2020年、コロナ禍の影響を受けながらも売れ行きを伸ばした、トヨタ、そしてレクサス。なかでも、ラージサイズSUVのRXは、数あるレクサスラインナップのなかで、ダントツに売れた。
昨今のSUV人気のなかにおいて、SUVがトップセラーであるのは理解できる。しかし、RXは車幅ほぼ1.9mと、日本で乗るには若干怯むボディサイズである。レクサスには、使いやすいサイズのミドルサイズSUVもあるのに、なぜラージサイズのRXが人気なのか、考えてみようと思う。
日本じゃお目にかかれない!! 本格派ド迫力SUV「フロンティア&パスファインダー」がワールドプレミア
文/吉川賢一、写真/LEXUS
【画像ギャラリー】内装写真もあり!! 大人気のラージサイズSUV、レクサス RXを見る!!
■NXの約1.5倍も売れたRX
日本の道路事情を考えると選ぶのを躊躇するレクサス RXだが、実はかなりの売れ行きを見せている
レクサスブランドのSUVは、上級からLX、RX、NX、UXといったラインアップで、クロスカントリー路も走破できる本格クロカンSUVから、コンパクトサイズのエントリーラグジュアリーSUVまで揃っている。
なかでも、RXとNXはコンセプトが近く、2台はよく比較されるのだが、販売台数をみると、2020年はRXがNXの約1.5倍も売れている。
2020年(1-12月)は、UXを抑えてRXがレクサスで最も売れたSUVとなった
ただ、よくみると、ハイブリッド仕様の販売割合が高いNXやUXと比べて、RXはガソリン仕様のRX300が、半分近くの割合となっている点も特徴的だ。
そして、このRXのガソリン仕様が、NXのハイブリッド仕様と、たった5万円差の違いしかいない。この程度の価格差であれば、NXよりも車格がひとつ上のRXを選びたくなる心理も想像がつく。
しかし、RX全体の販売台数の半数以上は、ハイブリッド仕様だ。NXのハイブリッド仕様との価格差だけでは、RX人気の説明はつかないように考えられる。
■デカさこそが魅力!!
堂々たる車幅を持つぶん最小旋回半径は大きく、日本の狭い駐車場ではかなり苦労するだろう
RXのボディサイズは、全長4890ミリ、全幅1895ミリ、全高1710ミリ。ラージミニバンのアルファードでも、全長4950ミリ、全幅1850ミリ、全高1935ミリであり、RXのほうが45ミリも幅が大きい。
RXは、このサイズをうまく生かした、シャープでダイナミックなエクステリアデザインを持っており、他のSUVにはない迫力がある。
もちろんボディが大きくなれば、街中の取り回し性能や、小回り性能は苦手となる。
また、RXの最小回転半径は5.9メートルと異様に大きい(200系ランクルと同じ)。FFもAWDも同じだ。全長4640ミリ、全幅1845ミリと、日本では標準的なサイズのNXの最小回転半径は5.3メートル(※17インチの場合。18インチだと5.6メートル。ハイブリッドだとさらに0.1メートル増加)だ。
全長はUX<RAV4<NX<ハリアー<RXの順列で大きくなるが、RXの他は、ほぼ1850ミリ前後に収まるサイズだ RXの幅広さが際立っている
最小回転半径のこの差は、かなり大きく、RXの小回り性能だと、日本の狭い駐車場では、取り回しに苦労していることだろう。
大きくて取り回しがしづらいRXだが、日本車離れしたダイナミックかつスタイリッシュなデザインは、あの車幅あってのことだ。これこそが、RXの最大の魅力なのだろう。
NXのインテリア。個々のデザインは良いが、センターコンソールの広さはRXと比べると明らかに狭い
また、車幅の広さは、インテリアの造形にも影響を与えている。NXのインテリアは、RXと比較しても、装備面やデザインの面で、決して引けを取っているわけではない。
しかし、NXに対して50ミリも車幅が広いRXは、ダッシュボードやインパネ周りが伸びやかに使え、ぎっちりとレイアウトする必要がないためか、優雅でおおらかな雰囲気が漂っている。
RXのインテリア。広いセンターコンソール上は、木目調パネルやパネル淵にあるアルミ調加飾などが施されており、豪華な印象だ
NXやRXを購入する顧客層は、レクサスブランドが持つ上質な雰囲気を求めて、購入していることだろう。しかしNXは、いかに効率的なレイアウトをし、豪華素材を使おうとも、RXの余裕のある雰囲気を出すことはできていないように思える。
インテリアを重視した選択をするならば、やはりRXのほうが断然有利であり、レクサスの「高品質感」を求める方には、RXの方が魅力的に映るのだろう。
■次期型にはラグジュアリーSUV最高のコスパを期待!!
2018に登場したコンセプトカー「LF-1 Limitless」は、最高級ラグジュアリークロスオーバーSUV ポルシェカイエンやランボルギーニウルスといった、名だたるラグジュアリーSUVと戦うことを目指している、という。このデザインテイストが、RXに行かされるのは間違いない
現行型レクサスRXが登場したのは、2015年10月。そろそろ6年目へと突入するタイミングだ。2代目まで、RXとモデルを共用していたトヨタハリアーが、2020年6月にフルモデルチェンジをしたことから、RXもそろそろ次期型が登場するのでは!? と期待されている。そこで、次期型RXに期待することをあげてみよう。
トヨタ/レクサスには、RAV4やハリアー、ESなどで話題となった最新技術がたくさんある。
レクサスESから導入された、デジタルアウターミラーや、ハリアーに搭載した調光パノラマルーフなど、それらを次期型RXに投入し、さらにレクサス流の上質な内外装デザインが施されれば、次期型RXは全く隙のないクルマとなるにちがいない。
あとは価格だが、ヒエラルキーで下に位置するUXやNXとの関係を考えると、現行RX以上の価格となると思われ、もしかするとNXとの人気の差は、次期型ではなくなっていくかもしれない。
とはいえ、新型ハリアーを想定外に安く仕上げてきたトヨタである、期待はできるだろう。2022年登場とウワサされている次期型RXには、要注目だ。
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