この記事をまとめると
■ヒョンデがグレンジャーを再解釈したEVコンセプトモデルを公開
続々と「こんなの見たことない」クルマが登場する! 韓国の「ヒョンデ」が圧倒的デザインセンスを実現できた秘密
■グレンジャーは2代目デボネアのノックダウン生産車だ
■当時のニュアンスをキャッチアップしながら現代的にアレンジされている
ヒョンデがリビルト&カスタムしたのは三菱の兄弟車!
ここのところ新たなフォルム、スタイリングが軒並みカッコいいヒョンデですが、少し前に発表していたコンセプトカーというか、レストモッドモデルには目を奪われた方も少なくないのではないでしょうか。いうまでもなく、レストモッドは旧いクルマを再解釈して現代の技術でもってリビルト&カスタムをしたもの。ヒョンデが選んだのは、発売から35周年を迎えたフラッグシップモデル「グレンジャー」で、EVを前提とした再解釈を加え、スタイリッシュなコンセプトモデルとして仕立て上げたのでした!
と、ここまで書いて「ムム!」となったのは、脳内に漂った猛烈なデジャブー(既視感)。ボクシーなフォルムや、オールドスクール感たっぷりなシックスライト、あるいは水族館の窓みたいなプレスドアなどなど、見れば見るほどイメージが具現化していき、ついに思い出しました。「不人気車ランキングで不動のセンター」的に扱われることの多い、三菱デボネアそのものではありませんか! と言いつつ、ヒョンデ(当時はヒュンダイ)・グレンジャーが2代目デボネアのノックダウン生産車だったことは良く知られた事実であります。
1986年7月、2代目デボネアの発売に先がけてヒョンデ・グレンジャーが発売されました。これは、1988年に開催されたソウル・オリンピックに向けて、ヒョンデがVIP用高級車の要請を提携関係にあった三菱自動車に投げかけたことで実現したもの。ちなみに、このデボネアに搭載されたV6エンジンは同じく提携先だったクライスラーも欲しがったりして、自動車業界内では発売前からチヤホヤされていたわけです。
グレンジャーは当初2リッターエンジンを搭載して発売されましたが、すぐさま三菱のV6を搭載したモデルを追加。その結果、韓国内でトップの販売台数となるなど人気街道まっしぐら。これに気をよくしたのは当然で、三菱自動車が3代目デボネアを開発すると、ヒョンデはすぐさま2代目グレンジャーとして再びノックダウン生産を開始。これまた売れに売れて、屋台骨を支え続けたといっても過言ではないようです。そんなモデルですから、ヒョンデにとってはノックダウンだろうと、なんだろうと思い出深いレジェンダリーモデルに違いありません。35周年を祝いたくなるのも、再解釈したくなるのも当然といえば当然。むしろ、三菱自動車は応援してあげてもいいくらいでしょう。
インテリアには抜群にセンスのいい再解釈がずらり
それにしても、デボネアの旧弊なスタイルがこれほどオシャレに仕上がるとは三菱だって夢にも思わなかったに違いありません。オリジンが持つスクエアな基調は、パラメトリックピクセルという細かなLEDライトの集合体で再び強調されています。グリルのメッシュもLEDとスケールを合わせるなど、ディテールにも手抜かりはありません。もっとも、これはライトが点灯しているから映えるわけで、点いていなければシルエットはグレンジャー=デボネアのまま。コンセプトカーマジック的なところですから、好みのわかれるところかと。
一方、インテリアに目を向けると、抜群にセンスのいい再解釈がずらりと並びます。たとえば、バーガンディのベルベットと同系色のレザーを用いたシートや内張は、1980年代のリッチでムーディな雰囲気をリスペクト。また、仕立てのいいアームレストに設けられた隠し収納も「懐かしさ」とか「こういうの欲しかった」的なうれしさがこみ上げてしかたありません。当時のニュアンスをしっかりキャッチアップしつつ、今風に、かつゴージャスなアレンジが加わっており、さすがデザイントレンドのトップランナーに躍り出ただけのことはあると膝を打つことしきりです。
さらに、インテリアに内蔵された18個のスピーカーや、タッチ式ディスプレイに設定されたピアノの鍵盤(実際に叩けば音が鳴るそうです)といったアイディアには誰もが驚くはず。圧巻は、天井に埋め込まれたブロンズカラーのLED照明で、このデザインが旧き良き銀座のクラブかのようで、これだけでも欲しくなる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
グレンジャーのレストモッドがこれだけ素晴らしいのですから、ここは三菱自動車にもぜひハッスルしてもらって、ランエボとかスタリオンの再解釈でもしてもらいたいもの。もちろん、デボネアでもいいんですが、需要はあるのかどうか……、と少し心配ではあります。
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みんなのコメント
もう立場が逆転していますよね
日本メーカーは現代を見上げないといけなくなったね…悲しいけど。