心臓部は500馬力オーバーの1UZ改ツインターボ仕様!
V8搭載の試作車がショーカーに劇的進化
「アダ名はバットモービル!?」ワイドボディマニアが駆るBCNR33サーキット仕様!
「シルビアにツインターボのV8エンジンが載ってたらカッコ良いよね!」という、実にストレートな理由で製作されたS15シルビアの登場だ。手がけたのは、北海道のチューニングショップ“ガレージミニッツ”。
エンジンは比較的手に入りやすいという理由で、20セルシオ後期の1UZ-FEをチョイス。エンジン本体は、冷却ファンとラジエター以外はスペース的にほぼ問題なかったそうで、ワンオフのエンジンマウントを使って換装。当然、ハーネス類は全て引き直されており、不要なものも撤去している。
インマニは1UZ純正の不要なブラケットを削り落とし、アルミを肉盛り溶接してパイプ形状が際立つように削り直している。「カマロのV8エンジンをイメージした」と言うように、見た目を追求した結果の産物だ。
レイアウトの都合上、シリコンホースで固定できないスロットルバルブとパイピングのジョイントは、アルミのカップリングを溶接してステンバンドを使用。これは、エンジンルームをシルバーと黒に統一する狙いでもある。
左右バンクにはTD系タービンをセット。エンジン本体がノーマルのため、ブースト圧は0.5キロまで下げているが、それでも550psを発揮。なお、すぐ下のタイヤハウスは無加工のように見えて、実は純正っぽく作り直してスペースが調整されている。
冷却系チューンも抜かりはない。1UZを搭載した状態から逆算して使えるスペースに最適だったのが、独特なサイドタンク形状だったR32GT-R用ラジエター。そこに、JZX90純正の油圧ファンを組み合わせたことで、V8エンジンの熱量に対してラジエターの容量不足を補う冷却効率を発揮。水温は真夏でも90度以下で安定している。
前置きで配置されたインタークーラーは、分割式のサイドタンクが特徴的なV型ツインターボ専用品。パイピングの取り回しが複雑になる分、取り付けにはレインフォースの大幅な加工が必要だったという。
ミッションには、ハイパワーにも対応する耐久性で人気のZ33純正6速を流用。アメリカ製の変換アダプターを使ってミッションケースとベルハウジングをドッキングしている。なお、エキゾースト環境は全てV8に合わせたワンオフのスペシャルだ。
足回りは、クァンタム車高調(F14kg-mm/R10kg-mm)でセットアップ。ナックルはGPスポーツのショート加工で切れ角をさらに拡大。4ポットキャリパーはポルシェ純正で、表側のロゴを削り落として再塗装、小さなブレンボの刻印だけをさりげなく残していたりする。
フロントメンバーを分割して20mm短縮加工することで、ステアリングラックをフロント側に移設。これは、切れ角アップした車両に起こりうる逆関節症状(タイロッドとナックルが一直線になってステアリングが戻らなくなる現象)を防止するための策。メンバーの左右前側にチラリと見えるパイプは、ウエストゲートの大気開放口だ。
リヤはフェンダーのアーチ上げ以外は「至って普通」という仕様。R33タイプMのリヤメンバーを流用してリジッド化はしているが、攻めた車高は狙っていない。
室内も美しい仕上がりだ。センターコンソールにスイッチ類を集約。右側のキルスイッチはダミーで、ここにキーシリンダーが移設されている。赤いプッシュボタンはスターターだ。ビレットのトグルスイッチはウインカーで、黒いトグルはライト類とパワーウインドーのスイッチになっている。
シートはブリッドのジータIII×2をローマウントで装着。ダッシュ貫通式のロールケージは6点式にクロスバーを加えた8点式を使用する。
Z33純正ミッションをそのまま使うとシフト位置がかなり後方になってしまうため、シフトレバーをワンオフ加工してシルビアのレバー位置に近づけている。右側の突起はリバースに入らないようにするためのストッパーで、バックする時だけ引き上げて使うようにしているとのこと。
「パワーウインドウスイッチを無くしたかった」という理由から、FRP製のドアトリムを使ってスムージングしているのが拘りポイントのひとつ。バッテリーは助手席の足元に移設されている。
純正の燃料タンクとトランクのフロアをカットして、フューエルセーフ社の94L燃料タンクを埋め込んでいる。トランク内には、コレクタータンクとボッシュの燃料ポンプが取り付けられていて非常にレーシーだ。ちなみに、この燃料タンクは20万円するシロモノらしい。
エクステリアはロケットバニーで統一。ただし、そのままでは各部が干渉して走れないため、フルカウンター状態でもタイヤがエアロパーツに当たらないよう加工が施されている。
ホイールは国産鍛造3ピースのBMD・Tomanで、タイヤにはプロクセスT1R(F245/35-18 R285/30-18)をセット。車高はあまり下げずに、ドリフト可能な走りに振ったサスセッティングだ。
当初はV8換装の実験車両として適当に作るつもりだったそうだが、仕上がりは完全にコンクールコンディション。それでいて、深いアングルでのハイスピードドリフトも可能というのだから、完全無欠のスーパーチューンドと言っても決して過言ではないだろう。
●取材協力:ガレージミニッツ 北海道北見市西三輪7丁目706-2 TEL:0157-36-4753
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