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Team HRCが最多220周を走破し3連覇達成。ホンダ30勝目&高橋巧の最多勝更新となるメモリアルウインに/鈴鹿8耐

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Team HRCが最多220周を走破し3連覇達成。ホンダ30勝目&高橋巧の最多勝更新となるメモリアルウインに/鈴鹿8耐

 三重県の鈴鹿サーキットで7月21日11時30分にスタートを迎えた『2024 FIM世界耐久選手権(EWC)”コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会』の決勝レースは19時30分にフィニッシュを迎え、Team HRC with Japan Post(高橋巧/ヨハン・ザルコ/名越哲平)が過去最多の220周を走破して総合優勝を飾った。

 EWCシリーズの第3戦として位置付けられた鈴鹿8耐は、昨年より4台減の全46台がエントリーした。ウイーク中は何度か雨に見舞われることもあったが、徐々に天候は回復に向かい、2年連続でのトップ10トライアルも実施。各日で盛り上がりを見せた。

【鈴鹿8耐】折り返しを迎えザルコが好ペースでリード。Moto2ライダーのアレナスも走行/5時間途中経過

 決勝日は朝から青空が広がり、好天にも恵まれ猛暑日となった。そのなか、朝のウォームアップ走行やピットウォークなどを終え、11時30分にはいよいよ決戦を迎えた。多くの観客が46台のマシンが並ぶホームストレート上に注目をするなか、ル・マン式スタートによって8時間と長丁場のレースが幕を開けた。

 まずはライターベルガー(BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM)がホールショットを奪うも、早々にポールスタートのカネパ(YART - YAMAHA)が首位を奪取。カネパが集団を牽引していくかと思いきや、序盤からトップが目まぐるしく入れ替わる展開となった。

 スタートでやや出遅れるも脅威の追い上げを見せた水野涼(DUCATI Team KAGAYAMA)がトップを奪う場面も見られた。しかし、3連覇を目標に掲げる高橋巧(Team HRC with Japan Post)が開始1時間ほどで首位に立ち、独走体制を築いた状態でヨハン・ザルコにバトンを繋いだ。

 開始から1時間を前にトップの順位は一度落ち着き、Team HRC with Japan Post、2番手にYARTヤマハが続く。序盤にトップ争いを繰り広げていたDUCATI Team KAGAYAMAは、水野がピットインしたタイミングでエンジンがかからず、大幅にタイムロス。順位を下げる結果となるも、3番手につける状況だった。

 1時間を目処にルーティーンピットを済ませ、各車は順調に周回を重ねていた。そのなかでもYoshimura SERT Motulがトップ勢のなかで遅いタイミングでピットに入ったことで、2時間経過時点では4番手にまで順位を上げることに成功。5番手にはHonda Dream RT SAKURAI HONDAがつけた状態で3時間を迎える。

 依然としてトップを快走するTeam HRCが、名越哲平から高橋へ交代し、セカンドスティントへと向かう。序盤から各所にてクラッシュが相次いでいたが、SC(セーフティカー)や赤旗が掲示されることもなく、中盤戦へと突入していく。

 中盤頃には、トップ10圏内を走行していたジョシュ・フック(F.C.C. TSR Honda France)が転倒。走行を継続させてミスを最小限にとどめていたが、その後ストップ&ゴーのペナルティ、そして緊急ピットインを余儀なくされる展開となった。また、同じくフル参戦組のヨシムラSERT Motulは燃費を活かして、2番手のDUCATI Team KAGAYAMAとの差を少しずつ詰めていた。

 しかし、5時間を経過してもトップ3に変化はないまま、レースは進んでいく。終盤に差し掛かる頃には、徐々に陽が傾き始めるも気温はあまり下がることなく、レースは終盤へと向かう。その頃、緊急ピットインから作業を済ませてコースに復帰したTSRホンダが2度目の転倒。さらにヨシムラSERT Motulにもライドスルーペナルティが科され、悲劇が立て続けにフル参戦勢を襲った。

 残り1時間頃になると、コース上は夕日に照らされて輝きを放ち、マシンはライトを点灯させて走り進める。トラブルなく快走を続けるTeam HRCは、残り1時間15分ほどを残してザルコにステアリングを委ねた。2番手につけるYARTヤマハ、3番手のDUCATI Team KAGAYAMAも順調に周回を重ねていた。

 各チームが続々と最後のピットを済ませ、最終スティントを務めるライダーへがマシンに乗り込んでいき、最終盤へと突入。日没を迎えコースが暗闇に包まれた頃、グランドスタンドでも少しずつライトスティックが明かりを灯し、各チームとライダーに声援が届けられる。

 そのなか、終盤のペナルティにより3番手のDUCATI Team KAGAYAMAと距離が広がってしまったヨシムラSERT Motulが渥美心の爆走により、距離を縮めていく。残り30分というところで2台が一気に接近し、バトルはヒートアップ。

 同じ頃には、2番手につけるYART - YAMAHAはカレル・ハニカが最終スティントへ向かう。そして猛追の渥美は、3番手と表彰台圏内にまで姿を現した。さらに、残り20分ほどでトップ独走のTeam HRCがピットインし、ザルコから高橋へ最後のスティントを託した。

 高橋が安定した走りを披露するなか、ここでTeam HRCに40秒加算ペナルティが科される事態に。しかし、2番手のYARTヤマハとはそれを上回るアドバンテージがあることから、トップに変わりはない。序盤からトップを奪うと、以降は安定したペースでトップを快走。他を寄せ付けない走りで、最多周回数となる220周を走破してチェッカーを受けた。

 見事なレース運びで2024年の鈴鹿8耐を完全制圧し、3連覇を達成。また、高橋にとって自己最多勝利数を6に伸ばす快挙、ザルコと名越にとっても初勝利となる嬉しい優勝となった。さらにザルコは2023年の第16戦オーストラリアGPにてMotoGP初勝利を飾った際と同様に、ポディウムでは歓喜のバク宙も披露し、周囲を沸かせた。鈴鹿8耐においてホンダ通算30勝目をももたらし、快挙達成づくしの思い出深いレースとなった。

 2位にはYARTヤマハが入り、鈴鹿8耐で初の表彰台を獲得。EWCシリーズでもランキングトップをキープしており、最終戦となる第4戦ボルドール24時間へチャンピオンに一番近い状態で乗り込むことになる。しかし、そのポイント差を最終盤で縮めたのは、3位でチェッカーを受けたヨシムラSERT Motulだった。チャンピオンシップで3ポイント差の2位につけており、こちらもまだ年間王者の可能性を十分に残している。

 鈴鹿8耐初挑戦ながらも事前テストから好調を示していたDUCATI Team KAGAYAMAは、最終盤で表彰台圏外と沈み4位でチェッカー。5位にはフル参戦組のBMWモトラッドが入った。同じくフル参戦のTSRホンダは、終盤に2度目の転倒もあり、34位と悔しい結果に。

 6位にはHonda Dream RT SAKURAI HONDA(伊藤和輝/日浦大治朗)、7位にTOHO Racing(清成龍一/渡辺一樹/榎戸育寛)が続いた。まずは完走を目標といながらも、好走を披露していたTeam SUZUKI CN CHALLENGE(生形秀之/濱原颯道/エティエンヌ・マッソン)は総合8位と大健闘。

 9位にSDG Team HARC-PRO. Honda(マリオ・アジ/浦本修充/國井勇輝)、10位にKM 99(ランディ・ド・プニエ/ジェレミー・ガルノニ/フロリアン・マリノ)と以上がトップ10となった。

 SSTクラスは、TONE RT SYNCEDGE 4413 BMW(星野知也/吉田愛乃助/ハネス・ソーマー)がクラス優勝を飾った。2019年以来に悲願のクラス優勝奪還となった。そして、今季からEWCシリーズにフル参戦しているTeam Étoile(ロベルト・ロルフォ/大久保光/亀井雄大)がファイナルラップで逆転。参戦3戦目の母国にてクラス表彰台2位を獲得した。

 3位には一時クラストップにも浮上したTaira Promote Racing(阿部恵斗/西村硝/三上真矢)が入った。最後はTeam Étoileに先行を許すも、チームとして鈴鹿8耐2度目の出場にして表彰台を勝ち取り、嬉しい結果に。

 2024年の鈴鹿8耐も昨年に引き続き酷暑となったが、決勝日には30,000人、3日間では56,000人もの観客を動員した。昨年以上の盛り上がりを見せた鈴鹿8耐で、多くの観客が見守るなか、46台中38台がチェッカーを受けた。昨年よりリタイアも多く、激しいバトルが随所で繰り広げられ、見どころも多かった真夏の祭典、鈴鹿8耐は大盛況のなか幕を閉じた。

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