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ホンダのユーザーおそるべし──新型シビックRS試乗記

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ホンダのユーザーおそるべし──新型シビックRS試乗記

ホンダ「シビック」に、新設定された「RS」に小川フミオが乗った。新たなスポーツモデルの特徴をリポートする。

ガソリンエンジンのみ

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ホンダは2024年8月1日、スポーティテイスト満載のシビックRSを発表、先駆けてクローズドコースで試乗した。

最大の特徴は、6段マニュアル変速機(MT)のみの設定だ。「MTのニーズが増えていることから設定した」とはホンダの弁。手でギヤをシフトしていく楽しさを磨き上げたモデルだ。

シビックRSというと、1974年に5段MTの「1200RS」がオールドカーファンのあいだではよく知られている。グローバルではRSというとレーシングスポーツの頭文字として知られているほどだが、24年に登場のシビックRSは、タイプRの下に位置づけられるモデルだ。

「今回のRSは、現行のMTモデル(EXとLX)と入れ替えになります。ただし、大きく違うのは、変速機のチューニング。フライホイールを軽量化して回転の上がり下がりがより速くなってシフトの楽しさが増しているのと、レブマッチという機能で、MT初めてとか遠ざかっていた方が乗っても、ダウンシフトのときクルマがブリッピング(エンジン回転を上げて)キモチよくギアチェンジが決まります」

シビックシリーズの開発を指揮している明本禧洙(よしあき)は、試乗のとき、そう説明してくれた。

RSは、(従来のEXとLXとおなじスペック)1.5リッターガソリンエンジンのみで、駆動方式もやはり前輪駆動のみ。外観上の特徴としてホイール、ドアマウントミラーケース、サッシュ、シャークフィンアンテナがブラックになった点があげられる。

MTへのこだわり乗り比べてみると、外観だけが変わったわけでない、と、すぐわかる。シフトフィールは大きく違う。

これまでも“スポーティーかつダイレクト感のあるシフトフィール”などと謳われていたMTだが、フライホイール(はずみグルマ)をシングルマスの軽量タイプにして慣性を30%落としたというだけあって、軽くアクセルペダルを踏むだけで、さっと回転が上がる。

そのため、たとえば3速から2速へシフトダウンするときに、エンジン回転を合わせるべく(そうしないと想定以上に減速したりする)アクセルペダルを軽くあおるだけでエンジン回転が上がり、スパッと2速に入り、そこからグイグイと加速できる。

従来のMTは、エンジン回転マナーがモワーッとしていて、意識して強めにアクセルペダルを踏み込む必要がある。それを“かったるい”とか“スポーティさが不足している”と不満に思っているユーザーが少なからずいるのが、今回の改良の背景だったというから、ホンダのユーザーおそるべし、と、私は思った。

徹底的にキモチよさを追求するため、北米で販売されているシビックSiのシフターノブを流用することにしたそうだ。スッーとゲートへ入れるには、ノブにある程度の重量が必要とはよく言われていることだ。重さゆえ、シャフトが適度にしなるのが扱いやすさにつながるし、また、慣性重量ゆえ、軽く押すだけでゲートに吸い込まれるように入っていくという。

ホンダではさらにシフターをドライバーに近づけ、腕の位置との関係を見直している。これもシフト時の気持ちよさを追求したためだ。

運転すると、よくまわるエンジンとの相性がよく、クルマを自分がコントロールしている感は、オートマチック変速機よりはるかに強い。これがMT人気の背景だろうと再認識。実際にシフトダウンもやりやすい。

エンジンは、「スペックこそ同じ」と、ホンダの技術者が言う現行モデルを参考にすると、240Nmの最大トルクが1700rpmから4500rpmと広範囲で出る設定ということもあり、まめにギヤを変えなくても走れてしまう。

5速からいきなり1速とかそういう無理なダウンシフトはやめたほうがいいけれど、2速から3速はギア比が近接していることもあり、頻繁にシフトできる。「それを楽しんでほしい」と、ホンダの技術者は言っていた。

もうひとつ、今回のRSのシフターには「レブマッチ」という機能が採用されている。クルマが、シフトダウンの動きを感知すると、エンジン回転をポンっと上げて、回転を合わせてくれる。

「GRヤリス」のiMTなどと似ている機能だ。慣れてくると、レブマッチ機能はオフにしてもいいかもしれないが、MTへの門戸を拡げるという点では歓迎してもいい機能だろう。

細部へのこだわりスポーティな走りもRSでは追求されている。ドライブモードは新しく「スポーツ」と「インディビジュアル」が追加されて、「エコ」「ノーマル」と合わせて4通りの設定となった。

車高は5mm下げられていて、そもそも着座位置はセダンとして乗ると驚くほど低いので、ドライバーズシートに腰をおろすだけで、スポーティな気分が味わえる。

細かい点だと、ステアリングラックではトーションバーのレートを60%アップ。足まわりでは、リヤサスペンションのコントロールアームの一部に「タイプR」のものを流用。くわえて、スタビライザーとスプリングは剛性を上げ、フロントのコンプライアンスブッシュは従来の液封タイプからソリッドラバーへ変更と凝っている。

同時にダンパーも専用タイプが用意された。こちらは入力初期の応答性をあげるとともに、ごく低速域での応答性を上げていて、乗り心地にも貢献(一般道での試乗は現時点では未体験)するという。

はたして、スポーティな走りが味わえるのは、フライホイールが軽くなったからだけでない。しっかりとした操舵感とともに、追従性のいいサスペンション設定、加速、それにブレーキのフィール、とバランスがたいへんよい。個人的には、4速のギヤ比がもうすこし3速に近づいているといいかなぁ、と、思ったけれど、一般道ではホンダが選んだ設定で十分なのかもしれない。

ちなみにタイプRは、24年7月時点で、部品不足を理由に、受注が停止している。それを残念に思っている層も、RSですくいあげられたら……と、ホンダでは考えているようだ。

シビックRSのスタイルは、タイプRほど派手ではない。標準モデルにはリヤウイングもないし、大きなエアダムもない。好みに合わせてホンダアクセスの用品を装着する楽しみは用意されているが、標準モデルは、けっこうおとなっぽい印象だ。

フェラーリも、「ローマ」を乗りこなしてから、「296GTB」に乗ればいいという持論をもつ私としては、タイプRの前にまずRS……という乗り方はおおいにアリだと思う。サーキットに行かないならば、だけれど。

文・小川フミオ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

5件
  • rod********
    >最大トルクが1700rpmから4500rpmと広範囲で出る設定ということもあり

    なんでこんな嘘書くの?
    FK7の最大トルク発生回転数がMT(1900~5000rpm) CVT(1700~5500rpm) に対しFL1は(1700~4500rpm) とトルクバンドは狭くなって退化している。
    しかもCVTの市街地とMTの高速以外の燃費が悪くなっているオマケ付き!
    エンジンスペックはノーマルと同じらしいからその時点で終わってる。

    パワーウエイトレシオではBRZ/GR86どころかスイスポにすら負けてるぞ!せめてコンパクトには勝てないと。

    それにシビックの馬力は182馬力トルク24.5kgf・mだが先代CR-Vも同じ1.5ターボだったがレギュラー仕様なのに190馬力トルク24.5kgf・mで、ハイオク仕様のシビックよりも馬力が出ている。(何の為のハイオク仕様なんだ?)

    RSは無価値だな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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