2023年8月20日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦が栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催され、野尻智紀(TEAM MUGEN)が今季2勝目を挙げた。平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が2位、3位には大湯都史樹(TGM Grand Prix)が入っている。(文:河村大志/写真提供:日本レースプロモーション)
後がない野尻がポールポジション獲得し3ポイント加算
残り3戦となったスーパーフォーミュラ2023年シーズン。宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)とリアム・ローソン(TEAM MUGEN)による熾烈なチャンピオン争いが繰り広げられる中、ランキング3位でディフェンディングチャンピオンの野尻にとっては後がない状況だ。チャンピオン争いに返り咲くべく、野尻がフリー走行から速さを見せつける。
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決勝前日に行われた予選は気温33度、路面温度46度という今季1番の暑さの中で行われた。Q1 Aグループではランキング2位のローソンが登場。ローソンはグループ3番手に入り順当にQ2に進出した。Aグループのトップは前戦ポールシッターの牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、2番手には今季苦戦が続いている関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が入った。以下、ローソン、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)までがQ2進出を決めている。
続くQ1 Bグループにはポイントリーダーの宮田、ランキング3位の野尻、怪我からの復帰を果たした大湯らが出走。序盤は坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)がトップタイムを記録する中、予選で速さを見せている大湯が1分32秒387で、最終的にBグループのトップ通過を決めた。ランキングトップの宮田は2位、野尻も3位とランキング上位勢は順当にQ2に進出。Bグループは以下、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、平川、坪井までがQ2進出となった。
7分間で行われるQ2では、フリー走行1でトップタイムを岐路きした野尻が勢いそのままに速さを見せる。唯一1分31秒台をマークし、今季3度目のポールポジションを決めた。ローソンは暫定2番手に食い込んだが、最後にTEAM MUGENに割って入ったのがルーキーの太田。前戦富士の予選で自最高位となる3番グリッドを獲得していた太田だが、第7戦では自己ベストをさらに更新する走りを見せフロントロウを獲得した。ローソンは3番手、宮田は8番グリッドからのスタートとなった。
ローソンが予選で3位に入ったことで1ポイントを加算し86ポイントに。ランキングトップの宮田と同ポイントとなった。野尻はポールポジション獲得で3ポイントを加算。64ポイントとなり、さらに優勝の20ポイント獲得を目指す。
2023年 スーパーフォーミュラ 第7戦 予選結果(Q2)
1. 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’31.955
2. 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’32.178
3. リアム・ローソン(TEAM MUGEN)1’32.237
4. 大湯都史樹(TGM Grand Prix)1’32.238
5. 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’32.293
6. 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)1’32.370
7. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’32.385
8. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)1’32.391
9. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 1’32.468
10. 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)1’32.487
11. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 1’32.761
12. 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)1’32.761
多重衝突で赤旗中断など、荒れた展開に
迎えた決勝日も気温30度を超える暑いコンディションとなったが、レース開始直前には雨雲が発生。しかし天気が崩れることはなく、決勝はドライコンディションで行われた。
ポールポジションの野尻が好スタート。一方2番グリッドスタートの太田はギアが1速に入っておらず大きく後退してしまう。太田の直後、4番グリッドの大湯はこれを難なく交わし3番手にポジションアップ。
3番グリッドスタートのローソンが2位に上がり、1コーナーから2コーナーにかけてアウト側から野尻に並びかけるが、外側の縁石に乗ってしまいコントロールを失ってスピン。そこに避けきれなかった後続車が接触し多重事故が発生してしまう。牧野と関口はローソンのマシンに乗り上げ宙を舞い、行き場をなくした松下信治(B-Max Racing Team)のマシンに降りかかる。このアクシデントですぐさま赤旗が掲示された。その後ドライバーは全員無事が確認されている。
スピンを喫し後続車に追突されてしまったローソンはリヤウイングを失う。ピットに戻ったローソン、赤旗中断中に修復作業を済ませたチームMUGENはローソンをレースに送り出すことに成功。最後尾で隊列に加わったが、赤旗中にピットインしたことでドライブスルーペナルティが科されることに。牧野、関口、そして松下らはマシンのダメージが大きくリタイアとなった。
SC先導で再開されたレースは4周目にリスタート。トップの野尻に続くのは大湯、そして予選7番手から平川が混乱の中3番手にポジションアップ。10周目にピットウインドウがオープンと同時にピットストップを敢行するドライバーが現れる中、トップの野尻をはじめ、平川、山本はステイアウトするが2番手大湯はピットイン。ピットイン消化勢の中でトップを走る。
レース後半に差し掛かった24周目、山本がピットイン。山本にアンダーカットを決めさせないようにトップの野尻も翌周ピットインすると、コース復帰した場所は大湯の前。野尻はトップの座を明け渡すことなく先頭を直走る。
野尻、大湯の後ろで白熱するのは3位争い。27周目の90度コーナーでアウトラップの平川を山本がインに飛び込みオーバーテイクを狙う。しかしブロックに動いた平川と止まりきれなかった山本が接触。平川はマシンを立て直しコースに復帰するが、山本は左フロントのサスペンションを痛めリタイアとなってしまう。この接触に関してレースコントロールでは山本に責任があると判断。山本には黒白旗が出されている。
野尻が今季2勝目!ランキングトップ宮田に10ポイント差にまで接近
スタート直後の赤旗があったが、レースは予定していた37周を完遂。トップの野尻は2位以下に大差をつけてトップチェッカーを受け今季2勝目を挙げた。2位には大湯を交わした平川、3位の大湯は今季初表彰台を獲得。そしてランキングトップの宮田が4位、ランキング2位のローソンはノーポイントに終わり、野尻は一気にチャンピオン争いに復帰することとなった。宮田とは10ポイント差、ローソンにはわずか2ポイント差にまで接近し、最終戦鈴鹿のダブルヘッダーでの逆転を狙う。
野尻が逆転チャンピオンに望みを繋げたレースとなった第7戦。TEAM MUGENの同士討ちになりかねないバトルもあり、緊張感が高まってきた今シーズンも残りわずか2戦(鈴鹿でのダブルヘッダー)となった。
野尻からしてみれば、後がなく勝つしかない状況。ローソンとのバトルを引くわけにはいかない。ローソンにとっても今大会の野尻の好調さを知っているだけに、チャンスはスタート直後の1~2コーナーしかなかったのかもしれない。両者の思惑がぶつかり合ったスタートは、結果的に野尻に味方した。20ポイント以上差をつけられていた状況から、一気に差を詰め10ポイント差とした。
一方、ランキングトップの宮田も不得意なサーキットでしっかりと上位でフィニッシュしランキング首位の座を守った。レースの展開により後方からの追い上げを強いられながらも、レースペースの良さとタイヤ交換を遅らせるストラテジーにより4位まで挽回。今回は野尻のインパクトに隠れてしまったが、宮田にとってこれ以上ない結果となったことだろう。
鈴鹿、第8戦と第9戦は10月の鈴鹿で行われる。計算上はランキング4位の平川とランキング5位の坪井にもチャンスが残っているが、チャンピオン争いは実質的に宮田、ローソン、野尻の3名に絞られた。
圧倒的なチーム力とマシンのポテンシャルを誇るが、2名のタイトルコンテンダーを抱えるTEAM MUGEN。一方、初優勝から勢いに乗り、着実にポイントを重ねランキング首位に立っている孤軍奮闘の宮田。近年見られなかった三つ巴のチャンピオン争いはどのような決着となるのだろうか。10月の末の鈴鹿最終決戦が待ちきれない。
2023年 スーパーフォーミュラ第7戦 決勝リザルト
1. 野尻智紀(TEAM MUGEN)37周
2. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
3. 大湯都史樹(TGM Grand Prix)
4. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
5. 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)
6. 小高一斗(KONDO RACING)
7. 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
8. 大嶋和也(docomo business ROOKIE)
9. 山下健太(KONDO RACING)
10. 国本雄資(Kids com Team KCMG)
2023年 スーパーフォーミュラ ドライバーズランキング(第7戦終了時点)
1. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S) 94
2. リアム・ローソン(TEAM MUGEN) 86
3. 野尻智紀(TEAM MUGEN) 84
4. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 51
5. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 50
6. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)37
7. 山下健太(KONDO RACING) 30
8. 大湯都史樹(TGM Grand Prix)22
9. 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING) 17
10. 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)16
2023年 スーパーフォーミュラ チームランキング(第7戦終了時点)
1. TEAM MUGEN 153
2. VANTELIN TEAM TOM’S 91
3. P.MU/CERUMO・INGING 59
4. ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 51
5. KONDO RACING 40
6. DOCOMO TEAM DANDELION RACING 39
7. TCS NAKAJIMA RACING 31
8. Team KCMG 20
9. docomo business ROOKIE 20
10. TGM Grand Prix 13
11. ThreeBond Racing 8
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