登場時から売れる要素ばかりが目につき、予想どおりヒットモデルとして君臨している現行型の日産セレナ。2022年前半の販売台数を見ると、今年登場して注目を集めた新型ノア&ヴォクシーや新型ステップワゴンらを抑えている。
すでに登場から5年以上が経過し、モデル末期といってもいいモデルが、なぜこんなに売れているのだろう。そこで、現行型セレナの変遷をたどりながら、ユーザーから好評を博している理由を探っていこう。
なぜモデル末期でも売れまくり!? レジェンドミニバン「セレナ」の魅力とは?
文/フォッケウルフ
写真/日産
■ミニバン必須の能力をバランスよく備えたモデル
2022年はトヨタ ヴォクシー&ノア、ホンダ ステップワゴンといったミニバンクラスの大人気モデルがフルモデルチェンジを実施した。
内外装デザインを刷新し、新たな技術をプラスしてパフォーマンスの向上を図った新型は、当然のごとく注目を集め、ステップワゴンの受注は発売から約1カ月時点で2万7000台、ヴォクシー&ノアに関しては発売前から予約受注が3万台を超え、発売から約1カ月経過時点では7万台に達したと言われた。
2022年の乗用車の販売台数ランキングを見ると、ミニバンでは小型のフリード、大型のアルファードに次いで、ミドルクラスではセレナがトップとなっている
日産セレナは、こうしたライバルの動向を尻目に、モデルチェンジが近いと言われながらも、2016年に登場した5代目が販売されている。しかし、ライバルが新型へ移行したことで販売面で苦戦を強いられると思いきや、日本自動車販売協会連合会が集計・発表した2022年1月から6月の累計販売台数は2万7894台に達し、ランキングではヴォクシー&ノア、ステップワゴンを抑えて10位となった。
新車の納期が遅延気味で、新型に移行したライバルたちが登録まで至っていないことを考慮しても、いまだに高い人気を維持していることは明白だ。現在の売れ行きの大きな要因にもなっているミニバンとしてハイレベルな能力を鑑みると、ライバルたちがモデルチェンジしたからといって、それに追従する必要はないように思えてしまう。
セレナは1991年に登場した初代モデルから、5代目となる現行型まで、30年以上に渡って愛され、ミニバンクラスをつねにリードしてきたクルマだ
セレナの魅力は「ミニバン=家族のクルマ」という定義を真摯に追求し、車内の広さや快適性、実用的な機能を充実させて実現した使い勝手のよさといった、ミニバンに必須の能力がクラスのアベレージを大きく超えているからである。
■居住性を追求した3列シートと室内スペース
乗員の快適性に影響する車内の広さについては、デビュー当時、ミニバンクラス(全高1.8m以上の1.5~2Lクラス 8人乗りミニバン)のなかではナンバー1であることを謳っていた。もちろん、数値が大きければいいというものでもない。セレナでは数値上の広さを追求するだけではなく、「広く見せる」ための工夫が各所に盛り込まれている。
3240mm(3列目スライド装着車)という室内長は、大型ミニバンのアルファード(3210mm)を凌駕している
たとえば、天井のヘッドライニングを凹凸の少ないのびやかなカタチにしたり、1列目は視界を広げて開放感を演出したり、2列目ではBピラーとシートの間隔を広げてゆとりを感じさせるようにした。さらに3列目ではホイールハウスの出っ張りを抑えて足もとに余裕をもたせるなど、どの席でも広さが感じられるように室内空間を作り上げている。
ミニバンの特等席といえば2列目だが、この部分の広さも特筆すべきポイントだ。シートを3列目の乗員が窮屈に感じない位置にセットした状態でも膝まわりに余裕が確保されるが、超ロングスライド+横スライドによって690mmのスライドを活用すると、足を伸ばして座れるほどの広さがある。
セレナの2列目シートに座ってみると、1列目シートとの間に十分なゆとりがあることに気づく
しかも、3列目にも十分なゆとりがあり、シートは跳ね上げを前提としているが、座面が長くて着座時のストロークがしっかりと確保されているので座り心地は良好。3列目が非常用でもなく、罰ゲーム的なスペースになっておらず、文字通り「どの席でも快適」に乗車できるのだ。
車内は広さだけでなく、質感の高さにこだわった作り込みがなされている。運転席まわりには、人の手でステッチを施した合成皮革をあしらい、中央には宙に浮いているかのようなピアノ調ブラック&シルバーコーディネーションのセンターコンソールを配置。こうした細部にまで表現したワンランク上の上質感が、登場から6年を経ても、あるいは新型へと移行したライバルと比較しても古さを感じさせない。
■使いやすさと快適な走りを両立!
使い勝手のよさが実感させる機能の充実ぶりもセレナの販売を支えている要因と言える。特に注目すべきは、「ハンズフリースライドドア」と「デュアルバックドア」のふたつ。
デュアルバックドアは、車両の後方にスペースがない場所での開閉や小さな荷物を積み込む時にリアガラス部分だけを開けられるという実に画期的な機能だ
「こんなのがあったらいいな」という機能や装備がどれだけ備わっているかが、ミニバンの使い勝手のよし悪しを左右し、クルマの価値にも影響することを考慮すると、ハンズフリースライドドアやデュアルバックドアを積極的に採用したことは、現在のセレナ人気に貢献しているのは間違いないだろう。
運転しやすいという点も見逃すわけにはいかない。5ナンバーサイズのボディは、もともと取りまわし性に優れているが、ガラスエリアを大きくデザインしたことにより、全方位で良好な運転視界が確保され車両感覚が掴みやすい。
また、運転席まわりはスイッチの操作性、メーターの視認性ともに抜群。誰でも運転がスムースに行なえるというのは、家族で使うことを前提として選ばれるミニバンにとっては欠かせない要素であり、これもセレナが支持されている要因と言える。
セレナのe-POWER搭載車は2018年2月の発売。それまでは「S-HYBRID」というマイルドハイブリッドを搭載していた
そして、衰えないセレナ人気を支える要素としては、やはり「e-POWER」ははずせない。
ライバルのフルハイブリッドよりも導入コストが抑えられるというメリットはあるが、燃料消費の抑制という点では心許なく、当時のプレス用資料では、「ミニバンのために開発されたハイブリッド」と謳いつつも、セールスポイントとしては弱すぎた感は否めない。
そうした状況を打破したのがセレナ e-POWERであり、e-POWERがもたらす電気自動車的な先進の運転感覚や、26.2km/L(JC08モード)というS-HYBRIDよりも優秀な燃費性能も相まって、セレナは再度注目を集め、ミニバンクラスにおける地位をより盤石なものとした。
■ズバリ! ここがセレナのセールスポイント
ミニバンとして王道の作りをもつセレナ。運転のしやすさや乗員の快適さを追求してきたが、100%モーター駆動ならではの力強くレスポンスの良い加速を実現するe-POWERも搭載
●動力性能
S-ハイブリッド仕様は廃止され、現在はe-POWER搭載車のみの設定。小排気量エンジンにモーターを組み合わせることで燃料消費を大幅に抑制できる。モーター駆動ならではの運転感覚も魅力だ。
●操縦性
ライバル車に比べてフロア位置が高く設定されるが、ボディの高剛性化やショックアブソーバーの容量をアップさせるなどの改良によって、背の高さを感じさせない操縦安定性と乗り心地のよさを実現している。
●運転のしやすさ
フロントの窓枠が細く、着座位置が適切で、運転席まわりのデザインも視界を妨げないような工夫が施されている。運転視界が良好で、ボディの四隅が把握しやすいのでスマートに扱える。
●居住性
クラス最大級の室内長(最大3240mm)を誇り、1545mmの室内幅と相まって5ナンバーサイズミニバンのなかでは、車内がもっとも広い。後席は2列目、3列目ともにゆったりと快適に乗車できる。
●実用性
広々とした室内のいたるところに便利な収納が備わっており、どの席に座っても使い勝手のよさが実感できる。荷室は広々としたスペースが確保され、多彩なシートアレンジ可能なうえに操作もしやすい。
●安全性
緊急自動ブレーキや車線逸脱警報といった基本的な予防安全装備は全車に標準で備わっている。運転支援機能のプロパイロットはグレード別設定(またはオプション設定)なので、必要に応じて選ぶといい。
●経済性
効率的な発電を行なうe-POWERの搭載や優れた空力性能によって最大18.0km/Lの低燃費を達成。ミニバンは競争の激しい分野だが、セレナは機能と価格のバランスがよく割安感がある。
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