけに、そういったクルマに後着けという形で安全装備をインストールするのも重要だ。
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すべてのクルマに安全装備が後付けできるわけではないが、当記事では既存車に後着けできる安全装備を紹介していく。
文:永田恵一/写真:DATASYSTEM 、TOYOTA、DAIHATSU、SUBARU、MAZDA、VOLVO
【画像ギャラリー】トヨタが開発した最新の後付け安全装置 踏み間違い加速抑制システムIIの早期拡大に期待!!
急発進防止装置
■データシステム/アクセル見守り隊(税抜2万8000円)& ペダルの見張り番II(オートバックス専売品)
データシステムのアクセル見守り隊は2万8000円(税抜き)と価格的にも手軽で、安全面で効果絶大なのでオススメ
データシステムのアクセル見守り隊とペダルの見張り番IIは、停止中を含め前進と後退で10km/h以下での徐行中にアクセルペダルが急激に踏み込まれた際に暴走や急発進を抑制し、ブレーキによる停止はしないものの、ノロノロとした走行に抑える。
仕組みはここ10年で登場したクルマであればほとんどのクルマが装着する、アクセルペダルと出力制御を行うスロットルバルブを機械的なケーブルで直接つなぐ機械式ではなく、電気信号で制御する電子制御スロットルを利用している。
停止中と徐行中アクセルペダルが急激に踏み込まれた際にスロットルを戻すというものだ。
付帯する機能にはアクセルペダルとブレーキペダルが同時に踏み込まれた際にはブレーキを優先するブレーキオーバーライド、急な登り坂や俊敏な加速が必要となることが多々ある右折などの際に使う一時的なオフ機能、急激なアクセル操作と判断するレベルの5段階調整機能も含まれる。
切り替えスイッチも付属していで操作性にも優れている。ペダルの見張り番IIはオートバックスの専売品となっている
さらにオートバックス専売のペダルの見張り番IIには細い道からの本線合流や右折のため、停止状態や徐行状態からアクセルを深く踏んで素早く加速するに備えて、別売りでウインカーと連動したキャンセル機能が用意される。
自動車メーカー純正の急発進防止装置その1
■トヨタ/踏み間違い加速抑制システム(税込5万6100円)
■ダイハツ/つくつく防止(3万5200円)
■スバル/ペダル踏み間違い時加速抑制装置(税込5万6100円)&つくつく防止(税込み3万5200円)
■マツダ/ペダル踏み間違い加速抑制装置(税込み6万7100円)
フロント、リアにソナー(超音波センサー)を追加することで、後付けでは難しかったペダル踏み間違い防止装置を後から付加できる
インジケーターには文字情報が出されるほか、警告音も鳴る。ドライバーにダブルで注意を喚起するシステムはわかりやすくていい
自動車メーカー純正の急発進防止装置が持つ機能は各社ほぼ共通だ。
具体的には前後にソナー(超音波センサー)を追加することで周囲の障害物を検知し、障害物を検知した上でアクセルペダルが急激に踏み込まれた際には注意喚起とデータシステムの商品同様にスロットルを戻し急加速を防ぐ、後退時のスピードを抑制するというのが主なものとなる。
マツダは後付け可能なペダル踏み間違い防止装置を新たに発売開始。写真の先々代デミオ、ベリーサから設定開始となった
後着け可能な車種はトヨタが先代プリウスやアクア、現行プレミオ&アリオンなど12車種、ダイハツは先々代の2代目タント(2007~2013年)に初設定した後、合計8車種の軽自動車に拡大している。
スバルはペダル踏み間違い時加速抑制装置が先代インプレッサ、先代XV、つくつく防止がルクラ、先代ステラ、2代目プレオ、先代プレオプラスといったダイハツのOEMとなる軽自動車、マツダは先代デミオ、ベリーサにそれぞれ設定している。
ダイハツのつくつく防止は先々代のタントに設定して、2018年12月から商品化し、現在ではそのほかの軽自動車に拡大採用している
自動車メーカー純正の急発進防止装置その2
■トヨタ/踏み間違い加速抑制システムII(税込3万8500円)
これは前述の踏み間違い加速抑制システムに約30km/h以下のスピード域で速く強くアクセルを踏んだ時の加速を抑制する機能(加速を抑制している状態からアクセルペダルを5秒以上深く踏み続ける、アクセルペダルを早く強く踏み直した際には緩やかに加速する)を追加したものだ。
踏み間違い加速抑制システムII(税込3万8500円)は現在プリウスのみの設定だが、今後順次拡大採用することでさらに注目度アップとなるハズ
これは機能が充実しながら価格は大幅に値下げされている点も素晴らしい。
後着け可能な車種は、現在2020年6月までに生産されたインテリジェントクリアランスソナー非装着の現行プリウスのみだが、2020年11月にSAI、2021年1月に先々代クラウンと最後のマークX用が加わる予定だ。
ボルボのソフトウェアによる先進安全、運転支援機能の追加
現代のクルマはパソコンのようにソフトウェアを多数使っており、それは安全装備も同様だ。
安全装備にはカメラやセンサー、横滑り防止装置といった基板となるハードウェアが装備されており、かつ合法的ならソフトウェアで機能を追加できるというものもある。
その一例が(1)ボルボXC90の2016年式と2017年式&S90、V90、V90クロスカントリーの2017年式、(2)XC90の2016年から2018年式& S90、V90、V90クロスカントリーの2017年式と2018年式だ。
(1):具体的に加わる機能
■路外から逸脱しそうなステアリング操作が行われた際に、ステアリング操作とブレーキ制御で元の車線に戻そうとするランオフロード・ミディケーション
■斜め後方を監視するBLISの作動中に進路変更や自車線からの逸脱により隣接車線の走行車と衝突する可能性のある際にステアリングを修正し、危険回避をアシストするステアリングアシスト付BLIS
古くから安全装備にこだわりを持って採用してきたボルボは、90系モデルに先進の安全装備をアップデートするかたちで用意。今後このやり方が主流になるだろう
■ドライバーが意図せず対向車線に進入し、衝突の危険が高い場合にステアリング操作を補って衝突回避をアシストするオンカミング・レーン・ミディケーション
(2):具体的に加わる機能
■対向車線から自車線に進入してきた対向車の接近を検知し、衝突を回避できない場合には緊急ブレーキを作動させ、被害を軽減するシティセーフティ対向車対応機能
価格はそれぞれ工賃別、消費税込で9288円と、加わる内容と効果を考えれば非常にリーズナブルだ。
ドライブレコーダーを使ったインフォメーション機能
自動車メーカー純正の車線逸脱警告や先行車への接近警告は自動ブレーキ&運転支援システムの情報源となるカメラやミリ波レーダーを利用したものである。
そのため「この種のことはドライブレコーダーのカメラでも応用可能」という点に着目したのだが、パイオニアのマルチドライブアシストユニット「ND-MA2」(オープン価格)と、トヨタ車のディーラーオプションに設定される「安心機能付きドライブレコーダー」だ。
前者は対応したカーナビと組み合わせることで先行車との推定距離と推定距離を反映した接近警告、誤発進、車線内での片寄りなどをカーナビの画面に表示する。
後者は車線逸脱やふらつき、先行車への接近、先行車の発進、進入禁止の標識をブザーでドライバーへ知らせる。
それぞれカーナビやドライブレコーダーを着ける際には装着を考えてもいい商品だ。
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まとめ
今回紹介した商品はどれも比較的安価で、価格を考えれば期待以上の効果を持つ。
また、急発進防止装置を65歳以上のユーザーが購入する際には補助金の対象となるので、このことでも前向きに導入を考えたい。
記事の内容と矛盾するようだが、2013年以降のレガシィやインプレッサといったスバル車、V40やS60といったボルボであれば現代の基準でも十分な性能を持つ自動ブレーキ&運転支援システムが装着されており、まだまだ使える中古車が100万円程度で流通している。
そのため、「つなぎ的なクルマが欲しい」という人や、予算によっては思い切ってこういった中古車に買い換えるという手もあるかもしれない。
後付け安全装備を装着するの同様に、今では安くなった安全装備の充実した中古車を購入するのも得策だ。2013年式あたりのインプレッサはオススメ
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