本誌特別編集の別冊、BMWコンプリート誌が主催する人気イベント、BMWワンメイク・ドライビング・レッスンが'22年末の富士スピードウェイで開催。当日の天気は快晴ながら、時折寒風が襲う人間にとってはシビアなコンディション。しかし、愛車を筆頭とするBMWならではの走りを楽しみたい参加者の熱気は、それを吹き飛ばすものだった!
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それは、このイベントにおける目玉のひとつ、フリー走行が終了したときのこと。前回のもてぎにおろしたてのM3を慣らし運転がてら持ち込んでいたIさんを見かけて挨拶すると開口一番、「270まで行きましたよ!」。一瞬、何のことだかわからなかったのだが、BMWワンメイク・ドライビング・レッスンでの試乗をきっかけに購入を決めたというIさんのM3に、オプションのスピードリミッターカットが備わっていることを思い出して合点がいった。つまりIさん、今回の富士で愛車の最高速がどの程度なのかを試したわけだ。レーシングコースの走行といえばラップタイプに目がいきがちなものだが、ホームストレートが長い富士、そこでのべ1時間を走れるとなれば参加者がそれぞれに楽しみ方を見出せることも道理と言えるだろう。
【写真21枚】ファンが支えるBMWの熱い1日「BMWワンメイクドライビングレッスン in 富士」の詳細を写真で見る
また、今回に限らずリピーターとなっている参加者から多く聞かれる声なのだが、このワンメイクレッスンのフリー走行は安心してサーキット走行が楽しめることも魅力なのだという。いわく、走る車両や参加者のスキルに違いはあれど、そこはBMWのみの走行枠。雑多なメーカー、車種が混走するスポーツ走行などと比較して(色々な意味で)不安を抱くケースが少なく、より自らの走りに集中できる環境が整っているのだとか。これには参加者の年齢層が比較的高め、つまり大人な判断ができる人が集まっていることも理由のひとつになっているはずだが、非日常的な走りを可能にするBMWの持ち味を心おきなく解き放つ、という意味でも理想的なコンテンツになっているわけだ。
そんなBMWワンメイク・ドライビング・レッスン、例によって午前中は2グループに別れてジムカーナ・レッスンとニューモデル試乗会が行なわれた。富士のジムカーナは、毎回午後のフリー走行を想定したコースレイアウトとなるが、参加者はそこを数セット周回しつつインストラクターから個別に走りのアドバイスが受けられる。また、その合間には最新のMモデルを同じコースで短時間ながら試乗。今回はM4クーペとM5が用意され(グレードはいずれもコンペティションだった)、助手席に陣取るインストラクターから車両の解説を受けつつ愛車との違いを体感していた。
一方、BMWジャパンとBMWアルピナの輸入元であるニコル・オートモビルズの協力を得て行なわれたニューモデル試乗には合計6台が集結。その内訳はBMWからi4 M50とM4カブリオレ、M8グランクーペというパワートレインが異なる3台のMモデル。アルピナからはB4グランクーペとXD4、そしてB8グランクーペと、こちらもエンジンが異なる3モデルとなり、参加者はバラエティに富んだ高性能BMWの世界を体感することができた。
ちなみに、2022年の暮れも差し迫った当日の富士は、快晴ではあったものの完全な真冬日。ジムカーナ・レッスンの会場は設置したパイロンが動いてしまうほどの寒風にも晒されていたが、BMWの走りを楽しみたい参加者の熱気はそれを凌ぐほど。たとえば、あまりの寒さからニューモデル試乗のM4カブリオレは当初、ルーフがクローズドの状態だったが、試乗が始まると参加者自らがオープンにすることもしばしば。愛車の能力を引き出したい、あるいは普段接する機会が少ないBMWを堪能したいというファンにとって、もはや開催時期や天気などは些細な問題に過ぎないのかもしれない。
ニューモデル試乗
BMWジャパンとニコル・オートモビルズの協力で行なわれるニューモデル試乗は相変わらず豪華なラインナップ。BMWからはBEVのi4からM8に至るMモデルが、アルピナからはスポーツディーゼルと直6とV8のガソリンモデルが供された。
ジムカーナ・レッスン
コーナーでのライン取りなど、スポーツ走行の基礎を復習する午前のジムカーナ・レッスン。参加者は4周を1セットでプログラムの進行状況に応じて数セット走ったのだが、外から参加者の走りをチェックするインストラクターからリアルタイムで個別のアドバイスを受けられるのが魅力。
Mモデル試乗
毎回、ジムカーナコースを1周のみという短さながら、愛車によるレッスンの合間にはMモデル試乗も実施される。インストラクターが同乗し、スポーツ走行だけでなくMモデルの魅力も解説してくれる。今回の試乗車は、M4とM5のコンペティション。
フリー走行
午後のフリー走行は、20分×3でトータル1時間という十分な走行時間が魅力。走行するのはBMWだけということもあって、これを目当てにしている参加者は少なくない。また、今回もインストラクターが理想的な走行ラインを参加者にレクチャーする「カルガモ走行」が実施され好評を博していた。
今回のインストラクター陣
今回のインストラクターは、本誌やBMWコンプリート誌のレギュラー執筆者である萩原秀輝氏と、M4やM2などBMWでのシリーズ参戦で知られる木下隆之選手。そして、若手からは根本悠生選手と川合孝汰選手が参加。
参加者コメント
Iさんは、今回唯一となる20代の参加者。元々、試乗イベント好きでBMWではM2に興味があったそうだが……。「M2の試乗車がなかったのは残念ですが、最新の高性能BMWに乗れたのは新鮮でした。ジムカーナではi4M50に乗ったのですが、実は電気自動車自体が初めて。別次元の加速とレスポンスの良さが魅力的でしたね。あと、インストラクターさんのアドバイスも勉強になりました」
アイディングS3(ベースはE36M3クーペ)という激レアなモデルで参加のNさん。3シリーズや5シリーズを乗り継ぎ、7~8年前からこのS3を愛用しているという。「このイベントに参加するのは4回目ですが、色々な最新BMWに乗れるのが魅力的ですね。試乗した現行のMモデルは、乗りやすいのが印象的でした。あと、フリー走行が安心して楽しめることも気に入っています」
ワンメイク・ドライビング・レッスンには3回目から参加しているTさん。初参加時の愛車はE46のM3クーペだったとか。「このイベントのフリー走行は、走りやすいのが魅力ですね。また、ここで知り合ったBMW好きも多いんですよ(笑)。BMWは330CiからM3と乗り継いで、現在のエディション・ヘリテージは2台目のM4になります。こういう環境で走らせるときの満足度は高いですね」
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