新型リーフ テクノロジー詳細解説と魅力探訪 Vol.3
日産は1月下旬、日産が提唱するインテリジェント・モビリティの体験会を雪上、氷上を使って行なった。中でも驚愕の安定性と言える新型リーフのインテリジェント・ドライビングについてお伝えしたい。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
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ご存知のようにリーフは100%モーター駆動の電気自動車だが、そのメリットをこれほどまでに感じたことはこれまでなかった。それは雪上、氷上という低μ路での安定性の凄さなのだ。一般的にはモーター駆動の魅力としてレスポンスの良さ、加速の力強さなどがアピールされ、リーフではワンペダルで運転できるe-pedalも魅力としてお伝えしてきた。
*参考記事:新型リーフ試乗記 2代目リーフはガソリン車の代替にも成り得るのか!?
しかし、その魅力の部分であるレスポンスの良さやe-pedalの愉しさがこれほどまでにメリットとして感じる場面に出会うとは思いもよらなかったのだ。
試乗は長野県の女神湖の結氷した湖上と周辺の雪道。当日の気温は日中でも氷点下で、車載の温度計は-11度。積雪のある道路は硬く引き締まった路面だ。また、日陰などは凍った状態という路面状況での試乗だった。
リーフのドライビングモードでは自慢のe-pedalのスイッチをONにして走行。すると出だしから滑ることなく、そして力強く加速をする。トラクションコントロールやESCなども当然装備されているが、ガソリン車での動き出しよりはるかに力強く、そして滑らかに加速をする。
交差点ではアクセルペダルから足を離すと強い回生ブレーキがかかり、フットブレーキを踏まずとも停止できる。その減速が実に安心感のある減速をするのだ。ガソリン車であれば当然フットブレーキで車速を落とすが、積雪や凍結した路面を認識していれば、右足は相当慎重にブレーキペダルを踏むことになる。それでもスリップを起こしABSが働くという場面に遭遇する。
しかしリーフの減速は全くそうした不安がない! ペダルを離した瞬間から強い減速Gがかかる。最大で約0.2Gだそうだ。ガソリン車のエンジンブレーキが0.05Gだとすると、その減速Gの強さがイメージできると思う。圧雪路や凍結路ではμが低すぎて最大の減速Gが発生しないこともあるが、とは言え、その強い減速Gを感じつつ、滑る気配は全くなく減速する。ドライバーはアクセルペダルから足を離しただけで、クルマ任せの減速で安全に停止する。
直進走行でもモーター駆動のメリットを享受する。それはまるでAWDなのか?と感じるほど4輪がしっかりと接地し、ステアリングにそのフィールが伝わってくる。
なぜ、モーター駆動だとそうした安定性が生まれてくるのか。日産にはもう一台の100%モーター駆動車がある。ノートe-powerだ。こちらはエンジンで発電+充電して、その電力でモーター駆動するというシリーズハイブリッドなのだが、このノートe-powerはモーター回生だけによる減速制御と油圧制御の併用で、リーフもモーター回生とブレーキを併用した協調制御がされている。
そしてモーター制御では、ご存知のようにレスポンスがいいので1万分の1秒でのトルク制御が可能になる。リーフは以前からこうしたスピードでの制御をもちろん行なっていて、特に初代では前後のピッチングを抑える動きにこのトルク制御を使っていた。
極端なイメージで表現すれば、ノーズダイブしそうになったらフロントの荷重が増えるようにトルクがかかり、アンチスコートになりそうであれば、フロントタイヤの駆動トルクが下がるというイメージ。それが1/10000秒というスピードで微小なトルク制御がされているのだ。
新型リーフも緻密なトルク制御をしているので、雪道のようなμの低いコンディションだと顕著に制御を体感できるということだ。つまり、タイヤの滑りをフィードバック、フィードフォワード制御することでトルクの出し入れで姿勢を安定させる。タイヤの接地が失なわれないようにトルク制御をしているというわけだ。
さらに、新型リーフではブレーキとの協調制御も加わっているので、回生ブレーキだけよりも強い減速Gを得ることができ、車両は安定しながら停止するというわけだ。
従って、雪道でありながらまるで舗装路を走っているかのような安心感があり、モーター駆動のメリットがこれほどなのか!と驚くばかりだった。調子に乗ってかなりの速度まで上げて走っても安定性には変わりなく、直進もしっかりとしていて、滑る動きは微塵もなくグングンと加速をする。
コーナー手前でアクセルペダルを離せば、上手にブレーキペダルで減速したように速度を落とし、滑らかにコーナリングしていく。コーナリング中も滑ることなく走る。わざとアクセルを踏み、ラフな操作をしても、今度はモータートルクがかからない出力制御が働き、かなり乱暴な操作でもクルマは安定して雪道走行をする。こうした一連の動きはアクセルペダルを離す、と踏むという操作だけで走れるので、これほど効果的な精神安定剤はない。
ただし、あくまでもタイヤのグリップ限界が走行限界であることには変わりはないので、無茶をすれば簡単に事故を起こすことになるのは言うまでもない。
その新型リーフを今度は、さらにμの低い氷上でも試乗してみた。八の字旋回や定常円旋回、スラロームなどを走行。その際e-pedalのONとOFFを試した。
案の定、e-pedalをOFFにすると、普通の車両と同様にESCとABS、TRCが目いっぱい働きながら、ゆっくりと走行する。タイヤのグリップを探り、回復を待ちながら走行する感じだ。
e-pedalをONにすると一変する。ドライバーは、ある程度丁寧な操作をすれば、スラロームすら滑らかに走り抜ける。さすがに雪道で試したようなラフな操作ではタイヤのグリップ限界を超えるので、氷上では舗装路のようには走れない。当たり前か・・・
ちなみに、今回の試乗車に装着されているのはブリヂストンのスタッドレス、ブリザックVRXだった。
もともとリーフは低重心でドライバビリティが良く、スポーティなドライブも楽しめ、モーターの大トルクと瞬間に立ち上がるトルクによってインテリジェント・ドライビングを満喫できるモデルだと、これまでお伝えしてきたが、雪上のような低μ路では、思わぬ高性能ぶりを体感することができた試乗だった。
>特集:新型リーフ テクノロジー詳細解説と魅力探訪
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