フォーミュラEシーズン7の最終2連戦がドイツ・ベルリンのテンペルホフ飛行場跡で開催された。今シーズンは13戦中10人が優勝しており、第13戦終了した時点でシリーズチャンピオンの可能性を残しているのは、なんと18位までという大混戦。最後の2連戦でどれだけポイントを稼げるかがキーになった。
シリーズチャンピオンはニック・デ・フリース(メルセデスEQ)が獲得。2位がエドアルド・モルタラ(クラッシュにより不在・写真はチーム代表スージー・ウルフ)、3位ジェイク・デニス(BMW) ポイントはグループ予選のトップになると1ポイント、スーパーポールで3ポイント、決勝レース中のファステストラップで1ポイントが獲得できる。そして優勝が25ポイント、2位18ポイント、3位15ポイントというポイントだ。トップのデ・フリースが95ポイントでリードするものの2位以下18番手までが各1、2ポイント差で争っており、チャンピオンの行方は全く見えていない。
ランボルギーニ スーパーカーが蘇る!新型「カウンタックLPI800-4」発表
そして第14戦のレースではシリーズをリードするトップ3のデ・フリース、フラインス、バードの3人が全員ノーポイントとなっていまい、ますます混迷するチャンピオンシップになったのた。
【予選ヴェルニューがポール】
元飛行場の駐機場跡はコース幅も広く、いつものコースよりは抜きどころの多いレイアウト。路面はコンクリート舗装でタイヤへの負担も大きいが、ダスティではないため、予選グループの上位が不利という、いつものパターンとは異なり上位グループが予選上位を占める結果となった。
グループ予選では2年連続シリーズチャンピオンを獲得しているDSテチータのヴェルニューがトップにたった。今季一度もポールを取っていないが、最終戦にはきっちり合わせてくるベテランだ。そして注目はヴェンチューリ。メルセデスのパワートレーンを使うサテライトチームが、本家メルセデスより上位にいる。つまりPUの性能ではなく、マシンのまとまりがいいということなのだろう、ナト、モルタラともに上位にいた。
そしてスーパーポールでは、DSテチータのワンツー。ヴェルニュー、ダ・コスタがフロントローに並び、3位ディ・グラッシ、4位モルタラ、5位ナト、6位ブエミという順で、日産ブエミが久しぶりに上位に進出していた。
【決勝ディ・グラッシが優勝】
スタートはキレイにDSの2台がホールショットを決めたが、今回出力アップできるアタックモードがレース中1回の使い切り義務と8分間というルールに変更されている。抜きどころの多いコースだけにこのアタックモードの使い方が明暗を分けることもあった。
レース序盤、ランキング3位のバードがマシントラブルでまずリタイヤしてしまう。その関係でSCが入り、アタックモード中だった日産の2台は無駄にしてしまう結果となり、8位、、9位より上位には進出できなかった。トップはヴェルニュー、ダ・コスタ、ディグラッシ、モルタラと続いた。
22分経過した時点で、12位スタートだったアウディのレネ・ラストがアタックモードをうまく使い4位まで進出している。この時点でトップはDSテチータのヴェルニュー、ダ・コスタで3位、4位がアウディという展開に変わっていた。ヴェンチューリのモルタラはアクティベートゾーンに入り順位を落とすが、このあと挽回する展開だ。
やはりレース中盤はアタックモードによって順位は激しく入れ替わり、軽い接触も交えながら大きなアクシデントはなくレースを消化していく。残り5分の時点ではアウディのディ・グラッシ、ヴェンチューリのモルタラ、エンヴィジョンのエバンス、ナト(ヴェンチューリ)、デニス(BMW)、ヴェルニュー(DSテチータ)、ダ・コスタ(DSテチータ)という順。
序盤から中盤はDSテチータが良かったものの全体にタイムは遅く、次第に順位を落とす結果になっている。また3番手のエヴァンスもエネルギーマネージメントをしているためか、タイムが上がらず、トップ2台は逃げていき、逆に後続に蓋をしている形となり、最後の1、2周が勝負ということになった。
最終ラップ、ディ・グラッシが逃げ切り優勝。続いてモルタラだったが、この2台とも残りのエネルギーは0.0%というドンピシャの残量マネージメントは見事だった。3位エヴァンス、4位ナト、5位デニス、6位ヴェルニューという順。
第14戦は最年長のルーカス・ディグラッシ(アウディ)が優勝。2位エドアルド・モルタラ(ヴェンチューリ)、3位ミッチ・エヴァンス(ジャガー) これでますますチャンピオンシップは混迷し、ニック・デ・フリース(メルセデスEQ)のリードは変わらず95点。以下。
2位:エドアルド・モルタラ(ヴェンチューリ)92点
3位:ジェイク・デニス(BMWアンドレッティ)91点
4位:ミッチ・エヴァンス(ジャガー)90点
5位:ロビン・フラインス(エンヴィジョンヴァージン)89点
6位:ルーカス・ディ・グラッシ(アウディアプトシェフラー)87点
一方チームスタンディングでは
1位:ジャガー・レーシング171点
2位:DSテチータ 166点
3位:エンヴィジョン・ヴァージン・レーシング165点
日産は残念ながら10位という結果になっている。
【最終戦】
そして翌日、同じ場所で最終戦が行なわれる。が、コースは逆周りのレイアウトに変更され戦うことになる。
フォーミュラEシーズン7の最終戦を迎え、チャンピオンシップはランキング14位までがチャンピオンの可能性を残し、7位までは自力優勝できるという混戦となった。そして始まるグループ予選の1グループは、そのチャンピオンシップの上位6台によるものなので、是が非でもスーパーポール進出が重要となる予選だった。
しかし、予選を終わってみると1位ヴァンドーン、2位ローランド、3位ナト、4位シムス、5位ブロンクヴィスト、6位エヴァンスという順位で、シリーズチャンピオンの権利あるドライバーがエヴァンス一人という結果になった。そのためグループ予選とスーパーポールでもらえるポイント4点がチャンピオンシップに関係しないドライバーが獲得することになった。
スーパーポールではヴァンドーン、ローランド、エヴァンス、シムス、ブロンクヴィストという順でナトがトラブルで出走できず6番手スタートとなった。
最終戦はノーマン・ナト(ヴェンチューリ)が優勝。2位オリバー・ローランド(日産e.Dams)、3位ストフェル・ヴァンドーン(メルセデスEQ) この時点で自力優勝できるドライバーは4人に絞られ、可能性としては13位までとなった。ところがトップ10のドライバーをみると、チャンピオンシップに絡めるドライバーはなんとわずか3名。
ランキング4位のミッチ・エヴァンス(ジャガー)、ランキング3位ジェイク・デニス(BMWアンドレッティ)、ランキング13位のパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)の3選手。そしてエヴァンスは3番手スタートで、デニスは9番手スタート、ヴェアラインは10番手スタートだ。一方チャンピオンシップリーダーのニック・デ・フリース(メルセデスEQ)は13番手スタートのため、エヴァンスが圧倒的有利な状況で決勝を迎えたことになる。
【前代未聞のアクシデント】
そして決勝では信じられないアクシデントが起きた。ランキング4位エヴァンスがスタートできずランキング2位のモルタラが激突するアクシデントが起きた。両者ともに怪我はなかったものの、デ・フリースにとって、ランキング2位と4位が居なくなり少し楽な展開となったのだ。
そして再スタートの1周目に、なんと今度はランキング3位のデニスがウォールにヒットし、リタイヤするアクシデントに見舞われた。この時点でデ・フリースを追いかけるランキング2位、3位、4位が居なくなるという前代未聞の最終戦になった。
普通に走れば参戦1年目でシリーズチャンピオンになれたジェイク・デニスは、ドライビングミスもありリタイヤしてしまう 振り返ると、追いかけてくるドライバーはランキング5位のロビン・フラインス(エンヴィジョン・ヴァージン)が21番手スタート、6位のルーカス・ディ・グラッシ(アウディアプトシェフラー)が17番手、ランキング7位のアントニオ・ダ・コスタ(DSテチータ)が15番手スタートであり、デ・フリースにとっては非常に有利なレースとなったのだ。
レースは再スタート後、ストフェル・ヴァンドーン(メルセデスEQ)とオリバー・ローランド(日産e.Dams)がトップ争いを演じ、3番手以下シムス、ナト、ブロンクヴィストと続きデ・フリースは9位前後まで順位を上げていた。
レースは大荒れだったが、チャンピオンのデ・フリースにとってはライバルが消えていく展開となり、最後はポジションキープでチャンピオンを決めた 【デ・フリースがポジションキープ】
今回のレースではアタックモードは前日の8分間1回の使用義務から、通常の4分間2回に変更されている。そのため抜きどころの多いこのコースではアタックモードを使うタイミングで大きく順位は変動する展開となった。
残り30分の時点でノーマン・ナト(ヴェンチューリ)がトップにたち、ヴェンドーンは次第に下がっていく。シムス、ローランド、ロッテラー、デ・フリースという順だが、これもアタックモードで順位は変わる状況だ。
そしてダ・コスタがディ・グラッシに押し出されてクラッシュするシーンもあり、チャンピオンシップを争うドライバーが続々と姿を消していく。最終ラップはナトがフォーミュラE初優勝を飾り、2位にローランド、3位ヴァンドーン、ロッテラー、シムス、ヴェアラインという順でチェッカーを受けた。
デ・フリースは最後ポジションキープの走行をし、降りかかる火の粉を避けるように安全にフィニッシュラインを8位で通過し、FIA フォーミュラEの初代シリーズチャンピオンを獲得した。
こうしてシーズンを振り返るとメルセデスEQの圧勝で終わった。シリーズチャンピオンはフォーミュラE参戦2シーズン目のニック・デ・フリースがチャンピオンに輝き、チームランキングでもヴァンドーンの3位フィニッシュにより2台のポイントが上乗せされチームポイントリーダーだったジャガーを抜いてチャンピオンチームに輝いた。そして最終戦優勝のヴェンチューリもメルセデスのPUを使うサテライトであり、メルセデスの底力を見た気がする。
第15戦結果
優勝:ノーマン・ナト(ヴェンチューリ)
2位:オリバー・ローランド(日産e.Dams)
3位:ストフェル・ヴァンドーン(メルセデスEQ)
4位:アンドレ・ロッテラー(ポルシェ)
5位:アレキサンダー・シムス(マヒンドラ)
6位:パスカル・ヴェアライン(ポルシェ)
2020/21シーズン7シリーズドライバーランキング
チャンピオン:ニック・デ・フリース(メルセデスEQ)
2位:エドアルド・モルタラ(ヴェンチューリ)
3位:ジェイク・デニス(BMWアンドレッティ)
4位:ミッチ・エヴァンス(ジャガー)
5位:ロビン・フラインス(エンヴィジョン・ヴァージン)
6位:サム・バード(ジャガー)
2020/21シーズン7シリーズチームランニング
1位:メルセデスEQフォーミュラEチーム
2位:ジャガー・レーシング
3位:DSテチータ
日産は残念ながら10位だった。
ここからストーブリーグへと変わるが、BMWとアウディが今季限りの撤退を表明している。それに伴い、ドライバーの移籍や新たな参戦チームがあるかもしれない。またPUの提供はどうなるのか、など話題は事欠かなさそうなオフシーズンとなる。
The post フォーミュラEシーズン7 第14戦、第15戦ベルリン シリーズチャンピオンはニック・デ・フリースが獲得 first appeared on オートプルーブ - Auto Prove.
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
緊急避難なら駐車違反が罰せられないなら「腹痛で路駐してトイレに駆け込んだ」ってあり? 違反が免除されるケースとは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?