この記事をまとめると
■2024年で70周年を迎えるコルベットの初代~3代目を振り返る
スポーツカーとはなにが違う? アメ車だけなぜか「マッスルカー」と呼ばれるワケ
■コルベットは人気のあった欧州製オープンライトウエイトスポーツをベンチマークとして開発された
■1954年に初代モデルが、1963年には2代目が、そして1968年には3代目が登場した
アメリカ車初にして唯一のスポーツカーとして誕生
シボレー・コルベットといえば、それはアメリカンスポーツカーの象徴ともいえる存在だ。その歴史は長く、来年2024年は、コルベットにとっては初代モデルの生産開始から70周年にあたる年。ちなみにこれは、ポルシェ911よりさらに10年ほど長い歴史を持つ計算になる。
初代コルベット(C1)は、それまでアメリカで高い人気を誇っていたヨーロッパ製のオープンライトウエイトスポーツをベンチマークとして強く意識した関係から、軽量なFRP製オープンボディを持つモデルとして誕生した。
搭載されたエンジンは、コルベット用に専用チューニングが施された3.9リッターの直列6気筒OHV。だが、2速ATとの組み合わせで搭載されたこのエンジンは、スポーツカー向けというにはあまりにも性能が低く、1955年には早くもオプションとして4.3リッターのV型8気筒が、3速ATとの組み合わせでデビュー。翌1956年にはそれが標準化され、直列6気筒モデルはカタログから落ちてしまう。
スモールブロックと呼ばれたV型8気筒エンジンは、最終的には5.4リッターにまで排気量を拡大。フューエルインジェクションをオプションで選択すると、その最高出力は360馬力に向上させることが可能だった。3速MTも新設定されている。
スポーツカーとして十分な戦闘力を得たC1型コルベットは、サーキットにも活躍の場を見出し、コルベットSR(セブリングレーサー)やSR2(セブリングレーサー2)といったモデルたちが、セブリング12時間やル・マン24時間などで大活躍を見せる。
そのコルベットに最初のフルモデルチェンジが行われ、販売が開始されたのは1963年のことだ。C1がオープンモデルのみのラインアップであったのに対して、C2は一転ロングノーズのクーペが基本ボディとなった。
デザインの原案はレーシングモデルのスティングレイレーサーにあり、したがってこのC2はコルベット・スティングレイとも呼ばれる。
リヤウインドウが左右ふたつに分割されるスプリットウインドウ仕様の1963年モデルは、C2のファーストモデルであることも含め、コレクターズアイテムとして現在でも非常に高い人気を誇るモデルである。
リトラクタブルヘッドライト採用も、このC2からのことだ。
アメリカ車らしい大排気量のエンジンをラインアップ
C2に搭載されたエンジンは、C1から引き継がれた5.4リッターのV型8気筒で、レーシング仕様さながらのインジェクション仕様はやはり360馬力の最高出力を発揮。さらに、6.5リッターのV型8気筒OHVエンジン、すなわちビッグブロックユニットを425馬力の最高出力で搭載した、現在でもお馴染みのコンペティションパッケージ「Z06」が用意された。
その核となるビッグブロックユニットは、1966年にはさらに7リッターへと排気量拡大されたほか、オプションで4速MT、3速ATの選択もできるようになった。
C2型コルベットは、あらゆる点であとに続くコルベットの原型となったといえるモデルだ。その象徴的なメカニズムといえるのが、リヤのリーフスプリング。一般的には縦置きされるそれを横置きとすることで、リヤのバネ下重量を実質的にゼロとするこのシステムは、C2から長くコルベットに使用され、最終的には2019年に生産を終了する第7世代、すなわちC7型コルベットにまで継承される。
このC2型コルベットの後継として1968年に誕生したC3型コルベットは、1982年まで生産が継続される、非常に長いライフスパンが与えられたモデルだった。
大きく張り出した前後フェンダーと左右のドアによる強い絞り込みから、コークボトルの愛称でも親しまれたC3のデザインは、先に製作されていたデザインスタディのマーコ・シャークIIがその原型。ダイナミックな造形からは、いかにもアメリカンスポーツらしい力強さが感じられた。クーペボディにはTバールーフが採用されている。
エンジンラインアップやシャシーは、基本的にはC2のそれを受け継いだもの。エンジンはビッグブロックの7リッターユニットが1969年に7.4リッターに、スモールブロックの5.4リッターも5.7リッターに排気量拡大されるなどしているが、最高出力には変化はなかった。
また、この5.7リッターユニットにチューニングを施し、1971年には370馬力の最高出力を達成したLT1型エンジンの名は、その後もコルベットのみならずシボレーのファンには特別な響きを持って迎え入れられるものとなった。
だが、1970年代初頭のアメリカは大気浄化法(マスキー法)の施行によって、コルベットのようなスポーツカーには逆風が吹き荒れた時代。シボレーは1978年になるとC3を軽量化とともにエアロダイナミクスの向上などにも及ぶマイナーチェンジを施し、そのキャラクターをよりマイルドなGT(グランツーリスモ)的なものにすることを試みるが、結局1982年をもってC3はその生産を終了することになったのだ。
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