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ベントレー・コンチネンタルGT 2018年モデル 海外初試乗

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ベントレー・コンチネンタルGT 2018年モデル 海外初試乗

もくじ

ー 新ラグジュアリークーペ、登場
ー 注目したいアーキテクチャについて
ー 12気筒エンジンを載せるメリット
ー 重量は、エンジニアを泣かせる
ー 重量が時にメリットになることも
ー 48Vシステムの有利な点とは
ー ベントレーの「スポーティネス」は健在
ー 番外編1 4WDのトルク配分とタイヤサイズ
ー 番外編2 GTCコンバーチブルも間もなく登場
ー ベントレー・コンチネンタルのスペック

ロールスやベントレー、「死」の先にある希望 超高級車の墓場を訪ねる

新ラグジュアリークーペ、登場

急転直下、ヴォルフガング・デュルハイマーがベントレーの代表に就任したことは、かなり理にかなったことだった。

デュルハイマーはフォルクスワーゲン・グループの中でも最も優れた技術者であり、経営者のひとり。ポルシェが大きな成功を収めた初代パナメーラの発表時、研究開発部門のトップだったことは記憶に新しい。

そして彼はベントレーに移籍し、最新のポルシェ・パナメーラと同じアーキテクチャをベースとした新しいコンチネンタルGTを生み出した。

デュルハイマーから影響を受けたひとびとが、このクルマの開発において、大きく関与したことは想像に難くない。

新型のコンチネンタルGTの定員は従前と同じ2+2となり、間もなく発表される。この初試乗記が記事になっている以上、間違いない情報だ。

早速この準備が整った、W12エンジンを搭載する15万ポンド(2266万円)のラグジュアリー・クーペを試乗してみたい。生産が正式に開始されるまでの4カ月間で、ソフトウエアと室内トリム、ハードウエアの設定変更や仕上げがまだ残っているようだが。

注目したいアーキテクチャについて

最新のコンチネンタルGTの性格を決定付けるのに、ベースとしているアーキテクチャは非常に重要。ベントレーは第一に高級感を優先し、スポーティさは2番目に設定しているはずで、このコンチネンタルを支えるポルシェと共通のMSBプラットフォームに対して、デュルハイマーが与えた影響は決して小さくはないはず。

ベントレーにハードウエアが提供されたというより、共同で開発したと考えて良いだろう。

ベントレー側からのプラットフォームへの要求、例えばサスペンションの設定を変更することで、MSBプラットフォームをベースとするどのモデルよりも、大きなホイールを装着可能としている。さらに、明確な構造的要件を満たして設計することで、ボディ剛性を局部的に高めている。

この局部的なボディ剛性の向上は、ベントレーのような高級モデルにとっては非常に重要となる。

ポルシェのようなスポーツカーの場合、全体的にボディ剛性を向上させることで、サスペンションやステアリングの正確性を高めることができる。一方で、コンクリート舗装の高速道路を走行した場合など、音を増幅させてしまうことがあるのだ。経験のある方もいるだろう。

そのため、部分的な剛性の向上が必要となってくる。高級モデルを開発する場合は、局部的に強度を高め、サスペンションやエンジン、トランスミッションなどが望む通りに機能するように設計を進めるのだ。

ちなみにコンチネンタルGTでは、各車輪に3本のエアスプリングと、48Vシステムによるアクティブ・アンチロールバーが装備されているが、細部に至るまでの質感向上は、まだベントレーの課題として残っているようだ。

12気筒エンジンを載せるメリット

恐らく多くのひとは、サスペンションも、ステアリングのレスポンスも、しっかりした手応えのものを好むはず。しかし、エンジンを強固にシャシーにマウントすることは、実は難しい問題なのだ。

度を過ぎると、エンジンの発する振動が自然な上質さを削いでしまうし、緩すぎると、300kgもの塊がコーナーやレーンチェンジの度に揺さぶられ、クルマは不安定さを増してしまうからだ。

そのため、完全にバランスの取れた12気筒エンジンを搭載することは、高級さを生むのにはメリットが大きい。理由は、6の倍数の気筒数を持つエンジンの場合、シリンダーの上下運動よって生まれる1次・2次振動が完全にバランスされ、振動がほぼ生まれないため。

コンチネンタルGTに搭載されるW12エンジンは、もともとはベントレー・ベンテイガのために開発されたもの。635psを6000rpmで、91.6kg-mを1350rpmで発生させるが、前モデルの最強版と比較して、飛躍的なパワー向上は行われていない。

このエンジンは、オフロード走行が不要となったため、80ものコンポーネンツを変更。バランスは完全ではないが、V6エンジンを2機並べたような配置であり、クランクシャフトを共有することで、驚くほどコンパクトにまとめられている。

エンジンの全長が短いため、フロントアクスルは前モデルと比較して135mmも前方に移動。前モデルの重量バランスは60:40だったのに対し、新型は55:45を実現しているのだ。

ベントレーは、この12気筒は全世界で最も進化したエンジンだと主張する。低負荷時に6気筒と2機のターボを休止させるだけでなく、ふたつの燃料噴射システムが搭載されているのだ。

少し旧式に思えるポートインジェクション・システムが、インジェクター音を排除し、アイドリング時や低回転時の静かさや上質さに貢献。高負荷時やスロットルを大きく開けた場合は、最新式の直噴システムが作動する仕組みとなっている。

次は、高級さとは別の側面でプラットフォームをみてみよう。

重量は、エンジニアを泣かせる

この強力なW12エンジンは、トルクコンバーターではなく、ZF社製の8速デュアルクラッチ・トランスミッションと組み合わされる。

そして今回、ポルシェからの仕様要求もあり、四輪駆動システムは従来よりも後輪寄りのトルク配分が行われている。

ドライブモードの選択にもよるが、前輪へのトルク配分は最大で38%となり、スポーツモードを選択した場合は、わずか17%となる。前モデルと比べて若干軽量となったコンチネンタルGTだが、各車輪への重量配分も良好なものとなり、さらに後輪駆動が基本となる設定なのだ。素晴らしいことだ。一方、軽量化されたとはいえ、装備にもよるが車重は2244kgもある。

シャシー・エンジニアは、重量のある大きなクルマだとはいえ、運転の楽しさに配慮しているようだが、かなりの難題に思える。

マッサージ・シートや鏡面仕上げのウッドトリムを手に入れる代わりに、アストン マーティンDB11と比べて、重たい車重も受け入れる必要があるのだ。この2台は異なる性格だが、ベントレーにとってはベンチマークとなっているはず。

インテリアに関しては、コンチネンタルGTの方が数段上だし、もしアストン マーティンが走行性能ではなく高級さを求めたのなら、インテリアはもっと違ったかもしれないが。

重量が時にメリットになることも

そのベントレーのインテリアは、親会社のフォルクスワーゲンなどとの共有部分はほとんど見当たらない、最上級の素材を用いて極めて美しくまとめられている。

本格的な生産に向けて、レザー・ステッチの幾つかの縫い目は少し調整する必要はありそうだが、それも探さなければ見つからない程度のもの。

とにかく、ここにある全ては、重量を加算することになる。結果、6.0ℓのW12エンジンが必要となるのだろう。

新しいコンチネンタルGTを、クルーの本社からイギリス北部に向けて走らせ、アングルシー・サーキットでも試したが、この重量にはデメリットだけでなく、メリットもある。

重量によって、路面の小さな石や凹凸に対して、ボディがほとんど影響を受けなくなるのだ。それは、単純にクルマに加えられる外力は、ボディが軽い方がより大きく影響を受けるため。

クルーの本社付近の路面はかなり荒れていたが、仮に地元の議員が一緒だったら、再舗装の必要性を感じさせないほど、乗り心地はよかった。新しいコンチネンタルGTのキャビンは、印象的なほど外界とは隔離されている。

逆に車重が重たいということは慣性も大きくなり、動きは鈍くなってしまう。もし巨額のお金を支払って、300km/hを超える性能を持つスポーツカーと、高級車の両方を望むなら、ベントレーを選ぶ前に十分検討したほうが良いだろう。

48Vシステムの有利な点とは

48Vの電圧システムを持つアンチロールバー・システムはベンテイガで発表されたもの。3本のエアチャンバーが各車輪に備わる、エアサスペンションと組み合わされる。

小さくBと記された、ドライブモードの「ノーマル」を選択した場合、機能するエアチャンバーは2本だ。エンジニアが推奨する「ベントレー・モード」の略のBである。

「スポーツ」モードを選択すると、エアチャンバーのもう1本がロックされ、「コンフォート」を選択すると、3本とも機能する。スポーツモードの場合のスプリングレートは、コンフォートの場合の2倍に高まる。

アダプティブ・ダンパーとアクティブ・アンチロールバーは非常に高機能で、ストレートでは柔らかく、コーナリング時は硬く締まり、ボディの動きを常にコントロールしてくれる。

48Vシステムの有利な点は、レスポンスの速さで、約0.3秒間で最も緩んだ状態から締まった状態に切り替えることが可能。秒単位でボディのロールを感じ取って操縦する人間と比較して、常に先取るかたちで機能するシステムなのだ。

コンチネンタルGTのステアリング・フィールは良好。ドライブモードは複数選択できるのだが、初期設定では、ステアリングの重さには変化がない。

ベントレーによれば、最適な重さを設定しているため、町中においても、十分納得できるものだという。実際、非常になめらかで正確、手応えのあるセッティングだと思う。もしそれでも不満なら、個々のドライブモードに、ステアリングの重さを設定することも可能だ。

しかし、それはお勧めしない。

ベントレーの「スポーティネス」は健在

ベントレーのエンジニアの意図するところは、このボディサイズに合わせた運転ではなく、純粋にベントレーの運転を楽しむということ。かなり実現できていると感じる。

ノースウェールズの公道でのボディコントロールは印象深く、ステアリングは鋭く、バランスもいい。アストン マーティンDB11ならもっと俊敏なはずだが、ここまでの快適性と、インテリアの仕立ては得ていない。異なる乗り味だ。

アングルシー・サーキットでのコンチネンタルGTは、粘った走りを披露したものの、2244kgの車重には不釣合いな場所だった。攻め込めばコーナーの出口でスライドさせることも可能だが、アストン マーティンのようなコントロール性や敏捷性は備えていない。

今後控えているV8エンジンモデルなら、これらは改善している可能性が高いし、サウンドも優れているはずだ。しかし、これまで以上に素晴らしいノイズを響かせ、強大なトルクを発するW12エンジンの魅力も増している。

デュアルクラッチ・トランスミッションは、完成した仕上がりではなかった。スロットルのオン/オフを素早くした時など、パワーの伝達で躊躇する場面がある。

変速はクリーンに素早く終わるが、変速ショックは明確にあり、一般的なトルクコンバータ式のATほどの洗練性には至っていない。ベントレーの開発者は一般的なATをあえて選ばなかったのか、プラットフォーム上の制限なのかはわからないが、ATで良かったでは、と感じる。

これらの点以外は、極めて感動的なクルマであり、世界でも有数のラグジュアリーGTに位置づけられることに間違いはない。最終的な仕上がりに大いに期待したい。

番外編1 4WDのトルク配分とタイヤサイズ

後輪駆動がメインとなる、ベントレー・コンチネンタルGTの場合、日常的なタウンスピードだけでなく、テストドライブでクルーからアングルシーまで少し攻めた走りをした時でさえ、前輪へのトルク配分はわずか1~2%だった。

コンフォート・モードの場合、最大38%まで前輪へトルクが配分されるが、スポーツ・モードにすると17%にまで減少される。

電信制御クラッチが前輪へとトルクを伝達するが、最近になってわかったことは、リアタイヤよりもフロントタイヤの方が、直径が若干大きいということ。

わずか2~3%の差だが、前後のタイヤでホイールの回転速度が異なるため、クラッチがつながっている場合、常に前輪側から後輪側に向けて、シャフトに回転抵抗がかかっていることになる。

もし、四輪駆動車のユーザーで、4本とも同じサイズのタイヤに拘っているなら、再考してみてもいい。実際このクルマの場合、何の問題も起きていないようだ。

番外編2 GTCコンバーチブルも間もなく登場

ベントレーは今のところ新しいクーペに焦点を当てているが、2018年末までにはコンバーチブルモデルのGTCが発表される予定になっており、われわれも期待しているモデルだ。

今後の各メーカーのモデルにも大きな影響を及ぼす、グランドツアラーとなるだろう。

新しいコンチネンタルは、従来のラインナップとは異なり、スーパースポーツと4ドアのフライングスパーになると、生産ライン責任者のベノ・ブランドルフバーが話していた。

コンチネンタルにはW12に加えて、プラグイン・ハイブリッドも採用予定で、まず初めにベンテイガで発表されるとのこと。

ベントレー・コンチネンタルのスペック

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