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NISMOアシか、e-パワーか、EVか 電動時代のクルマ選び 氷雪編 

掲載 更新
NISMOアシか、e-パワーか、EVか 電動時代のクルマ選び 氷雪編 

もくじ

どんなクルマ?
ー ノートe-パワーは、ハイブリッド車

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どんな感じ?
ー モーターの次世代感 冬道で意外にイイ
ー モーターの利点 トラコン/横滑り防止
ー NISMOアシ 氷雪上で試すと?

「買い」か?
ー ノートe-パワーNISMOに一票

どんなクルマ?

ノートe-パワーは、ハイブリッド車

ノートe-パワーの謳い文句は「電気自動車のまったく新しいカタチ」だが、パワートレインの分類ではシリーズ式ハイブリッドになる。


つまり、エンジンで発電した電力を用いて電動モーターで駆動する。駆動力を100%電動モーターで賄うことや、先代リーフの電動駆動系をベースにすることからニッサンでは電気自動車に分類しているが、ハイブリッド車である。今回氷雪上で試乗したモデルはNISMOの手によるワークスチューン・カスタマイズカーであり、車体骨格周りなど生産ラインにまで踏み込んだ改良が加えられているのが特徴だ。

一方、e-パワーのネタ元とも言えるリーフは純粋な電気自動車。先代からバッテリー容量増や電動モーターのパワーアップを図ったほかに、e-パワーに採用されているエンブレ回生域を拡大した「1ペダルドライブ」機能も加わっている。ただし、フットブレーキは油圧回生協調型であり、1ペダルドライブに頼らなくても効率的に回生できる。e-パワーでは1ペダルドライブが効率向上の必須条件のひとつだが、リーフにとってはドライビングのアレンジ域を拡げる付加機能と考えていいだろう。


どんな感じ?

モーターの次世代感 冬道で意外にイイ


連続高負荷走行などで蓄電量に余裕がないとe-パワーはエンジン出力相応の加速力しか得られない。しかし、そうなることはほとんどない。蓄電量が少なければアクセル開度に無関係にエンジンによる充電を行い、電動らしいパワー特性を維持できるように蓄電量が保たれる。換装路に比べると速度も加減速も制限される氷雪上となればなおさら。いつでも電気自動車のパワーフィールだ。

e-パワーとリーフの動力性能特性は極めて似ている。e-パワーが先代リーフから派生したことを考えれば当然。両車ともに直感的に電動を意識させる特性である。


電動モーターはトルク増減のタイムラグがほとんどない。システム制御側でほど良く滑らかにしなければ、扱いが神経質になる。内燃機車から乗り換えた時に違和感を覚えないように反応を穏やか、つまり鈍(なま)して運転感覚を内燃機車に近づけるのが常套。ところが先代リーフは電動モーターの瞬発力を強調して電気自動車の次世代感あるいは異次元感を演出。「違う!」と思わせながら、扱いやすさとのバランスを取っていた。その妙味がしっかりと引き継がれている。

低中速域での電動でなければ得られない間髪入れずの瞬発力は魅力的だが、そんな特性で氷雪路は平気なのか? それが予想外にいいのである。

モーターの利点 トラコン/横滑り防止


前記したとおりにトルク制御精度に優れるが、加えて回転数も監視と制御されるのが電動モーターの利点。言い方を換えるとTCS(トラコン)やVDC(横滑り防止)との相性もいい。VDCを入れておけばアクセルオンのスリップは皆無と言っていいほど。雪路登坂ではちょっと抑え過ぎじゃないかと、VDCオフで試したらホイールスピンなしではVDCオンと同じレベルであった。


若干のホイールスピンで抵抗となる雪を掻き取ったほうがいい状況ではVDCオフでホイールスピンを活用するが、この時のコントロール性のよさには驚かされた。

同じ状況をマーチNISMOで試すと盛大なホイールスピン。ちょうどいいスリップ量に保つのが難しい。ところが電動2車はアクセルでホイールスピン量をコントロールするのも容易。とくにエコモードでは絶妙。ホイールスピン量を意図的にコントロールして滑らせながらいい感じで掻いていける。VDC任せが安全第一だが、VDCオフで滑りをコントロールした時の扱いやすさも電動ならではと言える。

NISMOアシ 氷雪上で試すと?


また、1ペダルドライブも氷雪上では心強い。内燃機車でダウンシフトして強いエンブレを用いるのと同じ効果だが、エンブレの利き具合のコントロールしやすさは何枚も上手。神経質になりやすいブレーキ操作の負担を大幅に低減してくれる。


氷雪上との相性のもうひとつのポイントはフットワーク。しっとりとした乗り味ではリーフに分があるが、操安ではNISMOアシのe-パワーがまとまりがいい。

轍などで氷雪上走行の路面凹凸はダートに近く、走行速度は低くてもシャシーの負担は大きい。跳ね上げられたりして接地が不安定だと方向性も乱れやすく、それだけ修正の加減速や操舵量も増えていく。

NISMOアシは凸凹が激しい状況でも車体をフラットに保つ能力が高く、挙動も落ち着いている。NISMO車は総じて似た特性だが、限界を追い詰めるというより過渡特性にこだわった安定した操安性が特徴。グランドツーリング志向ともいえ、低速から高速まで大人っぽい懐深さを備える。その持ち味を氷雪上でも発揮。言い方を換えるなら、不意の状況が減るので運転が楽になる。氷雪上向けドラテクも使いやすく、意外なほど気楽に走れて、ウインタードライブも得意なモデルである。

「買い」か?

ノートe-パワーNISMOに一票


リーフと氷雪上の相性は良好だが、気になるのは航続距離。e-パワーはエンジンがあるので、その熱を暖房に利用できるが、リーフは暖房も電力で賄う。ヒートポンプ式で省電力を図っているが、航続距離が気温に左右されるのは極寒冷地の使用では気になるポイント。実用性を高めているものの先物買いの印象は否めない。

電気自動車時代の先取りとファーストカーとしての現実性を考慮するなら、ノートe-パワーは魅力的である。ハイブリッド車であってもリーフ同様の電気自動車の運転感覚も味わえる。NISMO仕様ならスポーツ&ツーリング適性と標準車よりも上質な乗り味も得られる。氷雪上走行でも電動駆動とNISMOの長所をしっかりと実感できた。プロパイロット(ACC/半自動操舵LKA)とのコンビで運転性能面の高速長距離適性はコンパクト2BOX車でもトップクラスだ。


個人的な嗜好を挟ませてもらうなら、抑えを利かせてアクセントで個性を表現するNISMOの品のいいデザインセンスも成熟したユーザー好みだろう。

燃費最優先でハイブリッド車を考えているユーザー向けとは言い難いが、他のクルマでは味わい難いドライビングの楽しみやスポーツ&ツーリングの質をコンパクトカーに求めるなら、ノートe-パワーNISMOはけっこうな掘り出し物である。

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