すでに欧州では発売されていたプジョー リフターのロングボディがついに上陸した。スタイリングはそのままに、全長とホイールベースを延長し、人気の3列シートを装備。気になる室内空間、実用性、さらにその走りを確かめてみた。(Motor Magazine 2023年3月号より)
広大な荷室はアウトドアで存分に活躍してくれる
SUV風ミニバンとして人気のプジョー リフターに7人乗りロングボディが追加された。全長4760mm、ホイールベース2975mm、それぞれ+355mm、+190mm延長され、標準ボディとは段違いのボリューム感がみなぎっている。
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このロングボディ化によって室内スペースも大きく広がり、3列目シートに備わったスライド機構をいちばん後ろに設定すれば、身長171cmの私が腰掛けても膝まわりには14cmほど、頭上にも10cmほどの空間が残る。つまり、このクラスのミニバンには珍しく、フルに実用に足るスペースをこの3列目シートは備えていたのである。
ロングボディは荷室の広さも圧倒的で、2列目シートを起こした状態でトノカバーまで荷物を積んだ場合、標準ボディの597Lに対してロングは850Lの容量を誇る。
試しにロードバイクを積み込んでみたところ、以前取材した標準ボディではギリギリでテールゲートが閉まったのに対し、ロングでは写真のとおりまだたっぷりとスペースが残っていた。アウトドアでも存分に活躍してくれそうなラゲッジスペースの広さだ。
搭載されるパワートレーンは、1.5Lディーゼルターボエンジンのみとなる。もっとも、標準ボディと比べ車重に50kgしか差がないのだから、これでも絶対的な動力性能に不満を覚えることはないはず。また、ディーゼルエンジンとは思えない軽快な吹き上がりに魅了されることだろう。
ロングホイールベースと足まわりの変更でしなやかな乗り心地に
乗り心地は基本的に標準ボディと同傾向でゆったりとして心地いい。いや、ひょっとするとこちらのロングの方がしなやかと思えたほどだった。理由のひとつは、ロングホイールベース化により、タイヤからの衝撃がうまく分散されたことにあるはず。
また想定される積載重量が増えれば、一般的にはサスペンションのバネレートを高くするところだが、リフター ロングは全高を高めているので、バネレートはあまり変えず、サスペンションストロークで重量増に対応したと考えられる。だとすれば、乗り心地が良くなったと感じられるのも当然のことといえる。
リフターロングは「働くクルマ」的なキャラクターが明確だ。幼い頃から「働くクルマ」に惹かれていた者には、リフター ロングがごくナチュラルに魅力的と映るはずである。
少し高めのシートポジションでハンドルを握っているだけで嬉しくなってしまうのは、おそらく私ひとりだけではないだろう。(文:大谷達也/写真:佐藤正巳)
プジョー リフター ロング主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1850×1900mm
●ホイールベース:2975mm
●車両重量:1700kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1498cc
●最高出力:96kW(130ps)/3750rpm
●最大トルク:300Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量: 軽油・50L
●WLTCモード燃費:18.1km/L
●タイヤサイズ:215/60R17
●車両価格(税込):455万円
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