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「宇宙からの侵略者」にマイケル・ジャクソンまで! 俺たちをザワつかせたバイクの名(迷)コピー【スズキ編】

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「宇宙からの侵略者」にマイケル・ジャクソンまで! 俺たちをザワつかせたバイクの名(迷)コピー【スズキ編】

クルマの広告に数々の有名コピーがあるように、バイクにも数多の名作&迷作コピーが存在する。これを厳選して国産4メーカー別にお届けしよう。まず第1弾はスズキ。数々の個性的なバイクをリリースするだけに、独特なコピーも多い!

文/沼尾宏明

「宇宙からの侵略者」にマイケル・ジャクソンまで! 俺たちをザワつかせたバイクの名(迷)コピー【スズキ編】

「Space Invader」(GSX1100Sカタナ)

 まずはスズキを代表する一作、GSX1100Sカタナから。1981年に海外で発売されたカタナは、日本刀をイメージした鮮烈なデザインと優れた走りで大ヒット。その人気は根強く、2019年に新型のKATANAが登場するに至った。

 さぞ名コピーが採用されているに違いないと思いきや、当時の欧州向けカタログには「Space Invader」の文字が!

「日本刀」というシブいモチーフのカタナなのに、ちょっとユニーク路線の「スペースインベーダー」(宇宙から侵略者)のキャッチが。車体色が銀色で宇宙船チックだからなのか?

 1977年に映画『スターウォーズ』が公開され、1980年には第2作も上映されるなど、当時は宇宙系SFが大流行。日本ではビデオゲーム「スペースインベーダー」がブームだったのはオジサンならご存じのとおりだ(入手できなかったが、欧州ではゲームのインベーダーらしき背景を使った広告もある)。

 こうした世相に加え、現代の目から見ても革新的なデザインのカタナだけに「宇宙からの侵略者」が相応しかったのかも?

 ちなみに1982年、日本ではスケールダウンした750版が登場するわけだが、こちらのカタログには「"KATANA" in Japan」のコピーが踊る。750は日本の法規制のため、スクリーンレスとなり、セパハンではなく、俗に言う「耕耘機ハンドル」に変更。オリジナルのデザインがスポイルされた形となっており、750のコピーは個人的には少々“皮肉”に聞こえてしまう……。

「地球にのるならバンバン」(バンバンシリーズ)

 四輪バギーのような極太タイヤとミニマムな車体がカワイイ「バンバン」シリーズは1971年8月に初登場。ホンダのモンキーらと同様に人気を博したレジャーバイクだ。90ccを皮切りに、72年に50ccと125cc、73年に75cc版がリリースされた。これまた2002年に現代版のバンバン200がデビューしている(現在は絶版)。

 キャッチコピーは「地球にのるならバンバン」。正直、意味不明だが(笑)、壮大! 車名の由来が「どこでもバンバン走れる」だけに、地球のどこにでも行けそうな雰囲気だ。

新しいレジャーバイクとして開発されたバンバン。レクタングルタイヤという小径&極太タイヤを新設計。シリーズ全車ともマニュアルの空冷2ストローク単気筒を搭載し、パワフルだった

 初代90は前後タイヤとも幅170mmで、他モデルも後輪は170サイズとボリューム満点。路面に応じて空気圧を調整できるようフレーム内にエアポンプを備え、ゴルフ場や建設現場、農村など業務用としても重宝されたのだ。

「愛はメッセージ。」(ラブ)

 なんとスーパースターのマイケル・ジャクソンがカタログやCMに登場したバイクがあった……。1982年に発売されたスクーターのラブだ。

 ラブは、爆発的なブームとなったスクーター市場に本格派のジェンマに続いて送り込まれた。女性や若者層を狙ったライト感覚の50ccで、スリムなフルカバードの軽量ボディとオートマ2段変速で運転がイージーだった。

 キャッチコピーは「愛はメッセージ。」。車名とマイケルのキャラクターに掛けたストレートなコピーだ。

カタログ表紙に若いマイケルが登場。この画像が日本版「今夜はドント・ストップ」(原題Don't Stop 'Til You Get Enough)のシングル盤にも使われた。ラブは空冷2スト単気筒搭載


 当時のマイケルは23歳で「スリラー」がメガヒットする直前。米国では大人気だったが、まだ日本ではさほど知名度が高くなく、日本のCMにはラブが初登場だった。とはいえ、当時の景気のよさが伝わってくる……!

 テレビCMは2種類。「オフ・ザ・ウォール」をBGMに豪邸の屋上でマイケルが踊るバージョンと、「今夜はドント・ストップ」をバックに美女と踊るバージョンがあった。どちらも最後にマイケルが「Love is my message」とキメてくれる!

「BORN IN CIRCUIT」(GSX-R)

 2眼ヘッドライトにハーフカウル、ヨシムラ譲りの集合マフラーという憧れの装備をまとい、1984年にデビューした4スト400ccレーサーレプリカこそ「GSX-R」だ。

 当時、世界耐久や鈴鹿8耐でスズキのGS1000Rが旋風を巻き起こしており、GSX-Rの姿はまさに耐久レーサーそのもの。ライダーは騒然となったのだ。

 カタログに採用されたコピーは「BORN IN CIRCUIT」。巷に溢れていたバイク小僧がこぞってサーキットに通い始めていた時代とあって、“レース直系”であることは何より魅力的だった。GSX-Rのキャラクターをダイレクトにアピールした名コピーと言えるだろう。

初代GSX-Rのカタログ。表紙には「POWER ENDURANCER」のコピーが。オジサンにとっては、『バリバリ伝説』(講談社刊)でグンとヒデヨシが鈴鹿4耐に参戦した車両としてもおなじみ

 GSX-Rは、クラス初のアルミフレームをはじめ、いち早く採用した水冷4気筒エンジンを採用。クラス最強の59psと軽量な車重152kgを実現し、コピーのとおり、市販車ベースで争うTT-F3などレースでも強かった。

「BACK TO CIRCUIT」(GSX-R750)

 「サーキットで生まれた」400ccのGSX-Rに対し、その翌年にデビューした上級モデルのGSX-R750では「BACK TO CIRCUIT」(サーキットに戻る)のコピーを採用。生まれた所に戻るというワケだ(笑)。

初代GSX-R750国内版のカタログ。そのコピーのとおり、当時ボルドール24時間耐久や世界GPを開催していたフランスのポールリカールサーキットで撮影された

 実際、その実力は圧倒的だった。ナナハンは車重210kg超がフツーだった時代に、市販車初の油冷エンジンなどで驚異の179kgを達成。全日本TT-F1で3連覇したほか、ルマン24時間耐久も制覇した。

 現代に通じる軽量ハイパワーなビッグバイク=スーパースポーツの元祖的存在でもあるのだ。

「生まれたときから調子いい。」(ハイ)

 80年代は、日本の有名芸能人もバイクの広告に登場していた時代。1985年にデビューしたスポーツスクーターのHi(ハイ)には、明石家さんまが起用された。

 ハイは、6.5psを発揮する50cc空冷2ストエンジンと軽量な48kgの車体で走りはビンビン。足元スペースからリヤにかけて跳ね上がった「ハイヒップシェイプ」の造形や、カラフルな車体色が特徴だ。後にスズキファン垂涎のウォルターウルフカラーも追加された。

 さんまは、お笑い芸人として既に「オレたちひょうきん族」でブレイクしており、テレビドラマ「男女7人夏物語」の放送前という時期。カタログの「生まれたときから調子いい。」は、ハイの走りのよさはもちろん、さんまのキャラも表したダブルミーニングなのが面白い。

若者心をくすぐるカラーのハイと、当時30歳のイケイケな明石家さんまのツーショット。キャッチの下には「はいはいはい」と小さい文字が並ぶ! 後にハイR、ハイアップ、ハイアップRも登場

 テレビCMでは髪を立たせたビジュアル系ルックスのさんまが登場し、「ハイのハイのハイ」「新発ハイ」というフレーズでも有名になった!

「本気なら、ついて来い。」(1988年型RGV250Γ SP)

 1983年に並列2気筒で登場し、ヒットを飛ばしたRG250Γ(ガンマ)。しかしホンダ、ヤマハの攻勢が激しく、人気、実力とも劣勢に追いやられてしまう。

 起死回生を図り、新設計のV型2気筒を搭載したRGV250Γを1988年に投入。このVガンマはライバルに先駆け、レース向けのSP(スポーツプロダクション)仕様が登場したことでも話題になった。フル調整式のフロントフォークやシングルシートなどを備え、即サーキットに持ち込めるバージョンだ。

 SP仕様のカタログ表紙にデカデカと踊るのは「本気なら、ついて来い。」のキャッチ。その自信に満ちた言葉に撃ち抜かれ、当時欲しくなったライダーも多いハズだ。

1988年型RGV250Γに追加されたSP仕様。カタログ表紙には、同年に一時引退する日本人スズキライダーのエース、水谷勝が「本気なら、ついて来い。」と語りかけているようだった!


 初代Vガンマはピーキーな特性で「ジャジャ馬」との評判だったが、SPはさらに玄人向け。特にクロスミッションはギヤ比が近く、シフトチェンジが頻繁になるため、スキルが必要だった!

「オレ、マジ スト、マジ」(ストリートマジックシリーズ)

 ストリートマジックは、オートマの50cc2スト単気筒エンジンをダイヤモンドフレームに搭載するという変わり種で1997年デビュー。スポーティな構成なのにオートマというヤマハTMAXの先取りしていた存在であり、実にスズキらしい変態な(誉め言葉)1台だ。

 広告には、芸能界を過日引退し、バイク好きでも有名な長瀬智也を起用。キャッチコピーは「オレ、マジ スト、マジ」だ。単なるダジャレのようだが、長瀬が言うとカッコイイし、“走りがマジなんだ”と力説したかったのだろう。

TOKIOに所属し、ロンゲ時代の長瀬がカタログとテレビCMに登場。1997年当時は19歳だった。個人的には渋みを増した今の方がカッコイイと思う!


 ギターサウンドと長瀬の歌が流され、「オレマジ、ストマジ」と語るテレビCMを覚えている人も多いのでは? それにしてもガンマといい、本気=マジが好きだねスズキさん!

「The Ultimate Predator(究極の捕食者)」(1999年型GSX1300Rハヤブサ)

 トリを飾るのは初代ハヤブサだ(鳥だけに?)。時は1999年、最高速キングのホンダCBR1100XXを凌駕すべく、スズキが送り込んだ刺客がGSX1300Rハヤブサだった。

 1299cc直4エンジンは当時最強の175psをマーク。独特な有機的ボディによる空力性能も相まって、公道市販バイク初のノーマル最高速300km/hオーバーを実現し、新たな最速マシンに君臨した。

 世界的にヒットし、スズキを代表する1台にまで成長。2019年から2年の空白期間を経て2021年に3代目が登場しており、現在も好評発売中だ。

 その初代1999年型の欧州向けカタログに踊るのが「The Ultimate Predator」(究極の捕食者)の文字だ。

ハヤブサのコンセプトである「アルティメットスポーツ」と関連づけたコピー。独特なヌメヌメボディは、確かに獲物を狙う隼の迫力も漂わせている


「プレデター」と言えば、シュワツネッガーが出演した映画が有名だが、獲物を捕らえる側の「捕食者」を意味する。食物連鎖の上に立ち、猛禽類である隼をアピールしているのだ。つまりバイク界の最強マシンであることを意味していたのかも!?

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みんなのコメント

4件
  • うちにこのマイケルの未使用ポスターがあるわ。
    あとHi!の明石家さんまの立体ポスターも。
  • 薔薇と蘭はネーミングとは裏腹に過激な走りで、スクーターレースの世界では一般車と別部門に分けられてたんやで
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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