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期待は大きかったけど残念な結果に!? 名車に成りそこねた車5選

掲載 更新 6
期待は大きかったけど残念な結果に!? 名車に成りそこねた車5選

■志は高かったけど名車になれなかったクルマを振り返る

 自動車の製造が始まってから、130年以上が経過します。その間に、世界中に影響を与えた名車が、何台も登場しました。

アメ車にしか見えない? 日本車離れしたデザインの日本車5選

 そうした名車と呼ばれるクルマは、決して販売台数が多いとは限りませんが、後世でも語り継がれる存在です。

 一方で、大きな期待を背負って開発されながらも、残念な結果になってしまったモデルも存在。そんな名車に成りそこねたクルマを5車種、ピックアップして紹介します。

●オーテック・ザガート「ステルビオ」

 創業から100年を経過するイタリアの老舗カロッツェリア「ザガート」は、現在は「SZデザイン」に社名を変え、継続して工業デザインをおこなっています。

 かつてはアルファロメオやランチアといったイタリア車を中心に設計、製造をおこなってきましたが、近年はアストンマーティンなどのデザインも監修。

 日本車とのつながりは数少ないのですが、もっとも有名なのが1989年に発売されたオーテック・ザガート「ステルビオ」ではないでしょうか。

 ステルビオはオーテックジャパンが開発し、主要コンポーネンツは日産2代目「レパード」から流用され、デザインはザガートが担当しています。

 生産はベースとなるレパードのシャシを日本からザガートに送り、アルミ製ボディパネルやカーボンファイバー製ボンネットなどを架装して輸入され、オーテックジャパンが販売するというものでした。

 外観はザガードにより全面的に変更された2ドアクーペで、ボンネットに内蔵されたフェンダーミラーが特徴的です。

 内装はレパードと共通のインパネとセンターコンソールながら、ダッシュボードやシートが本革張りに変更され、メーターパネルやセンターコンソールなどに本木目もふんだんに使われるなど、高級なイタリアンスポーツカーの雰囲気に仕立てられました。

 搭載されたエンジンはオーテックジャパンのチューニングにより、最高出力280馬力を発揮する3リッターV型6気筒ターボの「VG30DET型」で、トランスミッションは4速ATのみが設定せれています。

 当時の価格は1870万円で200台の限定販売と、まさにバブル景気を象徴するような1台ですが、実際はかなりクオリティに問題ありました。

 日本に陸揚げした時点でシャシや足まわりがサビていたり、チリが合っていないなど、オーテックジャパンでの手直しが必要で、納車までにかなり手間と時間がかかったといいます。

 これほど贅を尽くしたクルマでしたが、現在はプレミア価格というほどではなく、中古車が200万円台から300万円台の価格で販売されています。

●トヨタ4代目「クラウン」

 現在もトヨタを代表するプレステージサルーンの「クラウン」は、1955年に初代が発売されました。当時はまだマイカーが誰でも持てるような時代ではなく、クラウンは誕生した時から高級車に分類され、代を重ねます。

 そして、1971年に発売された4代目クラウンでは、それまでの国産高級セダンとは一線を画する外装デザインにボディ同色バンパーの採用や、曲面を多用したフォルムなどが斬新でした。

 ボディタイプは4ドアセダンを基本とし、2ドアハードトップ、ステーションワゴン、ライトバンを設定。トップグレードにはシリーズ初の2.6リッター直列6気筒エンジンを搭載するなど、高級車としての存在感をアピールしています。

 また、現在はすべてのクルマが搭載する電子制御燃料噴射装置を早期に採用し、電動リクライニングシートやアイドリングストップ機能など、当時の最先端技術が投入されました。

 しかし、4代目の斬新な外観は保守的なユーザーから敬遠されてしまい、販売は低迷。ライバルの日産「セドリック/グロリア」に販売台数で負けてしまったことから、後に「クラウン史上最大の失敗」と揶揄されたほどです。

 そこで、トヨタは発売からわずか3年後の1974年に、直線基調で重厚感のあるデザインに一新された5代目を発売し、販売台数を回復させました。

 しかし、当時は受け入れられなかった4代目のデザインですが、現在は再評価されてファンも多く、クラシック・クラウンのなかでも高い人気を誇っています。

●マツダ4代目「ファミリア」

 マツダ「ファミリア」は、かつて同社の主力車種として販売された、現在の「マツダ3」の先祖的存在です。

 初代ファミリアは1955年に誕生し、ボディは4ドアセダンを基本に、2ドアクーペやステーションワゴンなど、多彩なラインナップを展開。

 1967年に登場した2代目では、ロータリーエンジンを搭載する高性能モデルも登場しています。

 そして、1970年代になると小型車は3ドアハッチバックや5ドアハッチバックが主流になりつつあったことから、マツダも1977年に2BOXスタイルの4代目ファミリアを発売。

 外観は全体的に丸みを帯びたデザインで、1975年に発売された2代目「コスモ」に似た縦格子デザインのフロントグリルが特徴的でした。

 この上級車種をイメージさせる戦略が成功し、当初は販売も好調で、ヒット作になります。

 しかし、先代から引き継いだシャシの基本設計は古く、駆動方式はFRを採用。ライバルモデルが続々とFF化されて、広い室内空間を実現していたことから、販売は低迷してしまいました。

 そうした状況から、1980年に「赤いファミリア」として有名な5代目へとモデルチェンジ。FFを採用して室内を広くし、直線基調のシャープなボディデザインと相まって大ヒットを記録します。

 本来ならば最後のFRモデルとして4代目は記念すべきクルマですが、5代目のヒットの影に隠れてしまいました。

■映画の公開がもう少し早かったら、運命は変わっていた!?

●三菱「i-MiEV」

 三菱「i-MiEV」は同社の軽自動車「i(アイ)」をベースに、エンジンに替わってリチウムイオン電池とモーターを、車体のリアに搭載したピュアEVとして2009年に発売されました。

 日産初代「リーフ」が2010年の発売なので、i-MiEVは世界初の量産電気自動車という名誉あるクルマです。

 発売当初は法人、官公庁、自治体向けでリース販売され、64馬力のモーターと容量16kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載し、価格(消費税込)は459万9000円に設定されました。

 一般のユーザーには2010年4月からデリバリーが開始されると、2011年には速くもバリエーションを拡大し、標準車の「G」グレードに加えて46馬力のモーターに10.5kWhの電池を搭載した廉価グレード「M」が追加されます。

 モーターという動力源の特徴により、発進時から最大トルクを発揮することから、i-MiEVは軽自動車ながらも優れた加速性能が話題となるなど、EVを身近な存在にした立役者です。

 しかし、補助金交付後の実質的な価格がMで188万円、Gで284万円と高額で、ガソリン車と比べてしまうと航続可能距離も短いため、販売台数は低迷。

 そうしたなか、2018年4月にマイナーチェンジがおこなわれ、前後バンパーを歩行者保護に関する保安基準の変更に対応したため、全長が85mm伸びた3480mmとなり、軽自動車から普通車に格上げされました。

 そのため、日本国内での販売はますます厳しい状況となりましたが、i-MiEVが世界初の量産EVであることは変わりません。

●デロリアン「DMC-12」

 1975年、GMの副社長だったジョン・デロリアンは、自分が理想とするクルマをつくりたいという思いから、GMを辞めてデロリアン・モーター・カンパニー(以下DMC)を設立。

 その後、同社初のクルマが1981年1月に発売されたデロリアン「DMC-12」です。

 外観はイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによるデザインで、スーパーカーをイメージさせるクサビ型のボディに、ガルウイングドアを採用した2ドアクーペ。

 エンジンはプジョー、ルノー、ボルボが共同開発した132馬力の2.85リッターV型6気筒を、リアに搭載しています。

 ボディ全般の開発は英国のロータスがおこない、スチール製のバックボーンシャシにFRP製のボディパネルを架装。さらに外装には無塗装のステンレス製パネルが装着され、未来的なフォルムを実現しています。

 こうしてデビューしたDMC-12は大いに話題となり、価格が2万5000ドル(現在の約7万ドル相当)と高額ながら、発売当初はバックオーダーを大量に抱えたほどです。しかし、当時はアメリカの景気後退があり、すぐに販売が低迷。デロリアンは大量の在庫の処分ができない状況となりました。

 また、社長が麻薬密売の容疑で逮捕される(後に冤罪と判明)というスキャンダルも追い打ちをかけ、DMC-12の発売からわずか1年後の1982年2月に、DMCは破産を申請。

 その後、DMC-12は管財人のもとで残った部品から生産が続けられ、1982年12月に生産終了となるまでに、約9000台がラインオフしました。

 破産から3年後の1985年に公開された映画「バックトゥーザフューチャー」で、DMC-12はタイムマシンとして登場し、大ヒットしたことで世界中に知られる存在になりましたが、当時はすでにDMCの破産後だったのが惜しまれます。

 現在、DMCブランドの権利はアメリカのテキサス州にある「DMCテキサス」という会社が保有しており、EV化したDMC-12の生産を2021年秋に予定していると発表しました。

※ ※ ※

 最後に紹介したDMC-12が、わずか2年弱の生産だったことは意外だったと思う人も多いのではないでしょうか。

 そして、DMCが再び注目される出来事として、2019年12月に日本で公開された映画「ジョン・デロリアン」があります。

 内容はジョン・デロリアンの半生が描かれているのですが、残念ながら映画もヒットしたとはいえません。

 しかし、DMC-12の記憶は、多くの人に刻まれているのではないでしょうか。

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みんなのコメント

6件
  • まぁ色々あるけど、デロリアンかっこいいな
  • ジョン・デロリアンの半生の麻薬取引に関するのが主で、クルマ(DMC-12)が出来るまでのタッカーみたいな話じゃなかった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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