2020年最注目ともいえるモデル、トヨタ「ハリアー」が2020年6月についに発売された。早くも多くのバックオーダーを抱え、その人気ぶりを見せつけている。
実はその6月の正式発売開始を前に、新型ハリアーのプロトタイプ試乗会が開催された。プロトタイプとはいっても、発売まであと約2週間というところまで迫っており、市販型と同じと考えて間違いない車両だった。
大人気だからこそ伝えておきたい 新型ハリアーにまつわる意外な真実
今回は、そんな新型ハリアーに試乗してわかった、スタイリングや走りのポイントについて徹底レポートしたい。
※本稿は2020年6月のものです
文/ベストカー編集部、鈴木直也
写真/池之平昌信
初出:『ベストカー』 2020年7月10日号
【画像ギャラリー】スタイリングも走りも上質! 大人気の新型ハリアーを細部までチェック!!
■ロー&ワイドでスタイリッシュなクーペSUV!
写真で見るより外の光の下で見た新型ハリアーは圧倒的にスタイリッシュで存在感を放っていた。
2020年4月13日、「6月発売開始」を明らかにするとともに、その姿を写真で現したハリアー。その写真を見たときも「おっ、これはカッコいい!」と思ったものの、一方で「現車を見てガッカリしたクルマはこれまでたくさんあったからなぁ」と、ちょっといぶかる思いもあったのだ。
基本プラットフォームは2019年にデビューした「RAV4」と同じ。2690mmのホイールベースは共通だ。一方全長4600mmのRAV4に対しハリアーは4740mmと長く、その延長分がシュッと伸びやかなフロントノーズやキュッと絞り込まれたリアボディの造形に生かされている。全高は1660mmでRAV4より25mm低く、旧型ハリアーに対しては30mm低くなっている。この低く伸びやかなプロポーションが、新型ハリアーのアピールポイントだ。
「SUVを否定することから始めました」というのは、ハリアーだけでなく、RAV4も統括する佐伯禎一ミッドサイズカンパニーMSZデザイン領域統括部長。
「”スポーツ・ユーティリティ・ビークル”のユーティリティの部分をあえて否定し、追及していないのですから。ルーフを低くして、荷室部分のリアボディを絞り込んでいる。積載性の面ではマイナスでしょうが、それでいい」と佐伯氏は畳みかける。
複雑な抑揚を表現した面で独特のラインを醸し出す新型ハリアーのボディライン。特にリアフェンダーからテールゲートにかけての造形は印象的で佐伯CEこだわりのポイントだという。RAV4よりも穏やかにロールするフットワークは上質感が高い
左がハリアーで右がRAV4PHV。フロントマスクのボリューム感や25mm高い全高、ルーフラインなどで、ハリアーのほうがずいぶんと小さく見えるがホイールベースは2690mmで同じ。全長は140mm長い4740mm
ハリアーとRAV4を同時並行的に開発していくことで、両車のキャラクターを思い切り両極に振りきることができたという。オフロードに強くタフなRAV4に対し、ハリアーはクーペのようなスタイリッシュな存在感。
インテリアも上質感が際立つ。ソフトパッドを使ったインパネや、ワイドで存在感あふれるセンターパネルからコンソールの造形は、上級サルーンを思わせる。歴代ハリアーも上級サルーンのようなインテリアを作り上げていたが、新型はより”本物感”が高まって、華美ではない上質さを醸し出す。
ワイドなセンターパネルから乗馬具をイメージした形状というセンターコンソールの存在感が上級サルーンのような室内を演出。インパネはソフトパッドを採用する
エンジンルームや下回りの遮音性能はRAV4よりも徹底し、静かな室内としているのもハリアーの特長だ。
パワートレーンはRAV4と同じでダイレクトシフトCVTと組み合わされる2Lガソリン(171ps/21.1kgm)と2.5Lハイブリッド(システム出力218ps)。ともにFFと4WDを用意し、ハイブリッドの4WDは後輪をモーターで駆動するE-Fourというのも同じ。2L車の4WDはRAV4の標準モデルの4WDと同じシステムだ。
■新型ハリアーのファーストインプレ!(REPORT/鈴木直也)
2020年6月1日にコロナ自粛が緩和され、クルマ業界も平常運転への第一歩を踏み出した。
復活イベント第1号となったのは新型ハリアーのプロトタイプ試乗会。発売前ということもあり「三密を避けつつ機密の守れる」袖ヶ浦フォレストレースェイでの開催とあいなった。
ご存知のとおり、新型ハリアーはRAV4とパワートレーン/プラットフォームを共用する姉妹車だが、この新型から北米をはじめとしたグローバル市場にも展開されるのが注目のポイントだ。
同じGA-Kプラットフォームながら、オフロードRV感覚を強調したRAV4に対して、ハリアーは都会派SUVクーペというのが役割分担。デザインの方向性を大きく振って、北米のような大きな市場で共食いが起きないよう配慮されている。
実車を見比べてみればわかるが、この「デザイン面での性格別け」がじつに上手に行われている。
ハリアーの全長はRAV4より140mm長い。同じGA-Kプラットフォームでホイールベースは共通(2690mm)だから、つまりこの数字は前後オーバーハングが延長されているということ。その効果もあって、全高は30mmしか低くないのにその数字以上に精悍なクーペフォルムに見えるのだ。
コクピットにおさまって周囲をチェックしてみると、インテリアもRAV4とは方向性の違うゴージャス系デザイン。アウトドアテイストのRAV4とは、何から何まで対照的に誂えてある。サーキットにコースインしてからも、この「ゴージャスな都会派」イメージがアタマから離れない。
最初の試乗を終えて、ぼくはチーフエンジニアに「足のしなやかな動きや粘っこいロール感は、やっぱり低重心化が効いているんですかね?」と質問してしまったのだが、お答えは「そうおっしゃる方が多いんですが、重心高の数字とかは変わってないんですよ」というもの。
プラットフォームはRAV4と共通。しかし「走り」はしっかり区別化されている。都会派のハリアーは走行性能も「しなやか」方向にチューニングされている
2.5Lハイブリッドはカムリ以降の新世代ユニットで、アクセル操作に対するトルクのつながりが圧倒的にナチュラル。何よりトルクフルでパンチがある
乗り心地の味付けは足回りのチューニング、とりわけ摺動摩擦(いわゆるフリクション)をプラス方向で活用する新型ショックアブソーバーの貢献度が大きいのが実情。先入観に惑わされて「SUVだけに低重心で走りがしなやか」と思い込んでしまったわけだ。
「うーん。ヤラレタ」というわけで、2回目以降の試乗はサスペンションのストローク感に神経を集中して観察してみたのだが、これがなかなかの逸品。敢えて40km/hくらいの速度で縁石に乗り上げたり、サーキット走行モード以外の入力パターンも試したのだが、「しなやか」という評価は一貫して揺るぎがない。
サスペンションの基本特性が優秀なのはRAV4ともどもこのプラットフォームの美点だが、ハリアーはそこに優雅さと表現したい「味」が加わった印象。遮音対策の強化によって向上した静粛性と相まって、乗用車としての上質感はカムリを超えたと評価してもいい。
ルーフエンドがラウンドしているため後席ヘッドクリアランスが心配だったが、座ってみると頭上にはコブシひとつ分以上の余裕。居住性に不満はない
パワートレーンに関してはRAV4と基本的に同じだが、今回サーキットぜ全開領域の多い走りを試してみて、「やっぱしスゴイな!」と感心したのはハイブリッドのパワフルなことだ。
ハイブリッドは排気量2.5LとNAより大きなエンジンを積み、エンジン単体で179ps/22.5kgm、前後2つのモーターを合わせたシステム最高出力は222psもある。
スペックがこれだから、本来はSUV向きではないサーキットでもまったく不満なし。まぁ、本気で「攻める」にはサスも柔らかいしタイヤもキャパ不足なのだが、豪快に振り回せるという意味では”スポーツハイブリッド”と呼ぶのが相応しい。予算に余裕があるなら、これを買っておけば間違いないだろう。
パワーユニットはRAV4と同じく2Lガソリン(左)と2.5Lハイブリッドの2タイプ。どちらにもFFと4WDが設定される。ハイブリッドの4WDは後輪をモーターで駆動するE-Fourだ
いっぽう、軽快で好ましいのがNA2L+ダイレクトシフトCVTのドライバビリティだ。NA2Lの新型エンジンは、全体にトルキーだし吹き上がりも軽快。優先テーマは熱効率向上なのだが、ただのツマラナイ燃費志向エンジンではなく、がんがん踏んで走らせたい時には、タフな要求に応える実力を持っている。
コスパでみたら、ハリアーのベストチョイスはこっちかも? そう思った次第でございます。
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みんなのコメント
前左右の視認性は格段に良くなった
加速も良くなった
静粛性はごく普通静かではない、加速すればエンジン音も普通に聞こえる
タイヤは細くなっている、回転半径の問題と思われ買換えが高くつくサイズかと
見積はガソリンG本体340万がMODELLISTAつけて450万円
コレに450万の価値があるかね…最近のトヨタは全体的に50万程高いと思う
6月初は値引き1ケタと言っていたが7月になって25万円程になった
思ったほど受注が無いのでは?
日本専売から海外向けになったので海外ウケに無駄に大きくしたのはイケナイ
都会派なのにサイズありきの開発が見受けられ取り回しは悪い
4600-1820回転5.3以下に仕上げれば購入決定していた
総合して改悪なので選択肢から外し
アウトランダーと少し大きくなるヴェゼルのフルモに期待