マツダのヘリテイジを受け継いだ“スペシャル”な存在とされるMX-30は、誰もが運転を楽しめるクルマを目指したという、。そのEVモデルも「すべての人に運転を楽しんでもらいたい」という思いのもと、EVの強みを活かしたモデルに仕立てられている。マツダ初の量産EVの“人馬一体”を体感した。
白紙からたどり着いた「誰もが楽しめるクルマ」
「MX-30」は、マツダにとって“スペシャル”な存在だ。MX-5(ロードスターの海外名)にはじまるMXの名を受け継ぎ、RX-8譲りのフリースタイルドア、いわゆる観音開きのドアを採用。同社としては初めて女性が開発主査を務めたモデルでもある。
2015年に主査にアサインされた竹内都美子さんに与えられたテーマは、「まったく新しい価値観のクルマを作ってほしい」というもの。当初は車型もパワートレインも、電動化についても、そして車名もまったく白紙の状態だったという
企画やデザイン、販売、マーケティングなどのメンバーとチームを作り、約1年をかけてたどりついたコンセプトが、自然体で“わたしらしく生きる”というもの。クルマで心がととのう、自分らしさを取り戻せる空間や時間を表現しようと決めた。体の大きな人も小さな人も、ジェンダーも関係なく、運転することを楽しめるクルマを目指した。
MXの名を冠することが決まったのは、2019年の東京モーターショーでの発表直前のことだった。そして2020年10月のマイルドハイブリッド車を皮切りに、今年1月にはマツダ初の量産電気自動車(EV)が発売され、22年の前半にはロータリーエンジンを発電機として用いた電動モデルの導入がすでにアナウンスされている。
EVでも人馬一体感が味わえる
マツダ初の量産電気自動車「MX-30 EV」に試乗した。全長4395mm、全幅1795mm、ホイールベース2655mmは、マイルドハイブリッド仕様と同じだ。床下にバッテリーを収納したため全高のみ1565mmと15mm高くなっている。
フロア下には35.5kWhの駆動用バッテリーパックを敷き詰め、フロントに配置したモーターで駆動するいわゆるFF(=前輪駆動)だ。一充電走行距離(WLTCモード)は256kmとなっており、現実的には200kmを切るくらいだろう。
竹内主査によると、もう少し大きなバッテリーを搭載することも構造的には可能というが、生産から廃棄までのライフサイクルアセスメントを考慮した上で、現時点でCO2排出量を最小化する最適値としてこの容量に決めたという。バッテリーの性能などがあがれば将来はアップデイトも検討していくとのことだった。
走りだしてすぐに驚いたのが足の動きの滑らかさだ。フロアにバッテリーを敷き詰めたことでボディ剛性が増しており、マイルドハイブリッド仕様と比べても明らかに乗り心地がいい。そしてEVなので発進加速がスムーズなのは当然だが、トルクの立ち上がり方が自然で、これみよがしな味付けがされていない。またマツダ独自の車両制御技術Gベクタリング コントロールプラスが、電動化によってより緻密な制御となり、シームレスな挙動にさらに磨きがかかっている。低重心であることもあいまって、コーナリング時はもちろん高速道路で車線変更するだけでも人馬一体感が味わえる。
ステアリングにはシフトパドルが備わっており、右のパドルをたたくと回生減速度が弱く、左では強くなる仕様で、それぞれ2段階ずつの調整が可能だ。くだり坂などではシフトダウンしてエンジンブレーキを効かせるような感覚で使いやすい。
EVの強みを存分に活かしたモデル
また、「人間中心のものづくりを広くとらえて、すべてのお客様に安心して運転を楽しんでいただきたい。誰ひとり取り残したくないと思った」と竹内さんが話すように、MX-30EVをベースにした「セルフエンパワーメントドライビングビークル」が開発されている。
これは、車いすドライバーのための手動運転装置付きモデル。アクセル操作は欧州で採用されているという、ステアリングと一体になったアクセルリングを指で押すことで行い、ブレーキは左手にあるレバーを押し込む。これには先述した回生減速度を調整できるスイッチもついている。カーボン製のクルマ椅子も合わせて開発中とのことで、フリースタイルドアなら、車いすを後席へと簡単に積み込むことが可能だ。マツダR&Dセンターの敷地内で少し試乗させてもらったが、これが驚くほど運転しやすい。また通常のアクセルやブレーキペダルも配備しており、切り替えれば通常の操作も可能。行きは車いすドライバーが、帰りは健常者が、と運転に疲れたら交替することもできる。
EVは操作に対するレスポンスもよく、また自宅での充電が可能で、セルフ式が増えているガソリンスタンドへいく手間もない。MX-30EVの強みを存分に活かしたモデルというわけだ。
35.5kWhのバッテリーを搭載し一充電走行距離が256kmというスペックが万人向けでないことは、マツダの開発陣もみな承知していることだ。通勤、通学、買い物など基本的にはルーティンの生活圏内を走行し、夜間に家庭で充電する。そういうライフスタイルにこそ合うクルマだ。実際、1人に1台があたり前の地方都市では、EVを選ぶ人が増えているという。自宅には別のガソリン車もあるし、ガソリンスタンドが減少しているなかで給油の手間もなくかえって便利という。
1台ですべてを賄いたいという人は、MHEV(マイルドハイブリッド車)を選ぶか、22年前半の発売がアナウンスされているロータリーエンジンを発電機として用いた電動モデルを待つのがいい。レンジエクステンダーになるのか、シリーズハイブリッドになるのか、詳細は不明だが、ロータリエンジンの復活も話題だ。マツダの“スペシャル”が詰まっている。
文・藤野太一 写真・阿部昌也 編集・iconic
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みんなのコメント
ただしEVとして要求されるバッテリー管理機能はテスラ程ではないがリーフやホンダeよりも優秀で、EVに必要な要素のテストベッドとしてMXを冠していると思う。
MX-30のシャシーではこれ以上バッテリー積んでも重量が限界に近いから、こいつはあくまで発電用ロータリーで距離延長して完成形。中国で無理矢理CX-30に大容量バッテリーを積んで不格好になった様を見れば、バッテリー容量の大きなEVは専用のシャシーを開発しないとだめだね。