アウディが電気自動車のe-tronシリーズ初のアバントモデル「A6アバント e-tronコンセプト」を公開。先駆的な駆動テクノロジーと伝統的なアバントデザインを巧みに融合
独アウディは2022年3月17日(現地時間)、電気自動車のe-tronシリーズ初のアバントモデル「A6アバント e-tronコンセプト(A6 Avant e-tron concept)」を初披露した。
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アウディは昨年4月にEV時代におけるプレアミムスポーツバックの姿をアウディ流に表現した「A6 e-tronコンセプト」を発表しているが、今回はその先駆的な駆動テクノロジーを採用したうえで、伝統的なアバントデザインを新解釈で巧みに融合させたことが特徴である。
基本骨格には、アウディが主導してポルシェと共同開発した新世代のEV用プラットフォーム「プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)」を採用。PPEは2022年後半から大型セグメントで、その後はミッドサイズセグメントでも導入する計画で、市販版のA6アバント e-tronもこの中に含まれている。
エクステリアに関しては、ダイナミックなプロポーションにエレガントなライン、そしてアウディのアバントらしいスポーティかつ印象的なリアエンドデザインを、新解釈で具現化したことが特徴である。ボディサイズは全長4.96×全幅1.96×全高1.44mと、現行のA6およびA7シリーズとほぼ同寸に設定。空力特性も重視し、空気抵抗係数(Cd値)はスポーツバックのA6 e-tronコンセプトを0.02上回る0.20という優秀な数値を実現した。
各部のアレンジにも徹底してこだわる。フロント部は密閉された大型のシングルフレームグリルに、ドライブトレインやバッテリー、ブレーキを冷却するための左右エアインテーク、フロントエンドの側面にまで伸びるフラットなヘッドライトベゼルなどを配して、印象的なマスクを演出。また、サイドビューは流麗なラインを描くフロントピラーとルーフ、ショルダーラインから上方へと立ち上がり、流れるようなラインを描きながらリアエンドへとつながるDピラー、ボディの幅広さを強調するとともにボディサイドに有機的な曲面を形成するブリスター、彫刻的な造形のロッカーパネルで接続した前後ホイールアーチ、22インチの大径ホイールと短いオーバーハングなどによって、スポーツカーを連想させる優美なプロポーションを具現化する。サイドミラーには高性能カメラをベースとするバーチャルエクステリアミラーを装着した。そしてリアセクションは、空気の流れを切り裂くかのようなシャープな造形の後端部にカラートリムを備えたリアスポイラー、大型リアディフューザーと組み合わせたバンパーエリア、フラットでスリムにアレンジしたリアコンビネーションランプなどを採用して、未来的かつ印象深い後ろ姿に仕立てる。一方、ボディカラーは光の当たり方によって色合いが様々に変化する、“ネプチューンバレー”と称するグレー系の新色で彩った。さらに、フロントライトにデジタルマトリクスLED、リアコンビネーションランプにデジタルOLEDテクノロジーを組み込むとともに、ボディ側面にはドアを開くと地面が光のステージに変化する3基の高解像度LEDプロジェクター、ボディ四隅にはターンシグナルを地面に投影する4基の高解像度LEDプロジェクターを配し、革新的なライティングテクノロジーを実現している。
パワートレインについては、トータル最高出力350kW/最大トルク800Nmを発生する2基のモーターを前後に配したクワトロドライブシステムを搭載。ほかにリアアクスルのみにモーターを配した1モーター形式の後輪駆動システムを設定する。前後アクスル間に配する駆動用バッテリーは約100kWhの大容量を確保し、しかもEV用に特化した新設計のPPEを採用した効果で、フラットかつ効率的にバッテリーをレイアウトした。性能面では、最上位のハイパフォーマンスモデルが0→100km/h加速4秒未満、エントリーモデルでも同7秒未満を実現。また、一充電の航続可能距離は欧州WLTP基準で最大700kmを達成する。一方、サスペンションは前5リンク式/後マルチリンク式で構成したうえで、EVの特性に合わせた最適セッティングを実施。さらに、アダプティブダンパーを備えたアウディエアサスペンションも、アバント専用セッティングで組み込んだ。
充電システムに800V技術を導入したことも、A6アバントe-tronコンセプトの注目点だ。最大出力270kWの急速充電器を利用すれば、短時間で大容量バッテリーの充電が可能。300km以上走行できるレベルまでバッテリーを充電するのに必要な時間は約10分で済み、また25分以内でバッテリー容量を5%の状態から80%まで充電できるという。なお、この新充電システムは、PPEとともにミッドレンジおよびラグジュアリーセグメントの量産車に順次導入していく予定である。
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