この記事をまとめると
■2021年で生産を終えたクルマを紹介
新車時に注目しなくてゴメン! 今噛み締めるとよさが伝わるスルメのような絶版国産車5選
■ホンダ車の生産終了が目立った年だった
■後継車種がないモデルが多いので、今後出てくることに期待したい
2021年に生産が終わった名車をプレイバック
2021年度が間もなく終わる。ということで、本年度に生産終了した国産車を時系列で振り返ってみよう。
2021年3月にホンダがS660を2021年度中で生産終了すると発表したことが話題となったが、じつは同じホンダオートボディー(三重県)で生産されていた軽トラック「アクティ」が先んじて4月の段階で生産終了となっていた。
ミッドシップにE07型エンジンを搭載するアクティは、農道のNSXと呼ばれることもあった名車。ホンダ四輪事業のルーツが軽トラックの「T360」であることを思うと、後継モデルを用意しないままの生産終了は、ホンダファンからすると衝撃的だったともいえる。
そんなアクティには結果的に最後を記念するバージョンとなった特別仕様車「スピリットカラースタイル」というモデルがあった。前述したT360を想起させるブルー×ホワイトと、発電機などのカラーに似たレッド×ブラックの2色が設定され、中古車市場で探すと、かなり高値で取引されている。それだけアクティを惜しむユーザーは多いという証だ。
その後、さまざまなクルマがディスコン(生産終了)になるという噂が出まわる中、10月に生産終了となったのが日産の小型セダン「シルフィ」である。かつての主力モデル「ブルーバード」の系譜となるシルフィのディスコンには、熱心な日産ファンから否定的な声もあった。
とはいえ、いまの日本でこのカテゴリーが成立するだけの市場がないのは、2020年7月にホンダ・グレイスが生産終了となっていることからも明らか。もはや5ナンバーサイズの4ドアセダンは、トヨタが旧型を継続生産している「カローラアクシオ」が一手に引き受けるという状況になっている。
ホンダが続々と生産終了を発表した年となった
縮小する日本市場において、危機的状況なのは5ナンバーセダンだけではない。かつて市場のど真ん中にいた5ナンバーミニバンも消滅の危機に瀕している。なにしろ2021年12月にはトヨタ・エスクァイアが生産終了となったのだ。
ご存知のようにエスクァイアは、ノア/ヴォクシーというミニバンの兄弟モデルで、装備を充実させたハイソ仕様という位置づけだった。そんなエスクァイアは、ノア/ヴォクシーがフルモデルチェンジによって3ナンバーボディに成長していくなか、ひっそりと消え行くモデルとなってしまった。
また、再びセダンの危機を示したのがホンダのフラッグシップセダン「レジェンド」の生産終了だ。2021年3月に世界初の量産・自動運転レベル3技術を含む「ホンダセンシングエリート」搭載車を100台限定で発売するなど、技術面でもフラッグシップとして存在感を示していたレジェンドは、2022年1月に生産終了となっている。
自動運転テクノロジーだけでなく、3モーターハイブリッド「スポーツハイブリッドSH-AWD」による異次元のハンドリングなど、ホンダの技術ショーケースといえるレジェンドが、フルモデルチェンジすることなく消滅してしまったのは非常に残念だが、こうして生産終了になることで、名前のとおりに「伝説」的モデルになったといえるのかもしれない。
そして、冒頭でも触れたように、2022年3月にはホンダS660が生産終了となった。S660のファイナルエディションといえるモデューロXバージョンZは、すでに2月の段階で生産を終え、3月は最後にオーダーの入ったカタログモデルを製造しているという。
いずれにしても、S660の生産終了によってアクティ、ビート、バモス、S660とホンダの軽ミッドシップカーを生み出してきたファクトリーは何を作ることになるのだろうか。現時点では軽商用N-VANの生産を担うことになっているが、はたしてそれだけで生産キャパを有効利用できるのかどうかは疑問もある。
生産終了ということでS660の直接的な後継モデルは存在していないわけだが、S660のモチーフとなった電動スポーツカー「EV-STER」をホンダオートボディーで製造するといった話があっても不思議ではない時代ではある。ゼロエミッション化に進むホンダが、電動スポーツカーとして軽2シーターを復活させることに期待したい。
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