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働くクルマを「電気で再生」 ルナズの電動ゴミ収集車へ試乗 最高出力2倍 最大トルク7倍

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働くクルマを「電気で再生」 ルナズの電動ゴミ収集車へ試乗 最高出力2倍 最大トルク7倍

最高出力は2倍 最大トルクは7倍

最大トルク712.3kg-m。こんな強力なトラックが、英国の市街地を走り回ろうとしている。荷物を積まない状態で、17tの重さがあるにも関わらず、0-80km/h加速は6.0秒。実際に必要な力の、倍以上はあるそうだ。

【画像】働くクルマを「電気で再生」 ルナズの電動ゴミ収集車 スカニアのEVトラック 日野デュトロほか 全69枚

ロンドンの北西、シルバーストーンに拠点を置き、デビッド・ベッカム氏など有力な投資家の注目を集めるルナズ・グループ。アップサイクルド・エレクトリック・ヴィークルと同社が呼ぶ、電動化で再生された大型トラックのゴミ収集車が完成した。

最初に、バッキンガムシャー州へ納車されるという。今後、導入する自治体は増えていくに違いない。

この電動再生ゴミ収集車は、広大な敷地を有するルナズ・アプライド・テクノロジーズ社の工場で作られている。母体となるルナズ・グループのデビッド・ロレンツ氏と、ルノーのF1開発へ携わったジョン・ヒルトン氏によって、5年前に設立された会社だ。

同社は、英国での耐用年数、7年を過ぎたディーゼルエンジンのゴミ収集車を回収。13万km前後走ったシャシーとボディ、インテリアを完全にリフレッシュし、電動パワートレインへ換装した真新しい1台が生み出される。

搭載される駆動用モーターは、オリジナルのディーゼルエンジンと比べて、最高出力は2倍。最大トルクは7倍に達するとか。

一連のプロセスで素晴らしい点が、オリジナル部品の80%が保持されること。細部までリフレッシュされるが、製造する必要があるのは、内装の一部と電動パワートレイン程度。つまり、新しいトラックを作るのに比べて、CO2排出量を大幅に減らせる。

ベース車はメルセデス・ベンツ・エコニック

同社の技術は、ゴミ収集車だけに利用できるわけではない。汎用性の高い設計で、多様なトラックの電動化に対応するという。具体的な例を挙げることを担当者は避けたものの、年間1100台程度まで、電動再生トラックが作られる可能性がある。

現在のベース車両は、メルセデス・ベンツ・エコニック・ユーロ6と呼ばれるモデル。欧州の商用車では評価が高い1台で、本来は7.7Lの直列6気筒ディーゼルエンジンと、6速ATが載っている。

市街地を低速で走り、発進と停止を繰り返すゴミ収集車の特性上、内燃エンジンは効率的に仕事をできない。電動パワートレインにより、大幅にエネルギー効率は改善するという。もちろん、騒音は大幅に減り、排気ガスは出さない。

工場でエコニック・ユーロ6は分解され、メルセデス・ベンツが160万kmも走行距離を重ねて開発したシャシーは、2週間かけて整備される。ディーゼルエンジンは、再利用するのではなく、素材としてリサイクルへ回される。

仕上がったシャシーの中央に、駆動用バッテリーが納まる。1ユニット65.5kWhの容量のものが4基から6基、ニーズへ併せて選ばれるという。このバッテリーは、英国企業がシャシーの形状へ合わせて製造している。

バッテリーユニットは1つ570kgあるため、積載重量に影響が出る恐れがあった。しかし英国運輸省の柔軟な措置で規制が緩和され、従来どおり10tまでゴミを積めるそうだ。

現場スタッフの意見を車内に反映

今回、完成した1台へ試乗させていただいたが、動力性能は間違いなくたくましい。駆動用モーターの最高出力は476psと驚くほどではないが、最大トルクは712.3kg-m。ブガッティ・シロンでも、163.2kg-mに留まる。

ボディが巨大なこともあり、加速は圧倒されるほど。25%の急勾配をぐんぐん登る。内燃エンジンを積んだベース車と比べてみたが、その差は歴然だった。

航続距離も充分。実際は250km前後ながら、一般的なロンドンのゴミ収集車は、平均となる2500個のゴミ箱を回収しても、1日に24km程度しか走らないそうだ。

充電能力は、ACの22kWまでと控えめ。それでも、車庫へ戻って夜間にソケットを繋いでおけば、翌朝までに1日分の電気が蓄えられる。

ゴミ収集車の運転は、日ごろ筆者が楽しんでいるそれとは対極的。少し進んでは停まり、臭うゴミを回収し、直ぐに次の集積ポイントを目指す。大切な公共サービスの1つだが、路上での回収中は、先へ進めないことへ苛立つ後続車のドライバーもいる。

だが今回走るのは、ルナズ・アプライド・テクノロジーズ社の周辺。公園が広がり、ゴミが入ったバケツを巡る必要はない。

車内は真新しく、日々頑張られている収集車のスタッフへ喜ばれることだろう。同社のデザイナーは、実際に現場からの意見を聞き、アイデアを具体的に反映させている。

カップホルダーは5つ。シートにはヒーターが付いている。横並びで4名座るのだが、中央の2席の空間は僅かに広げられた。インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイに対応している。

ステアリングは正確 低速域でキビキビ走る

かくして、電動再生ゴミ収集車は運転が楽しい。ステアリングコラムから伸びるレバーを回し、ZF社製の2速ATをドライブに入れる。レバーを引いてエア・サイドブレーキを解除すると、ほぼ無音で走り出す。

メーター用モニターには、速度と航続距離、電費効率の他、ブレーキや乗り心地を制御する空気圧も表示される。ダッシュボードの中央には、10.0インチのタッチモニターが2面。片方がインフォテインメント用で、他方は車載カメラの映像用だ。

タイヤはコンチネンタルで、22.5インチの扁平率80。ゴムの肉厚さと車重を考えると、ステアリングの反応は驚くほど正確。適度な重さがあり、レシオはクイックで、入り組んだ市街地や住宅地でも扱いやすそうに思える。

乗り心地も素晴らしい。アクセルペダルを踏み込むと、感心するほど活発に走る。特に低速域でキビキビと反応する能力には、大きなメリットがあるだろう。

英国では、地方自治体毎にCO2排出量を削減することが求められており、2023年末までに57台の電動再生ゴミ収集車が納車される予定だという。2024年には、200台以上が作られる計画だ。

ちなみに、1台の価格は39万5000ポンド(約7307万円)。同等の保証期間が付帯される、新車のエコニック・ユーロ6より、5万ポンド(約925万円)以上安いとのこと。しかも、製造時のCO2の排出量は小さい。

ルナズ社の事業拡大は、確実といえるかもしれない。

撮影:ジャック・ハリソン

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