「ボ、ボ、ボクらは少年探偵団・ヤングタイマー探訪記第2部」のはじまりです。1980年代、1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)とGQ JAPAN編集部のイナガキ(少年I)のふたり。取り上げるのは、メルセデス・ベンツの2代目Sクラス(W126)だ。
偶然見つけた300SE
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少年I おぎゃー、おぎゃー。
少年O 今回はいきなり赤ちゃんのかっこで登場。いったいなんのマネですか。
【前話】シトロエンCX
少年I 生まれたばかりのノラ・ジョーンズのつもり。天才シタール奏者ラビ・シャンカルの娘としてノラ・ジョーンズが生まれたのが1979年なんです。
少年O なるほどね。お父さんは、私も大好きなミュージシャン。超絶テクですよ。たしかにノラ・ジョーンズの本名って、ギータリ・ノラ・ジョーンズ・シャンカルですね。
探偵 それが今日のクルマとどういう関係が?
少年I 今回取り上げるメルセデス・ベンツの2代目Sクラス、ファンはW126と呼ぶモデルの登場が、1979年。
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
探偵 私が生まれる10年前のことですね。
少年I ただし今回のクルマはそこまで古くないんです。1991年生産の最終型300SEです。現オーナーの木谷宗義さんは、2021年に手に入れたばかりと言います。そういえば、木谷さん、今日(取材当日)がお誕生日だそうで。
少年O おめでとうございます。
探偵 40歳になられたそうですね。このクルマをリアルタイムではほとんど知らないのに、あえて手に入れられた、そのワケは?
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
少年I クルマに関するメディアのお仕事をしていらっしゃるので、むかしのメルセデス・ベンツのよさは周囲のひとたちからさんざん吹き込まれていたとのことです。それでいつかは乗ってみたいと思っていたそうですよ。候補には「190E」やW124シリーズも入っていたといいます。この300SEは、ぐうぜんツイッターで見つけて、購入にいたったといいます。
少年O ちょっと古いクルマとの出合いって、そういうものですよね。いきおいでオーナーになる。ひらめきみたいなものがあるわけです。よくわかります。
少年I いい出合いがあれば人生はドリームのように……。
探偵 ???
少年O ノラ・ジョーンズが「At Last」でそんなことを歌っています。
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)
重厚なつくり
探偵 なにより外観のたたずまいが、いいですよね。プロポーションはいいし、グリルやヘッドランプのデザインもまったく古くさく感じられません。クロームの使いかたも控えめで、適度なエレガントさもあります。
少年I いま乗っていてもまったく違和感ないですよね。ただし、昨今のSクラスと大きく違うのが、インテリアの作りかたといいましょうか。3代目以降のモデルは、わりとリラックスした姿勢で乗っていられますけど、当時のSクラスはもっと格式があるといいましょうか……。
少年O 木谷さんも、憧れていたSクラスに乗ってみて、「運転席に腰を落ち着けると背筋がすっと伸びるようなかんじです」と、おっしゃっています。
探偵 それ、わかります。そもそも、シートの座り心地、いまのクルマとまったく違います。
少年O このW126までのSクラスと、ミディアムクラスであるW124の第1世代と、やはり190シリーズの第1世代は、とりわけ内装の作りもいいですから。のちのモデルではいろいろ簡略化されちゃうんですが、シートひとつとっても、すばらしい出来ですよ。
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
探偵 シートにはウネがあるんですね。
少年O それが特徴ですね。座面には、馬の毛とシュロの繊維で編んだパームロックという台座をコイルスプリングの上に置き、ウネは、袋状に縫製されたシートの表面素材に、工員さんが1本1本手で差し込んでいくという手のかけかた。いまでも、欧州の高級チェアにはパームロックを使ったものがあります。でもごくまれ。
少年I こういう欧州のクラフツマンシップを感じさせるプロダクトは、かなり貴重ですよね。それが博物館のなかでなく、こうして、2021年になっても、ふつうに使えちゃうのが、メルセデス・ベンツのすごいところだと思います。シートは、からだをやさしく包みこんでくれるのとも違う、独特のクッション性ですね。くわえて、毛織物の両面を毛羽だて、加工したベロアという生地で張ってあるのもクラシック感満載です。
少年O じっさいにレザーよりたわむからクッション性がいいので、私も自分で選ぶならぜったいベロア張り! と、決めています。当時日本に入っていたモデルはベロア内装が多かったようです。
探偵 木谷さんの300SEは右ハンドルなんです。めずらしいんじゃないですか、右ハンドル。
少年I 当時、300SE限定で設定されていました。ステアリングコラムを180度まわして、ウィンカーレバーが右にあるのも特徴です。
探偵 運転席に座っての最初の印象は、わ、ハンドルでか(い)!というものです。
少年O それでも初期のモデルよりすこし小径になっているんです。大径にあえてこだわったのは、パワーアシストが故障しても、力を入れやすいからという、エマージェンシー対応だそうです。
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
日産PAO
探偵 しかも握りには独特のでこぼこがあって、それも個性的。
少年O いわゆるシボ(絞り)ですねえ。合成樹脂のステアリングホイールのリムが滑らないように、独特のでこぼこをつけています。これが当時のメルセデス・ベンツ車の特徴。運転席に座ると1980年代に戻ってしまうような、なつかしい感覚です。シフターは、ジグザグゲートと呼ばれて、誤操作防止のために右に左に動かしながらギアのポジションを変えるデザインが採用されています。このシフトノブを動かすときの独特のフィールがいいんですねぇ。「重いノブと、少ししなるシャフトとの組み合わせが、慣性をうまく使って絶妙な操作感になっているんだヨ」と、高名な自動車ジャーナリストだった故・徳大寺有恒先生がおっしゃっていました。
探偵 こういうのはメーカーのこだわりなんでしょうね。
少年O ですね。個性です。たとえば、競合でもあったデイムラー「ダブルシックス」(ジャガー「XJ」の12気筒版)。あちらは、細い握りのステアリング・ホイールと、ステッキ型の超細いシフターで、機能主義的なSクラスと正反対ともいえる、クラシックな雰囲気をうまくかもしだしていましたし。高級車に個性がうんとありました。
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)
これぞメルセデス!
探偵 ところで……走り出そうとしているんですが、前に進みません。
少年I アクセルペダルがうんと重いんです。もうすこし奥まで踏み込んでみて……そら、動きだしました。
探偵 かなりの重さで焦ります。いちどスピードに乗ってしまえばこれでもいいのかもしれませんが、ストップ・アンド・ゴーの多い市街地とかだと、どうなんでしょう。
少年I オーナーになれば、踏みこみ方にも慣れるでしょう。
探偵 重厚さがあって、いいかんじです。
少年O 当時、BMW車はラックアンドピニオン形式をステアリングに採用して、操舵のときのダイレクト感を追求していました。きみはどっち派だ? って、クルマ好きが議論していたもんです。
探偵 直列6気筒だからノーズが軽めなんでしょうか。カーブを曲がるときが、想像していた以上に軽快に感じられます。
少年I それをメリットにあげるかたもいますね。ただ……Sクラスはとにかくトルクが太くて、ゆったり走るのがいいからV型8気筒だ! と、する向きもいらっしゃいます。
探偵 好きなモデルを選べる選択肢の幅が広いですね。さらに、SECなるクーペもありますし。これは私も気になっている1台です。
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
少年O メルセデス・ベンツはパーツを交換する頻度が高いため、上級モデルの中古をたとえ安く買えても、維持費が予想外に高くてビックリするというケースがあるようです。でも、部品をまめに交換して、長く乗れるように……というのが設計思想なんですね。あとは、古いモデルを購入するなら、北米に、オーナーズクラブなどがお金を出して製作したリプロダクションパーツが多いこともあって、左ハンドルのほうが維持は楽かもしれません。
探偵 クラシックなメルセデス・ベンツって興味がつきません。
少年O 私にとってはなつかしい思い出とともにあるモデル。
少年I 私が画家だったら思い出を描けるのに。
少年O ノラ・ジョーンズですね。でも、W126は、もうかなり前のモデルなのに、現役で走っている個体が多いので、古いって印象が薄いです。わざわざ思い出を引っ張り出さなくても大丈夫。
【プロフィール】
俳優・永山絢斗(ながやまけんと)
1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。
<出演情報>
・2021年10月9日スタートの土曜ナイトドラマ『言霊荘』(テレビ朝日)に中目零至役で出演。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
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スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
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シトロエンCX
【衣装】
セットアップ/ ¥ 18,480(Salers Tel:03-5306-6887 )
東京都杉並区高円寺南4-22-2
まとめ・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア&メイク・竹下フミ 撮影協力・ザ・キャピトルホテル東急
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