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【誉れ高き血統】Kカーの革新! ニッポンのりもの。3代目ホンダN-BOXの光る商品性

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【誉れ高き血統】Kカーの革新! ニッポンのりもの。3代目ホンダN-BOXの光る商品性

現在のKカーは「スーパーハイトワゴン」が主流

 庶民の「下駄」としての役割が大きい軽自動車(Kカー)の歴史は1949年に始まる。戦後の経済成長の一助となることを目指してスタートした。当時のモータリゼーションの主力はオート3輪やオートバイで、なかなかKカーの製造を手掛けるメーカーはなかったが、1955年にスズキ・スズライト、1958年にスバル360が登場。商用車の世界では、1957年にダイハツ・ミゼットが発売された。

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 Kカーは、時代ごとに求められる要素が変化し、人気車種もさまざまだった。とくに1980年代後半から1990年に向けたバブルの時期には、経済性や価格よりパワーと速さ、優れた装備やデザインが重視された。中には「DOHCターボ+4WD「で武装し、登録車のスポーツカー顔負けの走行性能を備えたモデルも存在した。

 現在はどうか? 1993年に登場したワゴンRが切り拓いたハイト系の進化版ともいえる「スーパーハイトワゴン」に注目が集まっている。Kカー規格に収まる寸法の範囲で、最大限に空間を活かした広々とした車内と多彩な収納スペースを実現。このジャンルで長年「絶対的王者」として君臨しているのがホンダN-BOXである。

 初代は2011年に登場。「日本にベストな新しいのりものを創造したい」という思いを込めて開発された。従来のホンダKカーからパッケージはもちろんメカニズムを含め、すべてを刷新。センタータンクレイアウトの高効率パッケージは高く評価され、爆発的なヒットとなった。発売から5年で累計販売台数100万台を達成している。

 N-BOXは、2017年に2代目に移行。「N for Life」を新たなメッセージとし、多様化する価値観とライフスタイルに適応することを目指した。高効率パッケージはそのままに、燃費・走行性能をレベルアップ。先進の運転支援システムを全車に標準装備するなど、Kカーを感じさせない魅力を備えた。その人気はモデル末期でも健在で、2023年上半期の登録車を含む新車販売台数1位になっている。

3代目はキープコンセプトで進化。絶対王者の魅力と個性を磨いた自信作

 N-BOXは2023年秋に3代目にチェンジする。それに先駆けて車両情報の一部を先行公開。実車を確認したので報告しよう。
 3代目は初代/2代目で培った「安心して運転できる」、「大人でものびのび過ごせる室内空間」、「子供でも使える配慮」といったN-BOX不変の価値を磨く一方、「みんなが自由に安心して過ごせる」、「もっと楽しく繋がる」、「自分らしさの拡張」と言った新たな価値をプラスしている。そこで生み出されたコンセプトが「ハッピー・リズム・ボックス」である。開発責任者・諌山博之氏は「自分/家族/日本がハッピーになり、幸せな生活のリズムが作りだせるように、という想いを込めた」と語る。

 エクステリアは完全なキープコンセプト。標準仕様のN-BOXはHAPPYをテーマに刷新。よりシンプル/より優しい顔つきが特徴だ。エクステリアカラーは愛着のわくベーシックカラー7色に加えて、自分らしい個性を楽しむパッケージとしたファッションスタイルに3色を設定。個人的にはホンダ初採用となるオータムイエローパールが、新たなN-BOX像の提案に感じた

 カスタムはPROUDをテーマに、登録車顔負けのスタイリッシュ/洗練の顔つきに変身。一文字ライト&ダイレクトプロジェクション式LEDや専用のグリルデザインにより、オデッセイアブソルートやステップワゴンスパーダを彷彿とさせる造形にまとめている。残念なのはカスタムというサブネーム。せっかくの新型である。個人的には「N-BOX PROUD」のほうがピッタリだと思う。

 新型は、まさに成熟……という言葉がふさわしい。一方で、「変わり映えしない」、「マイナーチェンジかと思った」という意見も聞く。これに関して諌山氏に聞いてみると、「おそらく、いままでのホンダならばガラッと変えたでしょうね。ただ、それだとお客様に評価されているN-BOXの価値を自ら否定してしまうことになります。そのため、3代目はあえて『変わらないための変化』に挑戦したわけです」と教えてくれた。要するに「王者はブレない」のだ。

室内はより広く、便利にリファイン。カラーリングでモデルの個性を表現

 インテリアは全面刷新。先代は限りあるスペースに機能がてんこ盛りで雑多な印象が否めなかった。新型は最新のホンダ車共通の水平基調のインパネと、Kカー初採用となるフル液晶7インチディスプレイの組み合わせ。よりシンプル、より使いやすい操作系になった。ディテールを見るとカド丸処理やコルクのような異色ミックス樹脂、住宅の壁材のようなシボ処理など、リビングライクな空間に仕上がっている。標準仕様はソファのようなシートマテリアルを採用、カスタムはブラックを基調にシルバーのワンポイントなどでシックな装いと、エクステリアの世界感と合わせたコーディネートになっている。

 N-BOXの最大価値のひとつといえる「大容量空間」も進化。新造形インパネによる視界性能向上、室内の有効居住長延長(エンジンルームのコンパクト化)、さらには後席ショルダールーム拡大(+55mm)による左右のゆとり、自転車の積載性向上(開口高さや荷室見切りの最適化)など、「おっ、ありがたい」と感じるさまざまな利便性向上が行われている。

 今回はコンセプトやデザイン面の発表に止まっている。メカニズムやスペックなど詳細は非公表。ただ、ホンダ車の直近の進化を見ていると、パワートレーン/プラットフォームは先代の成熟型だと予測できる。ホンダは電動化に舵を切り始めているが、Kカーに関しては不透明。確かにハイブリッド化すれば燃費は上がるが、その伸び代とコスト増を考えると最善策ではない。また電気自動車(BEV)は用途が限られてしまう。N-BOXは多くの人の生活を支えるモデル。最適なパワートレーンは? 答えはシンプル、現状のリファインだ。

 過去を否定するのはなく、先代の課題や反省をしっかりと受け止め、より完成形に近づける……という考え方だ。あるエンジニアによると「手前味噌ですが、走りはかなりすごいです。とにかく早く乗っていただきたい」と教えてくれた。個人的には全高や全幅に左右されないフットワークに期待したい。諌山氏は「総合力はさらに高い次元に」と自信を見せる。期待していいだろう。

【ルーツ物語】走り/ユーティリティ/価格のすべてがKカー新基準

 1963年8月にトラックのT360を発売して4輪車へ進出したホンダは、1967年3月に軽乗用車、ホンダN360を売り出した。N360は空冷2気筒4サイクルエンジンをフロントに搭載。クラシック・ミニにも似た2BOXスタイルは十分なスペースを生み出し、FF方式特有の剽悍な運動性能、加えて31万3000円という価格設定で大きな反響を呼んだ。N360は、それまでKカーの王者だったスバル360の牙城を短時間で切り崩し、軽自動車のトップセラーに君臨する。搭載された空冷2気筒ユニットは、1965年に発表されたスーパーバイク、CB450用がベース。DOHCをSOHCに変更するなど多くの点で手が加えられたが、その高いポテンシャルを維持し115km/hの最高速をマークした。車重は475kgと軽く、0→400m加速は22.0秒でクリア。走りは1.5ℓクラスに迫るレベルになっていた。N360は「クルマとして性能的にNo.1になる」という本田宗一郎氏の願いを叶えたファーストモデルだった。

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