この記事をまとめると
■広州モーターショーで新型クラウン・スポーツクロスが発表された
全店扱いでも「クラウン」は売れず! 「ステイタス」の高さゆえに悩める「王冠マーク」のゆくえ
■日本で生産したクラウン・クロスオーバーを輸入して販売するという
■中国においてクラウンブランドは富や成功の象徴
2025年までに“クラウン専門店”を40店舗展開!?
2022年12月30日より、中国・広州市内において広州モーターショー(広州車展/第30回広州国際汽車展覧会)が開催された。そして、その広州モーターショー会場内で行われたトヨタのプレスカンファレンスにて、一汽豊田のラインアップとして新型クラウン・スポーツクロス(皇冠 Sport Cross/日本名クラウン・クロスオーバー)が正式デビューした。中国国内での現地生産は行われず、日本で生産された完成車を輸入して販売されることになる。価格は36.9万元(約701万円)~42.9万元(約815万円)。日本同様に2.5リッター(2WD)と2.4リッターターボベース(4WD)の2タイプのハイブリッドユニット搭載車がラインアップされている。
日本で正式デビューした時、内外装のデザインが中国の消費者の好みに合っているように見えたので、中国国内で現地生産して量販を行うかと思っていたのだが、あえて日本製モデルとしてプレミアをつけているようにも見える。中国国内ではすでに日本にけるヴェルファイアをクラウン・ヴェルファイア(威尓法)という車名として日本から完成車を輸入販売している。
さらにハイランダーベースとなる、クラウン・クルーガー(皇冠陸放)が中国国内で現地生産され販売されている。そして、それぞれ一汽豊田のモデルとしてラインアップ。つまり、クラウン・クルーガー以外は日本から完成車として輸入されたモデルがクラウンシリーズとしてラインアップされている。
クラウン・スポーツクロスが発表された広州モーターショー会場内でのトヨタのプレスカンファレンスでは、日本でもお披露目だけされたクラウン・セダンが壇上に置かれ、詳細の発表はなかったものの中国国内での販売を予定していることも発表されている。
さらに、全中国なのか規模ははっきりしないものの、2025年までにクラウンシリーズのみを展示する専用ディーラーを40店舗展開するとの地元メディアの報道もある。
中国でのクラウンに対する注目度は日本以上
日本でもクラウン・クロスオーバーの正式デビュー発表からしばらくの間は、クルマ好きの間ではクラウン・クロスオーバーの話で持ち切りだったが、中国でのクラウンに対する視線はそれ以上に熱いものを感じる。
中国がいまのような経済大国になる源となったのが、改革開放経済。鄧小平氏の指導のもと始まった壮大な政策は、1990年代前半に加速を見せた。当時いち早く改革開放経済で経済特区に指定されるなど、その恩恵を受けるようになったのが広州市もある華南地域。改革開放経済で富を得た人が当時こぞって乗っていたのが、黒色のクラウン・セダンであった(いまでも広州市内などでは大切に乗っている人を見かけることがある)。その後沿岸部では広くクラウン・セダンの人気が高まったようで、古い世代ほど富や成功の象徴としてクラウンに憧れを抱いていると聞いたことがある。
※写真はイメージ
それからしばらく経ち、2005年に12代目クラウン(ゼロクラウン)の中国での現地生産が始まると、一気に人気モデルとしてもてはやされるようになった。その人気をけん引したのが、前述した富の象徴であった。当時をリアルに知らない世代もインターネットなどで情報収集し、クラウンに特別な思いを寄せる中国の人はまだまだ多いようだ。
そしていま、クラウン・ヴェルファイア、クラウン・クルーガー、クラウン・スポーツクロスまでクラウンシリーズのラインアップは増えた。セダンはすでに発売が予告されており、日本でもその存在だけが紹介されたエステートやスポーツも加われば、中国市場ではラインアップもかなり豊富となるので、別店舗を展開してもおかしくない話。ただクラウン・スポーツクロスにもトヨタバッジはついているので、レクサスのように完全にトヨタブランドから独立させるのではないと予想される。スズキがインドで展開しているように、アリーナ店のほかに、バレーノやイグニスなどの一部スズキブランド車を専売する上級店ネクサ店を展開するようなイメージのほうが、報道どおりクラウン店を展開するならば近いのではないかと考えられる。
中国の人たちのクラウンに対する特別な思いを販売促進に有効利用するあたりは、中国でも販売のトヨタここにありといった印象を強く受けてしまうトピックである。
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