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V12 NA ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJロードスターに試乗 至高の1台

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V12 NA ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJロードスターに試乗 至高の1台

40万ポンド(5200万円)に迫る価格

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)ランボルギーニのモデルの中でも特別な期待が込められた名前「イオタ」。アヴェンタドールに追加されたSVJとは、スーパー・ヴェローチェ・イオタの略。このクルマは究極のアヴェンタドールであることは想像に難くない。緻密な技術だけでなく、感情を揺さぶられるほど絢爛なマット・ブロンズカラーのアピアランスも。

【画像】アヴェンタドールSVJ 全49枚

最高速度は350km/hに達するが、費用もやはり究極的。コントラスト・ステッチと、ロッカーカバーやドアミラーに施されるカーボンファイバー製トリムを追加したら、その価格は40万ポンド(5200万円)に届く。ディーラーに向かう前に、少し冷静になって考えてみよう。

カンナム・レースに出場するスポーツカーのようなエクステリアだが、空力的な洗練性の裏付けでもある。電子アクチュエーターを内蔵したフロントスプリッターが整流した気流は、アンダーボディに設けられたボルテックスジェネレーターへと送られ、ダウンフォースを稼ぐ。

またクーペと同様に、気流をコントロールするフラップのネットワークも存在する。カーボンファイバー製の巨大なリアウィングの左右へと空気を送りダウンフォースを生み出すこともできるし、ストールさせてボディーロールを抑え込むことも可能。あるいは直線スピードを最大限にまで高めることにも貢献する。機能を確認するにはサーキットに持ち込むしかないが、効果は間違いなかったようで、クーペはニュルブルクリンクのラップレコードを更新した。素晴らしい。

ロードスター化に当たり増えた車重は、クーペ比でわずか50kg。0-100km/h加速は3秒以下でこなすが、クーペよりは0.1秒だけ劣る。基本的にメカニカル面では同じと考えていい。

自然吸気V型12気筒は過去最高の770ps

プッシュロッド式のダンパーは、SVロードスターよりも硬められ、アルミニウム製のサブフレームで支えられるダブルウイッシュボーン式のサスペンションへとリンクする。サブフレームが固定されるモノコックはカーボンファイバー製。4輪ともにブレーキはカーボンセラミック・ディスクブレーキで、ステアリングホイールよりもその直径は大きい。後輪操舵システムも備え、コーナリングスピードに合わせて旋回性を高めたり、安定性を高めたりする。

トランスミッションは、自動化されたマニュアルといえる、シングルクラッチのISRが搭載され、シフトショックはかなり刺激的。フェラーリ812スーパーファストやランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテを運転した後だと、その衝撃の差は一層大きく感じる。

ランボルギーニはこのSVJロードスターを800台製造する予定だが、そのうち何台をサーキットで目にできるだろうか。殆どは大切に乗られるのだろう。だが恐らくオーナーの殆どは、1度は屋根を開けてみるはずだ。

ルーフもカーボンファイバー製で、1枚6kgのタルガスタイルのパネル2枚で構成されている。持ち上げるのは楽かもしれないが、ヘッドレスト後ろのクイックリリース・レバーを用いて取り外す作業は思いのほか簡単ではない。外したルーフはフロント部の収納コンパートメントに固定できるが、空間を専有してしまう。オープン時にはファイアウォール部分のスクリーンを下げて、バルブトレインのメカニカルノイズを直接聞くことも可能になる。

2011年にランボルギーニのフラッグシップとして生まれてきた、アヴェンタドールに搭載されるV型12気筒エンジンはすべてが特別な存在ではある。だが、チタン製のインレットバルブがSVJのユニットには採用されており、最高出力は770psに達し、同モデルとして過去最高を記録。トルクバンドも広くなっている。スペックシート上は傑作と呼べる素材と値だといえるだろう。

常にコントロールしやすいパフォーマンス

フライホイールも軽量なものに置き換えられているが、スロットルレスポンスはフェラーリ812スーパーファスト並みの、息が止まる鋭さはない。だが骨太感は半端ない。重力に抗するロケットのように力強く、8700rpmのレッドライン目がけてヒステリックな高周波音が高まっていく。クーペの中で聞いている限り、外で響くセンセーショナルなサウンドだったが、ロードスターの場合は、直接その興奮が体内へと響いてくる。

試乗はファクトリーそばの一般道だったが、その興奮のポイントに到達するのは簡単。355mm幅のリアタイヤのおかげで、2速で回るようなタイトコーナーであっても、SVJロードスターが保持するトラクションは望外に高かった。ステアリングの正確性も非常に高く、ロンドンの2階建てバスよりも少しだけ幅の狭いボディを、車線内に留めておくことも容易。

ターボの付かないエンジンは完璧なリニアリティさを持っており、低回転域からのピックアップでもシルキー・スムーズ。これだけのパワーを備えていながら、どの回転数からアクセルを踏み込んでも不意な爆発力に見舞われないということは、特筆に値する。全長は5mに迫り、全幅は2mを超えるボディサイズや、ハイパーな価格、驚異的なパフォーマンスレベルを備えていながら、常にコントロールしやすいとすら感じる。

路面が剥がれて空いた穴を通過しない限り、ストラーダモードを選んでおけば、SVJロードスターのクルージングは充分に快適。これだけ強固なボデイ構造と、引き締められたスプリング、フロントの軽い重量配分にも関わらず、シーンによってはリラックスすらできる。

視界の良いコーナーではコルサモードを選んで、クルマ全体のレスポンスを速め、サスペンションを硬めたくなる。SVJの秘めたダイナミクス性能の可能性に迫るために。フェラーリやマクラーレン、ポルシェほど限界領域での融通は効かないものの、高速域でのバランス性とグリップ力は素晴らしく、積極的にスピードを乗せていける。

優れたシャシーは感情的なエンジンのため

そしてルーフを取り外したSVJこそ、アヴェンタドールの理想形であることがわかる。ランボルギーニのフラッグシップモデルとして、先進的なテクノロジーを満載したシャシーを備えていても、それはひとえにエモーショナルな6.5LのV型12気筒エンジンを搭載するためのプラットフォームに過ぎない、というのは少しいい過ぎだろうか。

ランボルギーニのビッグモデルは奇抜なスタイリングと派手なサウンドが先行しがちだが、アヴェンタドール、特にSVJに関しては、白眉なドライバーズカーでもある。それを味わうためには、少し慣れも必要となるけれど。

屋根が開いた状態だと、アヴェンタドールへの乗り降りはずっと楽になる。ステアリングホイールはテレスコピック(前後)調整も可能だが、手前に寄せることで手のひらとフロントタイヤとの距離が遠くなり、感覚的にしっくりこない。テスト車両は右ハンドル車だったこともあり、ペダル類はかなり左側にオフセットしていた。いろいろ試しているうちに、丁度いい妥協点のドライビングポジションが見つかるだろう。

大きく付き出した、フロント・オーバーハングにも気をつけたい。スタートして最初の10kmくらいは、背後の12気筒エンジンよりも、長いノーズがどこかに擦らないか恐怖心にさいなまれることになりそうだ。それに軽量なハイパーカーの類は、本当の意味で快適なクルマにはなりえない。ボディサイズと、すべてを忘れてしまうような加速力は、必要以上にSVJロードスターの取り扱いに気を使わせる。

それでも見事なダイレクト感は、積極的にドライブする自信も与えてくれる。ブレーキペダルのフィーリングは、わたしの好みよりソフトだが、強烈な制動力を得るのに要する力は、とても少なくて済む。SVJロードスターはアンダーステアもオーバーステアも、乾燥した一般道では発生しない。さほど強い負荷を掛けずとも、サスペンションはしなやかに反応し、正確に処理してくれるのだ。

いま手に入る至高のランボルギーニ

コーナーの出口に向けてスロットルを踏み込めば、ノーズは鋭く内側へと切れ込んでいく。コーナーやスピードを問わず、シャシーは4本のタイヤがしっかりと路面を掴むように、一貫性のある挙動で落ち着かせてくれる。ステアリングは軽く、落ち着いていながらも繊細。ロードスターなら、そこにオープンエアの開放感と、リアビューミラーいっぱいに映る空気を掴む羽を横目に、V12エンジンの息吹を直接感じ取ることができる。

恐らくこれが、ハイブリッドなどが搭載されない、純粋な自然吸気のV型12気筒エンジンを積んだ最後のランボルギーニとなるのだろう。既に電化技術が導入された、エキセントリックでエクストリームなマシンの開発は進んでいる。

数百万ポンド(数億円)クラスのスーパーカーのコレクションを持っているのなら、アヴェンタドールSVJロードスターをラインナップに加えない理由は見つからないと思う。エンスージャストとして、想像を遥かに超える、感動的なほど高みに達したクルマだといえる。一軒家を諦めて、人生のすべてを掛けて1台のクルマにすべてを注ぎ込むべきかどうかは、わからない。

恐らくSVJロードスターは、ライバルモデルと比較すると、すべてが完璧というわけではない。ミドシップのV12エンジン・モンスターではあるが、百獣の王と呼べるほどのモンスターでもない。だが、圧倒的なパフォーマンスを備え、確かな将来の価値も約束された、いま手に入る至高のランボルギーニであることは間違いない。

ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJロードスターのスペック

価格:38万7988ポンド(5043万円)
全長:4943mm
全幅:2098mm
全高:1136mm
最高速度:350km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:5.5km/L(NEDC)
CO2排出量:486g/km
乾燥重量:1575kg
パワートレイン:V型12気筒6498cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:770ps/8500rpm
最大トルク:73.2kg-m/6750rpm
ギアボックス:7速ISRオートメーテッド・マニュアル

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