AIの搭載など今後益々進化が予想される「クルマの知能化」。その流れのひとつとしてAppleの「CarPlay」やGoogleの「Android Auto」などに代表されるインフォテインメントシステムの搭載が増えてきている。
そこに今回、家庭用のスマートスピーカーとして人気のAmazonが車載用に「Echo Auto」という商品の発売を開始。これを使うことで一体何ができるのか、そして先行するライバルとの違いは何かを検証してみた。
冬ドライブの準備&トラブル対策はコレだ! やっておきたいクルマの冬支度
文/高山正寛、写真/Amazon
【画像ギャラリー】今乗っている愛車がお手軽に「スマートカー」に変身! 小さな同乗者「Echo Auto」を見る!
■家庭用では非常に高い人気
Amazonから登場した「車載Alexa」Echo Auto
今回、この原稿執筆を依頼される前、正確に言えば発売と同時に筆者もこの「Echo Auto」を購入した。
理由はすでに家でAmazonの音声アシスタントである「Alexa(アレクサ)」を使っており、現在ではエアコンやテレビなどの電源など、リモートで行える環境を整えているからだ。
同時に他社のスマートスピーカーも利用しているが、前述した家電との連携やAlexa独自とも言える3500を超える「スキル」をインストールすることで自分好みの仕様にカスタマイズできる点が大きな魅力なのだ。
■家庭用を車載にしてみた結果
自動車内での使用に最適化されているEcho Autoならロードノイズの影響も抑えられる
その利便性は高く評価しつつも、何とかこれをクルマの中で使いたいと思い。過去、家庭用の「Echo dot」をクルマに持ち込んで使ったことはあったのだが、クルマ特有のロードノイズなどの影響なのか、自慢の音声認識も家庭で使うよりは発揮することが出来なかった。
そもそも利用環境も含め、設計自体が専用ではないわけだから当然と言えば当然なのだが、やはりAlexaの持つ多彩な機能を使いこなしてみたいという欲求は日々高まっていった。
■車載向けにAlexaの採用が増えてきた
Echo Autoの登場によって日本もようやくAlexaの車載に対応した
現在の車載用インフォテインメントシステムとしては前述したように「CarPlay」と「Android Auto」が2強と言える存在だ。ただ、Alexaに関してはスマホをディスプレイオーディオなどの車載器に接続するという概念ではないので、必ずしも同じグループとは言えないだろう。
一方で、このAlexaを車載化して、いわゆる「スマートカー」として進化させようという動きは徐々にではあるが増えてきている。
2021年度に発売予定の日産のBEVである「アリア」を筆頭に、カーオーディオの世界ではカロッツェリアが今年「DMH-SF700」というディスプレイオーディオを発売し大ヒット。またケンウッドも低価格の1DINオーディオである「U341BT」などをAlexa対応としている。
ただ北米ではすでに2018年にはトヨタ車を筆頭にAlexaを搭載を行っており、見方によっては日本は少し遅れているという印象も受ける。
そこに満を持して投入されたのが車載専用に開発された「Echo Auto」なのである。
■車載器らしい仕組みが満載
スマホと比較すればそのコンパクトさがよくわかる。フリスクのケースよりひとまわりほど大きいくらいだ
手に入れた「Echo Auto」のサイズは幅85mm、奥行き47mm、厚さ13.28mmとかなりコンパクト。標準的なスマホより小さい印象だ。
また上面に配置されたアクションボタン(右側)とマイクのオン/オフボタン(左側)、そして真ん中のAmazonのアローロゴを見ると「ニッコリ」笑っているようにも見える点はセンスも良い。
前述したように家庭用のEchoを車載しようとして失敗した筆者だが、「Echo Auto」には本体上部に8つのマイクアレイを搭載している点。
さらにビームフォーミングと呼ばれる技術(Wi-Fiルーターなどでも使われている)や機械学習などを行うことで近くや遠くにある音を区別できる機能も搭載しているという。
■取り付けは5分あれば十分
ダッシュボードに直置きでもいいが、付属のアタッチメントを使用すればより安定する
まず本体に付属するアタッチメント(エアベントマウント)をエアコンの吹き出し口に取り付ける。スマホを車載する際のパーツと同じだが、よく考えられているな、と感じたのが取り付け部が上側に向かって長いことで吹き出し口からの風が直接「Echo Auto」に当たりにくい構造になっている点だ。
もちろんこのパーツを使いたくないのであればダッシュボードに直で置くのもアリだが、本体は水平に設置するなど一定のルールは守る必要はある。
続いてスマホに事前にインストールしておいたアプリと連携させる。筆者的にはこれまで家庭用のEchoで経験済みなのでセットアップの流れ自体は把握できていたが、初めての人でもガイドに沿って行えば問題はない。
ただセットアップ自体は車載で行う必要があるようで、家で行ってからクルマに持ち込むというやり方はNGだ。
「Echo Auto」は付属する3.5mmのステレオプラグ付きコードかBluetoothでスマホやカーオーディオと接続するが、筆者はBluetoothを選択した。クルマ側には外部入力端子もあるのだが、USB接続による電源供給コードと2本もコードがあると少々煩わしいと感じたからだ。
音声認識に関してはまずは「優秀」と言える。実は車載に際し、所有のプリウスと元々走行音が大きめのコンパクトカーでテストしたのだが、プリウスはさすがの認識精度、一方でコンパクトカーはたまに認識されないこともあった。
それでもエアコンやロードノイズなど音に関しては環境が厳しいクルマにおいてこれだけ認識してくれれば満足だ。筆者的にはエアコンからステアリングコラムの近くなどに移設して距離を短く取ればさらに認識率は上がると考えている。
■車内で「Alexa!」はやはり快適だ
同乗者に話しかけるように音声操作ができる。ひとりでのドライブも寂しくない!?
スマホと連携することで対応する音楽配信サービスの楽曲を車内で再生できる。
筆者は「Amazon Music」のみを契約しているが、「Apple Music」や「Spotify」にも対応しているようで、音声で「Alexa!山下達郎の曲かけて!」と言えば「Amazon Musicで山下達郎の楽曲をシャッフル再生します」と返答があり再生が始まる。
さらにクルマでの移動が多いこともあり目的地の天気やニュースなど、これまで家で使っていた機能も活用できる。
ただ筆者の使い方が悪かったのかも知れないが、一度クルマから降りてしまう(電源は当然オフになる)と楽曲自体はリセットされてしまい、続きから楽しむことができない。この辺は何か設定があるのかもしれないが、もう少しわかりやすくても良いと感じた。
また筆者は格安SIMとしてNTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」を使っている。その理由は対象となる定額制音楽配信サービスの利用において、通信容量がかからない「カウントフリー」が活用できるからだ(一部制限あり)。
筆者が契約する「Amazon Music」もこれに対応しているのだが「Echo Auto」で定額制音楽配信サービスを使う場合、当然のことながら通信料は気になる部分。契約するプロバイダのプランを確認しておく必要があるだろう。
■4980円で中古車も最先端のスマートカーに変身!
自宅で使い慣れたAlexaの機能を車内で使えるメリットは大きい
現状において、細かな部分を言い出したらキリがないのだが、前述したようにこれまで家庭内で使っていたAlexaの機能が車内で使えるメリットは大きい。
さらに言えば今までITとは無縁のクルマに乗っていた人にもこれを購入するだけで外部から使える情報を簡単に入手できるわけだ。
「Echo Auto」の価格は4980円(税込)。スマホさえあれば、この価格で中古車も最先端のスマートカーに変身できるのはドライブを楽しくするし、魅力的と言えることは間違い無い。
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