販売方法に関するプレスリリース上の表現が変わった
昨今、国産車でも正式発表に先立って車両が“公開”され、時間をおいてから正式発表、そして“発売”と段階を踏むクルマがある。マツダ初の量産電気自動車である「MX-30 EVモデル」もそんな1台だ。
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初公開されたのは、なんと発売よりも1年以上前。2019年10月の東京モーターショーだった(その際は東京での公開にもかかわらず左ハンドル仕様だった)。
その1年後となる2020年10月には、EVではなくガソリンエンジンを積んだMX-30を発売。そして2021年1月、EVモデルが正式に発売された。姿を現してから1年3カ月が経過したタイミングだ。
ここまで初公開から市販までがロングレンジだった背景は、世の中がEVに注目しているなかで、マツダとして一刻も早く市販EVを見せておきたいという狙いがあったのだろう。
そんなMX-30のEVモデルだが、発売前と正式発売時で変化した、興味深いポイントがあるのをご存じだろうか。それは「販売方法」だ。
2020年7月、マツダは「MX-30を今秋発売」というプレスリリースを出したが、そこには「EVモデルは、今年度中にリース販売を開始する予定です」と書かれている。
リース販売とは、一般的な販売とは異なりユーザーが車両を購入するのではなく月々の利用料を支払いながら使うことになる。あらかじめ契約期間が決められていて、契約満了時は車両を返却するのが一般的だ。特別なクルマなどの場合は、「メンテナンスをしっかり行いたい」「車両の状況をメーカーが把握したい」「中古車を市場へ流通させたくない」などの理由からそういった方法をとることもある。メーカーがリース販売のみとする場合、基本的に対象は個人ではなく法人向けとなる例が多い。
しかしながら、2020年10月のガソリンモデル発売時には方針を転換することを示唆。プレスリリースには「『MX-30』のEVモデルは、日本市場では2021年1月に発売を予定しています」と表現が変わっているのだ。
そして実際にEVモデルが発売された2021年1月のプレスリリースでは、「リース」という表記は一切見当たらない。そのうえ「購入方法の選択肢を広げる」として残価設定ローンについて説明されているほどである(もちろん現金や通常ローンによる購入もできる)。
果たして、そんな販売方法の変化にはどんな背景があるのだろうか?
より幅広い人にMX-30を届けるため
「はじめての量産EVのため、販売店の対応などを調整しており、現時点では“リース販売”としか申し上げられない。しかし、一般のお客様への対応も考えています」2020年7月にMX-30の発売を予告したタイミングでマツダはそう説明していた。
その3か月後、MX-30ガソリン車の正式発表となったタイミングではEVモデルについて「発売」表現が変化。マツダによると「お客様や販売店からEVの期待が高く、販売方法を広げていく考え」とのことだった。
この記事を書くにあたり、あらためてマツダ広報部に確認したところ、「(リースから一般販売へ変わったのは)より幅広いお客さまに選んでいただけるように、販売方法を広げたからです」とのことだ。
当初、EVモデルの発売にあたりマツダのなかでも「販売店の急速充電器設置をどうするか」というのが検討項目のひとつだったようだ。そのため、不特定多数のユーザーを対象とする一般販売について熟慮していたと思われる。
現在、マツダの販売店において急速充電器が設置されている店舗は少ない(筆者の考えとしては全ディーラーに急速充電器があればベストだが、必ずしも置くべきとまでは考えていない)。しかし、それでも多くのお客様にEVを買ってもらえる環境としたということなのである。
ちなみに、MX-30はEVモデルが先行して開発され、日本で販売されているガソリン車はEVモデルよりも遅いタイミングで開発が始まっている。車体構造自体はEVでもエンジン車でも展開できる構造としてあらかじめ作られているが、じつは「EVモデルから派生したガソリン車」という変わった存在なのだ。
また2022年前半には、「モーター駆動ながら発電機としてロータリーエンジンを搭載して航続距離を伸ばすモデル」の発売が予告されている。それはメディアでは「レンジエクステンダー」と呼ばれることが多いが、プラグインハイブリッドモデル、またはハイブリッドとなる可能性も拭えない。もしくは、仕向け地によりバッテリー搭載量などを変えて作り分けることも考えられる。
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みんなのコメント
車に罪はない
作って売るから充電は他社店へ。
コンセプトは、私らしく充電する。