現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則378】グランデプント アバルトは「ブランド復活」にふさわしい味わいを持っていた

ここから本文です

【ヒットの法則378】グランデプント アバルトは「ブランド復活」にふさわしい味わいを持っていた

掲載 更新
【ヒットの法則378】グランデプント アバルトは「ブランド復活」にふさわしい味わいを持っていた

2007年、アバルトブランドが復活した。3月のジュネーブオートサロンで復活を宣言すると、トリノに1号店をオープン、その後一気に欧州12カ国に60拠点を設けた。そして、アバルト復活の第一弾として登場したのが、グランデプント アバルトだった。Motor Magazine誌ではさっそくイタリア・トリノで行われた国際試乗会を取材している。今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年12月号より)

やることなすことすべてに勢いが感じられる
世界の自動車メーカーの中で「いま一番活きがいいのはどこか」と聞かれれば、何のためらいもなく「フィアット」と答えるだろう。もちろん業績もいいのだが、何よりもやることなすことすべてに勢いが感じられる。この「アバルト復活」などはそのよい例だろう。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

一時の深刻な経営不振から、復活の狼煙となったのはグランデプントだが、その成功を確認するや、間髪をおかずこの夏にはフィアット500(チンクエチェント)を現代に蘇らせた。さらには往年のスポーツブランド「アバルト」を復活させるというテンポの良さは爽快だ。自らの強みをよく理解した上で打つ手には、ためらいがなく、回りの人間を巻き込む勢いがある。

さて、アバルトを名乗るモデルが登場するのは、リトモ130TC以来、24年振りということになる。それがつい昨日のことのように感じられてしまうオールドファンは多いと思うが、それだけこのブランドは印象深い。レースで活躍し、続いてプロトタイプ、改造キットと、クルマ好きの若者へ向けて、強烈なメッセージを発信していた。

復活したアバルトも同様だ。実はすでに、2006年からグランデプント・アバルトS2000というマシンで、イタリアと欧州ラリー選手権に参戦している。そして、2007年3月のジュネーブショーで正式に「アバルト復活」を宣言、その第一弾のモデルとして、グランデプント・アバルトが発表された。さらに9月のフランクフルトショーでは、往年のスペシャルバージョンと同名の「エッセエッセ(スーパースポーツの意味)」もお披露目した。

試乗に先立って、ホテルに滞在する日本人プレスを訪ねてきたのは、フィアットブランド社長のルカ・デ・メオ氏。フィアットグループ社長マルキオーネ氏の右腕で、フィアット復活の立役者となった人物だ。そして、このルカ・デ・メオ氏が新生アバルト社の社長も兼任する。フィアット社のアバルトへの力の入れようが、このことでもわかる。

同氏によると、グランデプントに続いて500アバルトも投入するが、完璧に仕上げたかったので当初の予定より遅れて、その時期は2008年になるとのこと。そして「将来的には、500アバルトでサーキットレースをやりたい」とも言っていた。また、アバルトを扱うディーラーは2008年末までに欧州12カ国に60拠点、プラス日本に数カ所設けるそうだ。

ハイチューンながら非常に運転しやすい
試乗はトリノ郊外にあるバロッコ・テストトラックで行われた。まず、155ps仕様に乗ったが、このエンジンは1.4L 4バルブDOHCにギャレットIHI製ターボをドッキングしたもの。自然吸気では95psなので、ハイレベルなパワーアップだ。アクセラレーターはドライブバイワイヤで、機械的な繋がりはない。組み合わされるトランスミッションは6速MTとなる。

ホイールはノーマルより2インチアップされ、タイヤは215/45R17サイズのピレリPゼロを履く。ブレーキもフロントにはブレンボ製キャリパーを装着するなど強化されている。サスももちろん専用セッティングで車高はノーマルより10mm低い。

初めはちょっと構えた。これだけのハイチューンだから、操作は繊細にしなくてはならないだろうと思ったのだ。そして、ギアを1速に入れて、ゆっくりとクラッチを繋ぐ。するとどうだろう。実にソフトで滑らかにクルマが動き出した。これは非常に運転がしやすい。センシティブなところはまったくない。

そのまま2速、3速へとシフトアップをしていくが、シフトフィールはしなやかだ。カチカチと入るような感じではなく、回転が合うとそのギアにスッと引き込まれるようなイメージだ。エグゾーストノートも、過度ではなく適度な演出がいい。

テストトラックなので、ある程度ハードに走ってみたが、サスペンションは粘り強く、リアの追従性がよい。パワーが過剰ではないので、その点でも扱いやすい。ゆっくり走れば快適で、その気になれば十分速い。実に懐が深い、大人の味と言える。

じっくり見ると、内外装のデザインも華美ではなく上品、大人っぽくてよい。若かりしころに、勝手にイメージしていたアバルトとは少々異なった印象だった。しかし、この現代のアバルトの味は絶妙だ。昔のアバルトのことも知っている40歳以上のオールドファンには、かなり受けるのではないかと思う。

180psエンジンを搭載するエッセエッセにも試乗したが、上質さを削がない範囲の運動性能向上が図られており、なかなかよかった。これはキット販売なので、155ps仕様に後付けできる。こうした配慮もアバルト流で嬉しいところだ。

「アバルト」は、フィアット社の元気を象徴する中身の濃さだった。(文:荒川雅之/Motor Magazine 2007年12月号より)



グランデプント アバルト主要諸元
●全長×全幅×全高:4060×1725×1480mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1240kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1368cc
●最高出力:155ps/5500rpm
●最大トルク:200Nm/5000rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速MT
※欧州仕様

[ アルバム : グランデプント アバルト はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

超斬新! 未来の「充電ステーション」のアーティスティックな造形にビックリ仰天!![復刻・2013年の話題]
超斬新! 未来の「充電ステーション」のアーティスティックな造形にビックリ仰天!![復刻・2013年の話題]
ベストカーWeb
夫の坪井翔もサポートし“同シーズン夫婦王者”を目指す斎藤愛未。ランク2位の翁長実希を襲うトラブル
夫の坪井翔もサポートし“同シーズン夫婦王者”を目指す斎藤愛未。ランク2位の翁長実希を襲うトラブル
AUTOSPORT web
メルセデスAMGの「ワンマン・ワンエンジン」の職人にインタビュー「世界中のオーナーからSNSを通じてメッセージが届きます」【みどり独乙通信】
メルセデスAMGの「ワンマン・ワンエンジン」の職人にインタビュー「世界中のオーナーからSNSを通じてメッセージが届きます」【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ゴルフVIIよりも「上」? フルSKYACTIV搭載 マツダ3代目アクセラ 発売前試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】
ゴルフVIIよりも「上」? フルSKYACTIV搭載 マツダ3代目アクセラ 発売前試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
WEC、ELMSで活躍する木村武史が2024年も盛大にクリスマスパーティを開催
WEC、ELMSで活躍する木村武史が2024年も盛大にクリスマスパーティを開催
AUTOSPORT web
高密度バッテリーで690km? 改良版 BMW iX 試作車へ試乗 マックス・モードも 実力更に上昇
高密度バッテリーで690km? 改良版 BMW iX 試作車へ試乗 マックス・モードも 実力更に上昇
AUTOCAR JAPAN
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 後編
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 後編
AUTOCAR JAPAN
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 前編
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 前編
AUTOCAR JAPAN
20代現役デザイナーが選んだ「アルフェッタGT1.8」は伊藤忠モノ! 4~5年探してやっとの思いで購入したアルファ ロメオとは
20代現役デザイナーが選んだ「アルフェッタGT1.8」は伊藤忠モノ! 4~5年探してやっとの思いで購入したアルファ ロメオとは
Auto Messe Web
基本メンテナンスで100年間! HEツーリッター・スポーツ(2) 1924年を感じさせない製造品質
基本メンテナンスで100年間! HEツーリッター・スポーツ(2) 1924年を感じさせない製造品質
AUTOCAR JAPAN
ブガッティとベントレーの愛のない結婚? HEツーリッター・スポーツ(1) 100年前に5年保証!
ブガッティとベントレーの愛のない結婚? HEツーリッター・スポーツ(1) 100年前に5年保証!
AUTOCAR JAPAN
美と走りの頂点へ! 一部改良で進化したレクサス「LC」がラグジュアリーの新たな幕を開ける
美と走りの頂点へ! 一部改良で進化したレクサス「LC」がラグジュアリーの新たな幕を開ける
VAGUE
ほぼ新車な「“クラシック”ディフェンダー」がスゴイ! V8搭載&超豪華内装化も可能!? TWISTED JAPANの「ハイパフォーマンスモデル」とは
ほぼ新車な「“クラシック”ディフェンダー」がスゴイ! V8搭載&超豪華内装化も可能!? TWISTED JAPANの「ハイパフォーマンスモデル」とは
くるまのニュース
冬のツーリングこそ楽しい! バイク界の“高級サルーン” 快適装備満載の人気「バガー」3選
冬のツーリングこそ楽しい! バイク界の“高級サルーン” 快適装備満載の人気「バガー」3選
VAGUE
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
レスポンス
2024年問題で高速の景色が変わった! トラックドライバーの労働時間を縛る愚策がもたらした結果
2024年問題で高速の景色が変わった! トラックドライバーの労働時間を縛る愚策がもたらした結果
WEB CARTOP
[15秒でニュース]ラムが初のBEVトラックの発売を延期…PHEVを優先展開
[15秒でニュース]ラムが初のBEVトラックの発売を延期…PHEVを優先展開
レスポンス
「ここ有料道路だったの!?」がやけに多い“千葉県”なぜ? 今やフツーに使ってる“実は神ルート”な道たち
「ここ有料道路だったの!?」がやけに多い“千葉県”なぜ? 今やフツーに使ってる“実は神ルート”な道たち
乗りものニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

374.0410.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
クロマの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

374.0410.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村