2024年シーズンにおけるマクラーレンの予想外の台頭は、F1の世界を驚かせた。マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウン自身も、チームが発展するこの段階で栄光に狙いを定めることになるとは想像もしていなかった。
かつての面影は薄かったマクラーレンだが、接戦となっている今年は予想を覆し、真のタイトル候補として浮上している。サマーブレイク前の時点で、コンストラクターズランキングにおいてチャンピオンシップリーダーのレッドブルとの差がわずか42ポイントと、チームの復活はまさに目覚ましいものだ。
【F1前半戦レビュー:マクラーレンの“プラス”と“マイナス”】技術者がリードする体制の強さ。自信不足のノリス
マクラーレンの復活は昨年本格的に始まり、シーズン終盤に強力な追い上げを見せた。しかし、2024年に彼らが示してきたパフォーマンスの持続レベルを予測できた人はほとんどいなかっただろう。今年4月の中国GPから始まった10回連続の表彰台獲得記録のなかで、ランド・ノリスはマイアミGP、オスカー・ピアストリは最近のハンガリーGPで、ふたりともキャリア初優勝を味わった。
「もし私がここに座って驚いていないと言ったら、それは不誠実だ」と、ブラウンは『BBC Sport』に説明した。
「我々は引き続きギャップを縮めていくだろうと感じていた」
「私はサマーブレイクの時点で、あと1レースでトップに立つことになるこの位置にいると思っていただろうか? そのレースでは1位と2位を占め、ファステストラップも出さなければならないだろうが、そんなことになると思っていただろうか? それはノーだ。しかし、過去の6、7レースと同じ軌道を維持できれば、年末までに必要としている場所にたどり着くことができるだろう」
「2025年までに今の状態に戻れるかもしれないと思っていた。2024年に今のような状況になるとは思っていなかったが、不満を言うつもりはない」
素晴らしい成績を残しているものの、マクラーレンはレッドブルという手強い挑戦に直面している。現世界チャンピオンはセルジオ・ペレスの不安定さに阻まれてきたが、マックス・フェルスタッペンの圧倒的な強さを考えると、彼らを軽視することはできない。そのためブラウンは、現在の強さと勢いがあるにもかかわらず、マクラーレンが1998年以来となるチャンピオン候補になると宣言することには慎重だ。
「厳しいものになるだろう。最後のレースまで決着がつかないと思う。互いのマシンの間に大した差はない」
「セルジオ・ペレスのパフォーマンス次第ではないだろうか? もし彼が本来の力を発揮できれば、厳しい戦いになるだろう。彼が今年のようなパフォーマンスを続ければ、我々にはかなりのチャンスがあるだろう」
ドライバーズ選手権をめぐる戦いも激化しており、ノリスがフェルスタッペンにとって真の脅威として浮上している。しかし、マクラーレンのドライバーはチームと同様に、今シーズンいくつか重大なミスを犯しており、タイトル獲得の望みは妨げられてきた。
「我々はみんな様々な間違いを犯してきたが、私にとってそれは学習経験だ」とブラウンは述べた。
「我々が思っていたよりも早く現在の状況に到達できたということは、まだ学ぶべきことがあるということを示しているのかもしれない」
「シルバーストンでは1位と2位でフィニッシュできたはずだった。ランドは世界選手権を目指して戦おうとしている。彼も我々と同じように学んでいる」
残り10レースとなった2024年のF1シーズンは、スリリングなクライマックスを迎えることが約束されている。マクラーレンの復活とメルセデスの好転が相まって、チャンピオンシップ争いに新たな活力が吹き込まれ、シーズン後半に予想外の興味を引き付ける要素が加わった。
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