ディーラーで新車の商談をしたことがある人なら、誰でも勧められた経験を持っているのが「メンテナンスパック」(メンテパック)。呼び方は各社で異なるものの、メーカーや販売店が行っている有料サービスのひとつで、車両購入後に実施する点検整備にかかる費用を事前に支払うことで、通常よりも割引された額で点検整備を受けられるというもの。
と言っても、その内容は多岐に渡っていて、メーカーや販売店によってもさまざま。実際のところ、メリットをあまりよく考えずに加入している人がほとんどではないだろうか? そこで今回はメンテパックのメリットとデメリットについて深堀してみます。
文/小鮒康一、編集/奥野大志、写真/スズキ
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点検+オイル交換+オイルフィルターというメニューが一般的
冒頭に新車の商談時に勧められることが多いと書いたが、実は新車だけではなく、今乗っている愛車や中古車として購入した車両でも途中からメンテパックに加入することができることがほとんどだ。
そのため加入できる期間も新車の場合は2回目の車検直前までの5年間を網羅するものから、次回の点検もしくは車検分のみをカバーする6か月というものまで幅広く、ニーズに合わせて期間を選ぶことができる。
メンテパックに含まれる作業内容は点検整備の基本作業代はもちろんだが、多くの場合は半年ごとのエンジンオイル交換と1年ごとのエンジンオイルフィルター交換が含まれるケースが一般的だ。
車検整備付のメンテナンスパックに関して車検整備の費用はパックに含まれるが、自賠責保険や重量税、印紙代といった諸費用は含まれていないので注意が必要だ。
車検時の点検整備はすべてメンテパックに含まれるため、諸費用以外の出費はわずか
一方、半年ごとにオイル交換が必要なほど距離を走らないというユーザーや、愛車にはこだわりのオイルを入れているというユーザー向けに、オイル関連商品を除いたメンテパックを用意しているメーカーやディーラー、追加費用をプラスすることでより上級のオイルを使えるプランを用意しているところもある。
有名なところでは日産が展開している「メンテプロパックNISMO」がそれに該当し、このパックに加入すると半年ごとに実施されるエンジンオイル交換時に使用されるオイルが、MOTULが開発したNISMOスポーツオイルなるというもの。モータースポーツファンの多い日産車ユーザーにとってはうれしいサービスと言えるだろう。
また、東京都内に大きな販売網を持つトヨタモビリティ東京が展開するメンテパックには、契約期間内であれば点検のタイミング以外でもメニューを実施できる「セレクトコース」が用意されている。
これにはオイル交換やエアコンフィルター交換といった定番メニューのほか、フロントガラスコートや撥水洗車、タイヤローテーションに夏冬タイヤの履き替え、各種添加剤注入など、やってもらえると助かるサービスの中から選択して実施してもらえるサービスがそろっているのだ。
メンテナンスの予定が把握しやすいのもメリット
ユーザーのメリットは都度支払いより安いこと。デメリットはほとんどない
そして、メンテパックの最大の利点と言えるのがその価格だ。料金は販売会社が独自に設定しているため若干のばらつきが生じているが、概ね都度支払いをする場合と比べて15%~45%程度割安になっていることがほとんど。愛車をしっかりメンテナンスして乗っていきたいと考えている人にとってはメリットしかない。
長期のメンテパックに加入していて途中で代替などをした場合や、販売会社独自のメンテパックに加入したものの、引っ越しで入庫が難しくなってしまった場合も、ほとんどは若干の手数料を支払えば解約ができ、残金が戻ってくるためデメリットはほとんどない。
中古車で購入したからディーラーには行きにくいと感じている人には、大手カー用品店でもメンテパックを扱っているところが増えているので、一度相談してみるのもいいだろう。
一口にメンテナンスパックと言っても、期間やメンテナンスの内容などはさまざまなユーザーにマッチするように細分化されており、自分にあったものをチョイスすればお得にメンテナンスを受けることができるし、新車購入時に加入してしまえば自動車ローンにメンテパック代を組み込むこともできるので、維持費をある程度予測できるという点もメリットと言える。
スポーツカーでもディーラーにお任せという人には大きなメリットに
EVのリーフにもメンテナンスパックは存在する
大きな値引きをしてでも販売会社がメンテパックの加入を勧めてくる理由
定期的にユーザーがディーラーに足を運んでくれるというのは店舗にとってメリットとなる
もちろん客側のメリットを考えてオススメしている、という大前提はあるのだが、定期的にディーラーに入庫してもらうことでユーザーとの良好な関係を築くことができ、適切なタイミングで買い替えなどの提案をすることができるという点、つまり囲い込みができるというのが販売会社側のメリットだろう。
また、自社で一貫してメンテナンスを実施することで車両の状態を適切に把握することもできる。これにより、メンテパックに含まれない部品交換などの案内や、下取りをする際の車両状態や整備履歴の確認がスムーズに。メンテパックはユーザーと販売会社がwin-winになれる優れたシステムと言うことができる。
もちろん、私たちユーザーサイドの視点で見れば、上記に当てはまらない例もある。例えば、クルマの整備は代々知り合いの整備工場に任せているとか、値段より付き合いを優先するケース。また、少数派ながら自分で整備したいDIY派もいるだろう。
それらはもちろんあっていいものだが、メンテパックにより、ユーザーの維持費が下がるのは大きなメリット。浮いた費用をディーラーオプションなどにまわすことができるのだから、新車購入のハードルが一部でも下がるのは間違いない。商談時にメンテパックを勧められたら、実際にどれぐらい安くなっているのかそろばんを弾いてみるのも楽しいかもしれない。
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みんなのコメント
どうせやらなきゃいけないんだから、悪いこと言わないから買っときなさいって話(仕事で車の整備やってる人など一部を除く)。
メンテ代ケチったところでろくなことにならないんだから(そしてそういう連中に限って壊れたらディーラーのせいにしてクレームたれるまでがセット)。
あと半年でオイル交換が必要になるほど走らないひとも云々と言っているが、オイルも経年劣化するからどっちにしろ半年に1回は交換したほうかいいよ。
整備士もやった方がいいと思うとこしか勧めないから(一部悪徳業者を除く)言われた通りにやっときな。
怪しいと思うならネットで調べても別の整備士に聞くのもいい、いくらでも調べる方法はある。
って人向けだと思う。