2018年は「ゴーンショック」があまりにも大きく、いろいろなことが少し霞みつつあった自動車界。それでもいろいろとクルマ好き、そしてクルマを日常的に使う人々にとっては考えたくなる事項も多かった。
たとえば豊田章男自工会会長による自動車関連税の負担軽減に関する提言や、自動車メーカーによる燃費不正などの問題も大きく取り上げられた。
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そこで2019年こそはスッキリと改善してほしい事項をまとめてみました。いったいどうなるのか!?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
ベストカー2019年1月10日号
■まずは高すぎる自動車関連税をどうにかせい!!
自動車関連の税、現状、法的根拠のない税目が大半を占めている。そもそも自動車取得税と同重量税、燃料に含まれるガソリン税や軽油引取税は「道路特定財源」として徴税を開始した。
道路建設や整備に必要な財源は、その恩恵を受けるクルマのユーザーが負担すべきという考え方に基づく。これには納得がいく。
ところが、道路特定財源制度は2009年に廃止されたが、今でも徴税を続けて一般財源に充当。クルマのユーザーが、理由もなく多額の税金を負担しているわけだ。
さらに燃料の課税がわかりにくい。レギュラーガソリンが1L当たり150円なら、ガソリン税+石油税が56.6円、8%の消費税はこれらの税金にもかけられる。二重課税だ。
そうなるとレギュラーガソリン本体の価格は約82円。半額近くが税金だ。ちなみにガソリンの本体価格は軽油より安いが、税額の違いで高くなっている。
その一方でエコカー減税も実施され、多額の税金を徴収しながら、クルマの売れゆきは下げないように配慮(編集部註:自動車税については2018年12月に政府は減税を発表したものの、これだけではまったく足りない!! ということでどんどん意見を述べてもらいます)。
つまり税金が欲しい国と、クルマを売りたい自動車業界の結託から生まれたのが、今の自動車税制とエコカー減税だ。
エコカー減税や増税はすべて廃止して、クルマの税金を今こそ大掃除したい。保有段階の税金では地方税の自動車税は残し(政府は引き下げる方向のようだが)、国税の自動車重量税は整理すべき。
また自動車税は財産税だから、経年に応じて減額すべきだ(13年超え車両が増額される現状と逆意見)。資産価値が1万円の古いクルマに、数万円の自動車税を課すのは間違っている。
税額は固定資産税のように車両の評価額に応じた設定。これが一番いい。
■「安全装備が欲しければ最上位グレードを買え」はおかしい
ここ数年。自動ブレーキをはじめとする安全装備がユーザーから注目されている。「ぶつからないクルマ」というアイサイトのCM効果もあり、ユーザーニーズが高まっている。
メーカーも開発に力を入れている、というのが現状だが今でも不満は残る。例えば発売されたばかりのレクサスES。
車庫入れ時などに安全&便利なパーキングサポートブレーキの後方歩行者対応と、パノラミックビューモニターはバージョンLの専用装備。
ほかのグレードではオプションでも付けられない。安全装備を万全にするため、698万円の最上級グレードを買うのは無理のある設定だ。
また最近は後方の並走車両を検知できる安全装備が用意されるクルマが多いが、オプションにする場合が多い。
こういうグレード別の"安全性の差別化"はここらで一度バサッと整理して、新基準を作るべきだ。"安全装備は最高水準の機能を全車に公平に標準装着"して、量産効果により価格上昇を抑える。
このやり方をとってもらいたい。
■日本車は最近になって高すぎるのは気のせいではない!!
最近の日本車、高すぎ! 大掃除して価格見直しをしてほしいTOP5を挙げたい。価格割高車種の1位はセンチュリーだ。1960万円で、先代型に比べると700万円以上の値上げ。
プラットフォームとハイブリッドは先代レクサスLS600hの流用だし、その先代型にしても専用開発のV型12気筒5Lを積んで生産台数はわずか1万台だから、これも高コスト。
現行型を700万円以上も値上げする理由はない。開発者に尋ねると「先代型の1カ月販売目標は200台、現行型は50台だから値上げした」という。
つまり商品価値ではなく、量産効果の低下により大幅値上げ。先代型と同額に値下げすべきだ。
割高車ランキングの2位はレクサスLX。排気量は国産乗用車で最大のV型8気筒5.7Lを搭載する。価格は1115万円で、ランクルの最上級グレードより約430万円高い!
ランクルLXは装備が充実して内装が上質、ヘルプネットを含めた通信機能のGリンクも3年間付帯される。これらの総額は私が試算したところでは240万円相当。よって190万円も割高だ。
3位はクラリティPHEVで、価格は約588万円。アウトランダーPHEVは駆動用電池容量がクラリティPHEVより少ないが、前後輪をモーターで駆動する4WDを成立させた。
そのクルマが革シートなどを備えた最上級グレードでも約479万円。燃料電池車のクラリティフューエルセルと比べても、補助金額の違いにより購入時の支払い額はクラリティPHEVが高くなる。
唸ってしまう。
4位はGT-R。発売時の価格は777万円だったが(消費税は5%)、今では最廉価グレードが約1023万円だ。改良のたびに値上げされ、今では初期モデルより240万円以上も高くなった。
5位はCR-Vだ。機能や装備と価格はハリアーに近いが、内装の質は低め。よって25万円値下げするのが妥当といえ、そうなれば最も安いターボのEX(2WD)が300万円以下になる。
またSUVの3列目シートは7万~15万円が相場だが、CR-VはEXが約19万円、本革シートのEXマスタービースは約22万円の上乗せといえる。
■度重なるメーカーの不正は新制度の再構築で防げ
11月下旬からカルロス・ゴーン元会長逮捕の報道が溢れているが、自動車メーカーの不祥事も多い。
記憶に新しいところでは、2016年、三菱を発端にスズキなどの燃費計測の不正問題だ。
例えば三菱は燃費数値をよく見せる目的で、燃費計測に必要な走行抵抗の計測を違法に行っていた。この件について、国は被害者のような立場をとっていたが、JC08モード燃費は「国土交通省審査値」だ。
問題が生じれば国交省も責任を負うのが当然と思う。また最近の完成検査問題なども含めて「国交省はメーカーと協力しながら制度を作っているのか」という疑問もある。
昔から使われているアナログ的な計測方法なんぞは2019年こそゼロに! 今の車両開発に沿って、公平性と合理性を両立できる遵守しやすい制度を再構築することが大切。
さらに、日本自動車工業会などが率先して、燃費基準なども含めて開発現場の意見を汲んで新制度を決めることも考えたい。
自動車メーカーが、最も先進的な技術とノウハウを備えているからだ。法律や制度の違反は断じて許されないが、合理的に遵守しやすく改善を加えることも必要。だからまず大掃除だ。
■トヨタ全店併売は一歩間違えれば逆効果になりかねない
今のトヨタの販売店は4系列に分かれる。専売車種もあり、クラウンはトヨタ店、ハリアーはトヨペット店、カローラはトヨタカローラ店、ヴィッツはネッツトヨタ店でないと買えない。
全店が全車を売る他メーカーに比べ、取り扱い車種に販売を集中できるトヨタならではの利点だ。ただし最近は、プリウスなどのハイブリッド車を中心に売れ筋車種が全店併売になった。
系列の形骸化が進み、東京ではついに2019年4月に4系列の販売会社をトヨタモビリティ東京として1社に統合する。
この統合は東京の4系列がすでにメーカー直営だからできることで、複数の地場資本が混在する地域では難しい。
それでもトヨタは国内で売られる60車種を半数に絞る戦略を打ち出したから、系列が残っても取り扱い車種は全店併売に向かうだろう。
これではトヨタのよさは薄れる。トヨタは系列化によって扱う車種数を抑え、販売力を集中して優良な売り方をしてきたからだ。
例えばトヨタ店がパッソを扱ったり、ネッツ店がクラウンを売れば、店舗の雰囲気が曖昧になる。
踏み出したばかりの"全店全車併売"だが、今一度整理したほうがいいとホントに思う。売る側の各商品に対する愛着が薄まり、今までどおりに販売が伸びないと思うから。
■エンジンの設定を整理すればクルマの魅力もアップ
各車種には複数のエンジンが用意されるが、不要なタイプもあると私は思う。例えばCX-5やアテンザの2WD搭載の2Lガソリン。
普通に走るなら問題ないが、これらのマツダ車はスポーティな性格もあるから、この2WDも4WDやLパッケージと同じ2.5Lにすべき。
しかも2WDと4WDの価格差を見ると、4WDの価格に500ccの排気量増加は上乗せされていない。つまり2Lと2.5Lは同額だ。法人需要が想定される最廉価の20Sグレード以外は2.5Lが好ましい。
ノートのスーパーチャージャーは、e-POWERの登場で選ぶ価値を失った。e-POWERは動力性能がさらに高く低燃費。
「スーチャー」の座をすっかり奪った。また、アクセラセダンのハイブリッドは、走りの楽しさを重視するクルマの性格に合わない。
キャラに合わないエンジンは大掃除したほうがラインナップもすっきりする。
まだある。ランドクルーザープラドでは、2.7Lガソリンを整理したい。動力性能が貧弱で魅力が乏しく、選ぶなら断然2.8Lディーゼル。
後者はエコカー減税が免税だから購入時の税金も安い。2.8Lディーゼルには選ばれる理由があるのだ。さらにヴィッツの3気筒1Lは、動力性能が低くノイズは粗い。
4気筒1.3Lと価格を比べると、装備差を補正すれば価格差はわずか約5万円。驚きの数字だ。1.3Lが断然買い得で、燃費数値も1Lより優れる。不要ともとれるエンジンは大掃除したほうがよさそうだ。
■わけのわからない「サポカー」の設定を見なおそう
経済産業省や国土交通省が「サポカー」(セーフティ・サポートカー)の普及活動を行っているが、イマイチ普及しないのは区分のわかりにくさ。
「サポカー」=自動ブレーキを備えるクルマだが、このなかに「サポカーS」があり、ペダル踏み間違い時の加速抑制装置などを備えた高齢ドライバーに「推奨」されるクルマだ。
推奨ならいいが、ときどき「高齢ドライバー向け」と表現されることもあり、余計にややこしい。
そのサポカーSはさらに細分化され、「サポカーSベーシック」=車両に対する低速用の自動ブレーキ(赤外線レーザー方式)を備えたタイプ。
「サポカーSベーシック+」=車両向け自動ブレーキの作動上限速度が高まる。……など、これでもかというほどの細分化。
こんなに細分化したのに衝突時のサイド&カーテンエアバッグ装備など、車種ごとに違いがあり、サポカーのマークだけではこのクルマの安全装備の全容がすぐにわからない。
これはもう一度きっちりと整理して、わかりやすく再構築しないとユーザーとの距離はなかなか縮まらないと思う。
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