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初代ボルボ S60はそれまでのボルボにはなかったスポーツセダンだった【10年ひと昔の新車】

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初代ボルボ S60はそれまでのボルボにはなかったスポーツセダンだった【10年ひと昔の新車】

2010年3月のジュネーブオートサロンでボルボの新世代スポーツワゴンがデビューした。新しいスタイリング、新しいテクノロジーを盛り込んで登場したスポーツセダンは、ボルボが歩む道をどのように示していたのか。ここではポルトガル・リスボンで開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年8月号より)

4ドアセダンでありながらクーペのように流麗
リゾートホテルの敷地に整然と並べられた新型S60は、従来より大きくなったフロントグリルのおかげで、ひと目でボルボであることがわかる。しかしその一方で、明らかに「新しさ」の感じられるスタイリングにもなっていた。

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「四角い」イメージのボルボデザインだったが、最近は角がとれてスタイリッシュになってきた。新型S60は4ドアセダンでありながらクーペのように流麗で、かつてないほどスポーティな印象になっていた。

スタイリングに加えて、流麗かつスポーティさを強調しているのがキャラクターラインだ。フロントのボンネットのラインがグリルの下をなぞって再びボンネットに戻っていたり、リアもライトまわりのラインがボディ1周つながっているなど、ラインが途切れていないのが特徴だ。そして、サイドビューには筋肉をイメージしたダブルウェイブのラインが走る。

4628×1865×1484mmというボディサイズはDセグメントとしてはけっして小さくはないが、凝縮感あるデザインのせいか、見た目は意外とコンパクトに見える。それだけに、ドアを開け、室内に乗り込んだ時にはルーミーな印象を受ける。

インテリアもまた、エクステリア同様、ダッシュやドアパネルなどに継続的なラインを意識したデザインが施されている。サーキットをイメージしたとのことで、ディテールまでスポーティへのこだわりが感じられる。ボルボデザインの定番ともなったセンタースタックだが、S60ではややドライバー側に傾けられ、運転席を囲むようにレイアウトされてドライバーオリエンテッドな操作系になっている。

室内はスポーティさが増しているとともに、従来よりもクオリティが向上している。クリーン&シンプルに加え、モダンさの加わったインテリアは、セダンらしい落ち着きも併せ持っている。過剰なタイトさはなく、ゆったりしていながら身体にフィットするシートなど、ボルボらしい癒しの空間が損なわれていないことに安心した。

足回りのセッティングを一新、安全への取り組みにも注目
新型S60には、S80と同じ最新のプラットフォームが採用され、足まわりのセッティングも一新されている。スポーティを強調するだけに、サスペンションからブッシュ、ステアリングギア比に至るまで、かなりレートが上がり、全般的に締め上げられている。しかも試乗車は欧州仕様のダイナミックシャシ+18インチタイヤともっともハードバージョンだった。

まず、直4直噴ターボ+6速パワーシフトの2.0Tに乗る。ボディはもちろん、ステアリング系の支持剛性の向上が著しく、ステアフィールが良い。バネ上の無駄な動きも抑えられ、ハンドル操作に対してボディが素直に反応してくれる。贅肉を削ぎ落としながら、柔らかい筋肉がついた印象だ。とくに2.0Tは軽快なハンドリングで気持ち良く走れる。それでいて、乗り心地も快適だ。パワーシフトも、スポーティな走りに応えるダイレクト感がありながら、ほとんどATと変わらないスムーズさが好印象だった。

2.0Tで十分だが、よりパワー志向なら、ゆとりあるトルク&AWDを備える直3の3L+6速ATのT6がお勧めだ。程よいスポーティさも好印象だったが、それ以上に、懐深くて運転がしやすく、角のないボルボらしさがスポイルされていないことに何より安心した。ボルボの癒しは健在だ。

ところで、S60には最新の安全装備である「フルオートブレーキ付き歩行者自動回避システム」が搭載される。35km/h以下なら歩行者との衝突を回避する。40km/h以上ではフルブレーキで衝突のスピードを少しでも低くするようにする。

ドライバーがクルマを過信しないよう、またクルマへの過度の依存を防ぐため、ブレーキを2度踏みして対象物の1m以内に止まるという工夫もされている。カメラで認識するため、夜間は使うことができないものの、交通事故死亡者の中でも歩行者の割合が非常に高い日本では有効なデバイスとなるだろう。

最近、クルマの話題は「エコ」一色という印象がある。もちろん、燃費の良さはダイレクトにユーザーメリットにつながるが、120g規制でペナルティを課せられるのはメーカーであり、そのためCO2削減に必死に取り組んでいる面もある。結果、新車の訴求ポイントはどれだけ燃費が向上したか、CO2が削減できたかということになっているという気もする。

ボルボは、エンジンの直噴化など環境性能の向上に取り組みつつも、シートベルトを発明したメーカーらしく、コアバリューである「安全」への取り組みの姿勢も変わらない。それがユーザーの安心感にもつながっているのだろう。S60に装備されたさまざまな安全デバイスを見て、改めてボルボの安全に対する揺るぎないフィロソフィを感じた。

この新型S60の日本市場デビューは、来年(2011年)春ということになりそうだ。(文:佐藤久実)

ボルボ S60 T6 AWD 主要諸元
●全長×全幅×全高:4628×1865×1484mm
●ホイールベース:2776mm 
●車両重量:1711kg
●エンジン:直6DOHCターボ
●排気量:2953cc
●最高出力:224kW(304ps)/5600rpm
●最大トルク:440Nm(44.9kgm)/2100-4200rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●最高速:250km/h
●0→100km/h加速:6.5秒
※EU準拠

ボルボ S60 2.0T 主要諸元
●全長×全幅×全高:4628×1865×1484mm
●ホイールベース:2776mm 
●車両重量:1570〈1545〉kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1999cc
●最高出力:149kW(203ps)/6000rpm
●最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1750-4000rpm
●トランスミッション:6速DCT〈6速MT〉
●駆動方式:FF
●最高速:230〈235〉km/h
●0→100km/h加速:8.2〈7.7〉秒
※EU準拠

[ アルバム : ボルボ S60 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

8件
  • このモデル辺りからボルボはデザインが一気に上品でモダンなスポーティーデザインに変わったと思う。
    四角くて頑丈だけど野暮ったい車ってイメージをうまく脱却したと思う。
  • 初代S60は、ハッキリ言って名車です
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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