■日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した3代目ロードスター
マツダ初代「ロードスター」(1989年登場)と2代目ロードスター(1998年登場)は、5ナンバーサイズをキープしてきたが、2005年8月に登場した3代目ロードスター(NC型)はついに3ナンバーボディへと大型化がなされました。
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これは当時の親会社だったフォードから、「RX-8」のコンポーネントをベースとして作ることを指示されていたといわれており、サスペンション形式も先代までの前後ダブルウィッシュボーン式から、リアのみマルチリンク式になるなど、RX-8と共有する部分が多く見て取れます。
搭載されるエンジンも、先代の1.6リッターと1.8リッターから、2リッターの「LF-VE型」へと排気量を拡大。そのため、大きく重くなってしまったというイメージがあるかもしれません。
しかし、ライトウェイトスポーツとして誕生したロードスターということもあり、ボディは剛性アップを図りながらも軽量化を実施。その結果、先代に対して曲げ剛性で22%、ねじり剛性で47%もの向上を実現しつつも、シャシ単体では1.6kg軽量になりました。
また、ボディ以外の部分もアルミ素材の多用や高張力鋼板化、プラスチックパーツへの置き換えなどの軽量化策を取り入れ、先代からの車両全体の重量増はわずか約10kgに抑えているのです。
なお、新たに採用されたパワートレインは、170馬力(MT車)を発生するLF-VE型ですが、これも先代まで採用されていたB型エンジンと同じく、FF車に先行採用されていたものを縦置きに改良したもので、吸気側S-VTや高圧縮ピストン、可変吸気システムなどを採用し、スポーツエンジンに生まれ変わっています。
そこに組み合わされるミッションは、新開発された6速MTと、従来型より改良された5速MTのほか、ATが一気に6速へと進化。ステアリングシフトスイッチも備えて、AT車でもよりスポーティな走りが可能になりました。
このすべてが一新された3代目ロードスターは、見事に第26回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。これは1982年に「カペラ/テルスター」が受賞して以来、マツダにとって23年ぶりの快挙だったのです。
■ロードスター初の電動ルーフモデルも設定
2006年8月には、電動でルーフを開閉することができる「パワーリトラクタブルハードトップ(RHT)」を追加設定。
このルーフは、フロントルーフ、ミドルルーフ、リアウインドウの3つに分割されており、これらが電動でZ型に折りたたまれながらシート後方のキャビン内収納スペースに格納される構造で、世界初のものとなっていました。
また、開閉速度も約12秒と当時では世界最速を誇っており、より気軽にオープンエアモータリングを楽しむことができるモデルとして幅広いユーザーに支持されるモデルとなっています。
なお、ルーフ部は専用スペースに格納されるため、電動ハードトップ車でありがちなトランクスペースがほぼ埋まるということもなく、重量増もソフトトップに比べてわずか37kgに抑えられていたため、ロードスターらしさがほとんど失われていなかった点も人気を博した理由のひとつかもしれません。
その後、2008年12月にはマイナーチェンジを実施し、内外装のリファインのほか、MT車はレブリミットを7500回転へ引き上げ、高回転域での伸び感を向上。
また、フロントのロールセンター高を下げ、自然なロール感とリニアな応答性を向上させるなど、更なる進化を見せます。
ロードスター生誕25周年となった2014年5月には「25周年記念車」を発売。RHTのMTモデルをベースに、ソウルレッドプレミアムメタリックの外装とブリリアントブラックのルーフ、Aピラー、ドアミラーを持ち、オフホワイトの内装を持つスペシャルなものでしたが、特筆すべきはエンジンです。
ピストン、コネクティングロッド、フライホイールなど、エンジンの回転系部品を厳選し、よりスムーズなフィーリングとサウンドを実現したこだわりのモデルで、世界限定1000台で、日本ではわずか25台のみが販売された幻のモデルでした。
そして同年9月には、日本、アメリカ、スペインの世界3か所で同時に4代目となる次期型ロードスターを公開。これはユーザー参加型のイベントとなっており、先着順で申し込んだ熱心なファンがその瞬間を共有するという画期的な試みでした。
※ ※ ※
歴代ロードスターのなかではやや不人気な印象のある3代目NC型ではありますが、新たなユーザー層を取り込んだという点では非常に大きな功績を果たしたモデルといえます。
実際に乗ってみるとロードスターらしさはしっかり継承されており、初めてのスポーツカーとしても最適かもしれません。
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みんなのコメント
NA、NB、NC、NDと進化してきた訳ですが、シルビアやスカイラインもそうであったように、大きく立派にしようとしたモデルも存在しました。それがNCだったのかなと思っています。
ユーザーが望んだ部分もあったでしょうし、ボディが大きいから性能が劣るという訳でもないのでしょうが、結局は原点回帰ということで、NDではシェイプアップを図っています。
ある意味、クルマの進化の中で、避けられないことなのかもしれません。