■トヨタ「アルファード」にそっくりな小型モデルが登場予定?
ひと昔前までは「パクリ大国」とまで呼ばれた中国ですが、今や中国の自動車市場では「パクリ車」を見る機会はほとんどなくなりました。
【画像】いくら何でもパクリ過ぎ! アルファード顔の新型「バン」がヤバい…! 実車のデザインを見る!(39枚)
それでも、力のある大手メーカー以外では、依然として「見た目が少し怪しい車」がはびこっています。
今回、トヨタ「アルファード」にそっくりな小型EVが登場を控えていることがわかりました。
この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)のサイトです。
工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが新型車を製造・販売する前にその情報を工信部に届け出る必要があります。
ミニアルファードともいえるEVの発表を控えているのは中興汽車(ZXオート)というメーカーで、1949年に設立された中国人民解放軍の自動車修理工場に端を発します。
名前はアメリカ合衆国より制裁を受けている中国のIT企業「ZTE(中興通訊)」と似ていますが、無関係です。
河北省保定市に本拠地を置くこのメーカーはまだ中国メーカーが国内で手一杯だった時代にいち早く海外へ進出し、中国メーカーで初めて海外に完成車工場を建設しました。
2010年代のリビア内戦では日系メーカーに混じり、中興汽車の生産したピックアップトラックも「テクニカル(荷台に対空機銃などを乗せた簡易的な戦闘車両)」として両陣営で大活躍した歴史があります。
戦闘用として輸出していない日系メーカーにとって、紛争にて戦闘車両として使用されるのは絶対に避けたいところです。
ですが、それと対照的に、中興汽車はリビアに輸出した7000台の自社製車両が紛争で大活躍したと当時大々的に宣伝し、今でも公式ホームページの社史に誇らしく記載されています。
そんな中興汽車ですが、現在のラインナップは3種類のピックアップトラックのみとなっており、市場での勢力も弱まっている傾向にあります。
ピックアップトラック市場では同じ保定市に本拠地を置く「長城汽車」が勢いを増しており、完全にシェアを奪われています。
「ピックアップしか取り揃えていないメーカーが、その戦える唯一の市場でさえ影響力を失っている」という現状を変えようと、この度の小型EV投入に踏み切ったのでしょう。
■まさしく…アルファード顔!? 全長3.5mのミニアルファード風モデルとは
この小型EVは「未奥」というブランドで展開を予定しており、このブランド自体も新たに立ち上げられるものです。
車種名は「BOMA」、サイズは全長3517mm×全幅1495mm×全高1660mmと、日産の軽自動車「デイズ」とほぼ同等になります。
それどころか、リアクオーターやフロントフェンダーの造形までデイズとほぼ一緒です。
そして極め付けはそのフロントマスク。
中国でも人気のアルファードの顔面を丸ごと移植したかのようなものとなっています。
特徴的なグリルだけでなく、フォグランプのハウジングやヘッドライトの造形までもがそっくりであり、ひと言で表すなら「アルファード顔のデイズ」というべきでしょうか。
モーターは出力30kWのものを搭載していますが、バッテリーのスペックに関しては不明です。
工信部の情報には重量が異なる2つの仕様が届けられており、それぞれ重量には40kgの差異が見られるため、2種類のバッテリー容量を取り揃えている可能性が高いといえます。
また、タイヤサイズは「155/65R14」と「165/55R15」の2種類が記載されており、グレードも少なくも2種類は用意されることでしょう。
それ以外の情報については、発表・発売時期や価格含め、一切の詳細は不明となっています。
中興汽車は昨今の「小型EV」ブームに乗っかってあわよくば起死回生を成し遂げようと画策しているかもしれませんが、それは不可能に近いことと筆者は考えます。
今までピックアップトラックしか手掛けてこなかったメーカーが焦りを感じて急ごしらえで出すEVに消費者は注目もしないでしょう。
急ごしらえどころか、デザインも日系メーカーの丸パクリであり、本当に本気で作るつもりがあるのかと疑問を投げかけたくなるようなクオリティです。
中国の消費者たちのなかでは「パクリは恥ずかしい」という共通認識がますます大きくなっており、資金力にあふれる大手メーカーはこぞって海外メーカーよりデザイナーを引き抜き、オリジナルのカッコ良いデザインを完成させています。
それとは対照的に、中興汽車のような泡沫にまで成り下がってしまったメーカーはそのような体力もなく、粗悪品の焼き増しを繰り返すしかない状況です。
そのうえ、小型EV市場は競合相手が数えきれないほど存在する「レッドオーシャン市場」なので、吹けば飛ぶようなメーカーである中興汽車のEVは大ゴケする可能性が高いといえます。
このような、パクリの風潮から脱却しつつある中国自動車業界の顔に泥を塗るような弱小自動車は何もしなくても消えていく運命にあるので、中興汽車の今後に注目です。
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