ヴィンテージカーが持つ古き良き時代の独創的なデザインに魅力を感じる人は多いだろう。しかし実際問題、古いクルマを乗り続けるには純正部品の調達や環境問題などで、最適なコンディションを維持するにはそれなりの覚悟が必要になる。それならいっそのことヴィンテージカーを電気自動車(EV)に改造して、いつまでも乗り続けたいという想いから生まれたのが、今回紹介する初代ロードスターEVだ。
FRのロードスターはEV のベース車両に最適
「ヴィンテージカーをEVで復活させる」という画期的な発想から、これまで数多くのヴィンテージカーEVの製作を手がけてきたオズコーポレーション(神奈川県横浜市)によると、EVにコンバートするにはベース車両選びが重要という。
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その点ロードスターはEVにコンバートするには最適な1台だという。その理由のひとつにFR(後輪駆動)であることが挙げられる。当然、EV化するにはエンジンを取り出し、モーターを組み込む必要がある。このとき、FRだと駆動系パーツが車体後部にあるので、エンジンルームに空スペースが生まれ作業がしやすいそうだ。
二つ目の理由としてロードスターは“軽量”であること。初期型ロードスターの車両重量は1トンを下まわるグレードもあるほど軽量だ。バッテリーの消費を少なくするには、やはり“軽さ”が重要なのだ。
「だったら軽自動車が最適なのでは」と思うかもしれないが、3気筒のような小さいエンジンだとエンジンルームにモーターが収まらない可能生があるそうだ。もちろんEV化できないことはないが、それなりに費用と対策が必要になるという。しかも軽自動車は独立したトランクルームを持たない車両が多いのでリチウムイオンバッテリーの搭載スペースも問題になるそうだ。
本来ならEVはトランスミッションが必要なくなるはずだが、エンジンの代わりに搭載されるDCブラシモーターにロードスター専用のアダプタープレートを装着することで、この車両にもともと搭載されていたマニュアルトランスミッションをそのまま利用している。とは言っても街中では3速ギアに固定したままAT感覚で普通に走れてしまうそうだ。
リチウムイオンバッテリーは初代日産リーフから取り外した中古バッテリーを改良して再利用している。ちなみに初期型リーフのリチウムイオンバッテリーの容量は24kwhで約200km走行可能と謳われていたが、実際は130km前後と言われている。このロードスターEVも街中では約100~130kmほど走行でき、急速充電にも対応している。
ちなみにロードスターEVの制作期間は約3カ月、気になる制作コストは450万円。EV化のエントリー価格は200万円からと決して安くはないが、モーターの種類、出力、コントローラー(インバーター)の性能、バッテリーの種類、レース仕様やハイパワー重視、航続距離重視など、自分の用途や予算に合わせて製作してくれる。
ヴィンテージカーのEV化で、エンジンのコンディション維持や環境問題を気にする必要がなくなる。今後、さらに充電施設もインフラも増え、EVの使い勝手が向上することを考えると古いクルマを堂々といつまでも乗ることができるヴィンテージカーのEV化は、これから増加する可能性が高い新たなカービジネスではないだろうか。
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